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結論・魔王様は○○○○

 ここまでやばい奴認定されたら、流石に黙ってるわけにはいかない。私は両手を胸の前で組み、魔力を解放する。瞬間、ぶわっと花が咲き乱れ、辺りは一面が花畑になった。


 そして、花々は魔王城にまで到達してしまっていた。いかにも邪悪な感じの魔王城に、花が咲き乱れてる。うん、めーっちゃファンシー。控えめに言って、珍妙。どうしよう、これ。


「何をしている! 魔王領を中途半端メルヘン王国にするなど、ふざけているのか!」


 ザインさんが絶叫する。


「くっくっく……」


 うわー、魔王様、今までにないくらい怖い笑いしてるんだけど。そりゃ、自分の家をいきなりファンシーにされたら怒るよなあ……。これは私、いよいよ消されるパターンなのでは……?


「すみません! でも、そのうち元に戻るので……」


「お花、かわいい」


 うん? 魔王様、なんて?


「魔王様がお褒めだぞ! 聖女、よくやった!」


 ザインさんがすかさず叫ぶ。いや、調子いいな、この人……。


「ええと、怒っていらっしゃらないので?」


「なぜ怒るのだ? こういうの、我は好きだぞ」


 魔王様はしゃがみ込むと、凶暴そうな爪の生えた手で花を摘んで、手際よく花冠を作り上げる。それ、どうするんだろう。そう思ってたら、ふいに私の頭に花冠が載せられる。


「くっくっく。かわいいな、聖女」


 多分、私はお礼を言うべきなんだろう。だけど——


「いや、あんたの方がよっぽどかわいいだろうがよお……!」


 どうしても心の叫びが先に溢れてしまった。


「くっくっく。照れる」


 めちゃくちゃ邪悪な笑みで、魔王様は頬を赤らめる。これは……情報が大渋滞だ。


 今までのことを踏まえ、私はこの魔王様について、結論を出すことにした。まず、大前提として、この人はめちゃくちゃ優しいいい人だ。そして、何より——かわいい。ここは大切なので、繰り返そう。この魔王様、めちゃくちゃかわいい……!


「魔王様! 私もかわいいですか⁉」

 

 ザインさんは慌てて花冠を自分で作って、頭に載せた。ああー、分かった。この人、魔王様の激しいオタクなんだ。で、そのせいでちょっと馬鹿になってる。うん。


「貴様、今、物凄く失礼なことを考えただろう?」


 あれ? なんでばれたんだろう?


「言っておくが、私は貴様を認めていないからな! そもそも、食い物でがんぎまりしてる聖女がどこにいる⁉ 神聖さの欠片もないではないか!」


「えっ……? そっちこそ、智将のくせに、魔王様のことになるとただの馬鹿……」


「馬鹿とは何だ! 馬鹿とは!」


 言い合っている私たちを、

「くっくっく。仲良しでいいね」

と、魔王様が眺めている。


 だけど、流石に目立ちすぎたみたいだ。


「なあ、この花……あそこの子が出したように見えたぞ?」

「というか、今、魔王様って聞こえなかったか?」

「しかも、あれってザイン様よね」


 周囲がざわつき始め、私たちは急いでその場を離れることになった。

皆様に楽しんでいただけること第一の作品にしたいので、ご意見、ご要望をどしどしお寄せくださるとありがたいです! 全力でそれに応えさせていただきます!

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