表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/61

いよいよ聖女失格ですね

 そして、私は聖女をやめた。ただのライザとして自由に生きる。それはまだ難しそうだけど、私はギル様の指導の下、ひとまず、一日一欲生活に励んでいた。


「ケーキ丸ごと一個食べたいです!」

「一日四食っていう贅沢をしたいです!」

などなど。


 私のわがまま——「貴様の望み、食い物ばかりでないか! この意地汚娘が!」 とザインさんは言ってたけど——を、全部ギル様はかなえてくれた。おかげさまで、ギル様はいっつも私の部屋を訪ねてくるようになって、その結果、ザインさんもやって来るので、私の生活は毎日が賑やかだった。


「いつもありがとうございます。お礼として、私に何かできないでしょうか?」


 私が言うと、

「くっくっく。その必要はない。だが……そうだな、もしもそなたが良いと言ってくれるのなら、今夜、我と共に夕食など……」


「えっ、そんなことでいいんですか?」


 ということで、その日の夜、私はギル様と食卓を囲むことになった。


「ここの暮らしはどうだ、ライザ?」

と、ギル様は切り出す。


「おかげさまでとっても楽しいです! 魔王軍最高! 魔王城最高! って感じです!」


「くっくっく。ライザが楽しそうで良かった。実のところ、我は心配していたのだ」


「どうしてです?」


「そもそも、そなたは我に無理やりさらわれているのだぞ?」


「はっ! そういえば、そんな設定でしたね! すっかり忘れてました!」


 驚いてる私に、

「くっくっく。ライザは変わっているな」

と、ギル様はしばらく笑った後、


「……ずっと尋ねたかったのだが、そなたは……嫌ではないのか? 穢れた魔族である我と、こうして共に過ごすことが」

と、今度は打って変わって、真剣な眼差しを向けてきた。


「そんなことありません。実のところ、私、魔族を穢らわしいとも恐ろしいとも思ったことがないんですよ。こんなことを言うなんて、いよいよ聖女失格でしょうけど」


「なぜそう思うのだ?」


「聖教会は、魔族を悪そのものだと言います。女神様にあだなす、穢れた存在だと。だけど、清らかなはずの聖人たちの方が、私にはずっと恐ろしくてたまらなかった。当然のように私を罵り、手を上げ、全てを支配した、あの人間たちの方が、よっぽど醜い生き物のように思えた。


 どんな種族にだって、どんな人にだって、醜い部分はあるんだと思います。そこに、聖も魔も関係ありません。だから、私には、魔族だから穢れている、恐ろしいとは、どうしても思えないんです」


「くっくっく。そうか。そなたはずっと変わらないのだな」


「どういうことです?」


「我は以前、そなたに会ったことがあるのだ。ギークスの森の戦いでな」


 それは、私がここに来る直前に従軍した戦いだった。

皆様に楽しんでいただけること第一の作品にしたいので、ご意見、ご要望をどしどしお寄せくださるとありがたいです! 全力でそれに応えさせていただきます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
楽しいクリスマスになりました! 私は絶対に魔王様推しですよ。うん。 これからも楽しみにしております。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ