Round.10 ”地獄練習”
あれから、泣いてグシャグシャになった顔を先輩達に見せるわけにもいかず、かといって練習時間もそれほど残っていなかった為・・・
先生「タッ君。今日は帰っていいぞ。残り時間も少ないし、色々疲れただろうからな。」
帰ることになった。拓也も色々ありすぎて疲れていたため(イジメ告白とか試合出場決心とか)、丁度よかった。
拓也「じゃあ、そうします。すみません・・・」
先生「そのかわり、次の練習からはビシバシいくからな!!もうすぐ冬休みだろ?」
拓也「は、はい!!」
そう、冬休みも近い。
だから・・・
先生「てか寒いな・・・」
拓也「そ、そうですね・・・」
季節は冬、月は12月・・・非常に寒い
先生「戻るか・・・」
拓也「はい・・・」
2人はすっかり凍えていた
次の日・・・今日は学校が終業式だ。
この日・・・節目になるような日だけは、拓也はちゃんと学校に行っている(正確には母親に行かされている)。
拓也「はぁ・・・」
なので拓也は非常に憂鬱である。本当は来たくないからだ。
前田「お、やぁっときたのかぁ、拓也く~ん(笑)」
坂本「俺らストレス溜まっちゃったじゃね~かよ~」
・・・こいつらがいるから。
覚えているだろうか?イジメっ子である。作者も忘れていたので、たぶん誰も覚えていないだろう。
前田「つっても今日俺ら部活だからなぁ~、相手できねぇよ~」
いっておくが、この”相手”はイジめることである。
坂本「まぁ、休み明けまで我慢してやるよ。その代わり休み明けにはタップリ相手にしてやるよ」
前田&坂本「ぎゃはははははははははは」
拓也「・・・」
拓也は正直、今にでも殺意が爆発しそうだ。でも、ガマンしている・・・
前田「じゃ、そろそろ先生来るし退散するか。じゃあな、ドMの拓也く~ん(笑)」
そういって前田と坂本は自分の席に戻っていった。
拓也「(・・・あいつら殴れたらどんなに楽だろう・・・)」
拓也は必死に自分の殺意と闘っていた。
終業式後、部活もしていないのですぐに練習に向かった。
拓也「こんにちは~」
先生「お、タッ君きたか」
中に入ったら、すぐ先生が話しかけてきた。
先生「今日からホントに厳しくなるぞ。覚悟はいいか?」
拓也「はい!宜しくお願いします!!」
先生「よし!じゃあすぐに着替えてこい!早速やるぞ!!!」
拓也「はい!!」
そこからは本当に厳しかった。
毎日近くの山を何往復も走った。筋トレもメチャやった。
毎日格上の先輩と何ラウンドもスパーリングをした。何度もダウンした。何度もボコボコにされた。ローキックを蹴られすぎて足が腫れ、何度も足を引きずって帰った。
厳しすぎて何度も吐いた。スパーリングで相手が怖くて何度も泣いた。
でも・・・食らいついていった。途中で絶対に音を上げなかった。1度も休まなかった。
練習量は先輩たちを超えた・・・拓也は道場一練習する男になった。
それは休みが明けてもだった。
休みが明けて拓也は学校に行くと、やはり放課後にはイジメられた。殴られた。蹴られた。色々な言
葉で罵られた。反撃出来ず、やられるがままだった。”心”は毎日傷つき、何度も引きこもって一人で泣きたくなった。
でも、休まず練習には行った。涙は練習でしか見せなかった。
毎日地獄のような練習を拓也はやり抜いていった。
そして、それから半年・・・
月は6月、拓也がキックボクシングを始めて1年が経ったころ・・・
先生「タッ君。」
拓也「はい?」
先生「デビュー戦の日程、決まったぞ」
初試合の日程が決まった・・・