012 告白
「ヒロちゃんさ」
「何?」
「このリハビリ?の時間、彼氏してくれない?」
「ん?どういうこと?」
さて今日は何するかな〜と思って部屋に来た矢部は突然の提案に驚いた
「そのまんま、なんだけど」
「お、おう、なんだか恥ずかしいけど良いよ」
「よっし!」
「と言っても何する?」
「そこなんだよね〜病院でデートとか20分で映画とか無理じゃん?」
「そうだねぇ」
「だから距離感とかを恋人っぽくするとか、どうかなって」
「大分今までも近かったけどね」
「そう?」
「便秘で腕組んだ日とか」
「便秘言うな!」
実千代は顔を赤らめて怒った
「マッサージしたときも」
「あれは気持ちよかった〜」
「ベッドに薄着で2人きりだったじゃない」
「言い方!」
実千代はプンプンだ
「じゃあ今日はウォーキングして股関節周りのストレッチしてお腹温めようか」
「急に普通」
「俺も一緒にやるよ」
「体の固い見本ね」
「うん」
まずは部屋で筋トレ、四つ這いで足を交互に上げ下げする運動にバードドック、その後で手を繋いで部屋を出て病棟を少し速歩きで動き回りパルスオキシメーターでSPO2を測定、最後にヨガマットを敷いて股関節のストレッチだ
「意外とさ、恥ずかしい格好してるよね」
「それね、あんまり意識しないでくれる?やってる俺が恥ずかしくなるから」
「やっぱり恥ずかしい?」
「恥ずかしいというか気分がさ、真面目&リハビリからエロス&変態に変貌するとただのクズ野郎になるんだわ」
「確かに根っこが変態だもんね」
「言うなって」
「でも痛くないのに伸びていく感じがするってさ不思議気分で気持ちいいの
そのへんは技術なんでしょ?」
「そうねぇ、足開かせて内腿に手を置くなんて言葉にしたら変態だけどね」
「自分で言った〜」
「言葉に置き換えたらの話よ、ダイレクトストレッチはタッチもダイレクトだからさ」
「そう、もう少し内側に手を動かしてもいいよ」
「ダメだわ!職権乱用の公然猥褻罪で捕まるわ」
「そんなくらいで訴えないよ」
「はいはい」
バカな会話をしているとすぐに時間は過ぎていった
「矢部さーん、4号の時間」
「はーい」
今日の声かけは師長代行で係長の目黒さんだったので返事は普通だ
「ヒロちゃん師長さん好きでしょ?」
「あのボディは眼福よね、美人だし
恋愛的に好きじゃなくてグラビアアイドル好きに近い感覚かな」
「なるほど、私じゃちょっと足りないか」
「そういう問題じゃないよ、恋人って顔の好みとか体型なんかよりも空気感というか安心感というかそういうとこだと思うけど」
「ほうほう、また色々聞かせたまえ
じゃあ今日は終わりね、エスコートよろしくね」
「はい」
手を繋いで部屋まで送って今日は終わりとなった
次の4号室のおばちゃんも同じく歩行練習で手は繋ぐものの、手を引いている、介助している感になってしまいほんの少しでも違うもんだなと矢部は思い返していた




