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Kick !!  作者: 安息香酸
3/18

Round.3 ”交渉”

拓也「母さん!!」


試合後、すぐに拓也は母のいるリビングへと直行していた。



拓也・母(以降、母)「そんな大急ぎでどうしたの?」


母はリビングで横になってテレビを見ていた。

しかしお笑い番組を見ているようなので、先程の試合は見ていないようである。


拓也「俺、ボクシングやりたい!!!」


母「・・・・・・えっ?」


母は息子のいきなりの発言に驚きを隠せなかった。


母「いきなりどうしたの?」


拓也「俺、ボクシングやりたいんだ!!」


母「・・・・・・ダメよ」


しかし、意外にも母は認めなかった。


拓也「・・・・・・えっ?な、なんで?」


母「ボクシングとか、格闘技とか・・・殴りあうようなスポーツはダメ。」


拓也「だから、なんで!?」


母「母さんは・・・人を殴ったりとか、人から殴られたりする為にアンタを産んだんじゃない!!」


拓也「だって・・・」


母「だって、じゃない!この話はもう終わり!!・・・じゃ、母さんは洗物してくるから。」


そう言うと、母はキッチンへ行って洗物をし始めた。


拓也「なんで・・・」









翌朝


拓也「おはよう、母さん。・・・母さん、俺ボクシング」


母「その話は終わりって言ったでしょ。」


拓也「でも・・・」


母「ほら、早くしないと学校遅刻するわよ。それとも・・・今日も休むの?」


拓也「・・・・・・うん。今日は行く気になれないし。」


母「今日も、でしょ?まったく・・・学校には何て連絡すればいいの?」


拓也「テキトーにしといて。熱があるとか・・・」


母「じゃ、熱が出ましたって連絡しとくね。」


そう言って、母は電話でどこかへ掛け始めた。話の流れから言って学校だろう。

拓也はイスに座り、テーブルに出ている朝食に手をつけた。ご飯に味噌汁、焼き魚と一般的な家庭の和風朝食だ。


拓也「はぁ・・・」


しかし、思うように箸が進まない。

やはりボクシングをやれないことがショックなのだ。


拓也「(せっかく変われると思ったのに・・・・・・)」


拓也「はぁ・・・」


母「朝からため息ばっかりついてると、ろくなことないわよ。」


気付くと向かいの席で母も朝食をとっていた。


母「学校には連絡しといたから。」


拓也「うん、ありがとう。」


母「・・・・・・」


拓也「・・・・・・」


その会話からしばらくの間、沈黙が続いた。











拓也「ごちそうさま。じゃ、俺自分の部屋で勉強するから・・・」


そう言って自分の部屋の向かおうとしたとき・・・


母「待ちなさい。」


母に呼び止められた。


母「どうしてボクシングなんかやりたいの?他にスポーツはいっぱいあるじゃない?」


拓也「なんでって・・・・・・」


拓也自身もそれを不思議に思った。母の言うとおり、スポーツは他に腐るほどたくさんある。

何故、ボクシングか?


拓也「それは・・・」


しかし、その答えは一瞬で出た。


拓也「かっこよかったから」


母「・・・・・・え?」


拓也「母さん、昨日のボクシングの試合見た?見てないよね。」


母「見てないわ。」


拓也「凄かったんだよ。世界タイトルマッチだったんだけどね、チャンピオンが元ヤンで、挑戦者が元イジメられっ子。普通ならヤンキーが勝つよね?でも・・・イジメられっ子が勝ったんだよ!!それも一瞬で!!!」


母「・・・・・・」


拓也「で、試合後のインタビューでその人が言ったんだ。『相手が誰でも自分のやってきたことを相手にぶつける、それだけを意識してた』『そんなの吹っ切るくらい練習したから、全く怖くなかった』『どんなもんじゃい!!!』って。その人はイジメられてて辛い思いをいっぱいしたんだと思う。でも・・・それを乗り越えてきたんだよ!!」


母「・・・・・・」


拓也「俺は身体が震えたよ。そして思ったんだ。『この人のようになりたい。この人のように強くなりたい』って。だから・・・」


母「わかったわ。」


拓也「・・・え?」


母「ボクシングでも何でも・・・やりなさい。」


拓也「な、なんでいきなり?」


母「アンタのそんな・・・そんな顔、初めて見たからよ。」


拓也「顔?」


母「わからない?アンタ今すごくいい顔してるのよ?今まで15年間、アンタを育ててきたけど・・・そんな顔見たのは本当に初めて。」


拓也「そうなの?」


母「やってもいいけど・・・その代わり、精一杯やりなさい。途中で投げ出したりしないこと!!これが条件よ。」


拓也「母さん・・・ありがとう。本当にありがとう!!じゃあ俺、ジムとか探してみる!!」


母「・・・勉強もやりなさいよ?」


拓也「うん!!」


そういって拓也はインターネットでボクシングジムを探し始めた。

その顔は、母親が言うようにとても”いい顔”だった・・・。




すみません・・・予告通りにいかななくなってしまいました。

・・・・・・次です!次こそホントに拓也がジムに入ります!!


2度あることは3度ある・・・?

まだ1回目です!!


でも・・・気をつけます(汗)

以上、安息香酸の謝罪会見(?)でしたー!!


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