召喚された魔王
召喚
どこだ、ここは……
私は確か魔王城で勇者と戦っていたはず、それなのに…
「勇者様、そのお怪我は一体、どうされたのですか!」
大きな杖をもった銀髪の老人が駆け寄ってくる。
なぜ、人間が私の心配をするのだろう。
辺りを見回すが、人しかいない。
「人間、ここはどこだ」
「はい、ここはツアー王国、王城でございます、異界よりあなたを召喚させていただきました」
「召喚魔法...だと!?」
「はい、そうです。そこでお願いです、どうか、この世界を救って下さい」
老人が、深深と頭を下げる、魔王である私に、この世界の魔王を倒せだと。
人間風情が、私にお願いを?
いや、辺りの人間が、全員武器を隠し持っている、これではまるで、脅迫だな。
「サクションライフ」
老人が何ともいえぬ叫び声をあげ、倒れる。
「これだけで死ぬとは 、よくこれで召喚魔法を行使出来たものだ」
「貴様ァ、何をした!」
辺りの人間が、剣やら杖やらを持って睨みつけてくる、
やはり武器を隠し持っていたのだな。
「老人の魂をいただいた、なるほど、召喚魔法とはこうするのか」
新たなる、魔法を知り、笑みが止まらない
「死ねぇ!」
人間達が、一斉に襲いかかってくる、中には、よく分からない言葉で杖に向かって話しかけている人もいる。
「サクションライフ」
今度は、一斉に、部屋中の人間達が倒れる。
「貴様ら有象無象が、私を倒せるわけが無いだろう」
不思議と、笑いが込み上げてくる、そうだ、これが人間なのだ、今まで戦った奴らがおかしいだけで。
「お前は、一体…何だ...」
「私は魔王だよ、今となっては元だがね」
「召喚は失敗した...か」
そう言うと、男は力尽きた。
さて、これからどうするか…
そんなことを考えながら部屋の外に出る、明るい城内は魔王城と全く対照的に感じる。
「私も、こんな場所で、育ちたかったな」
常に暗く、寒く、日の光を浴びたのは、ずいぶんと久しいことだ。
「世界に魔王は2人もいらない、この世界の魔王、滅ぼすか」
完全な同族嫌悪であることは、分かっている、しかし「唯一の魔王となり、この世界を手に入れる」
私は、この、陽の光が暖かいこの世界が欲しいと、そうも思った。
「サーチワールド」
頭の中に、世界地図が構成されていく、あまりの情報量に、少し目眩を覚える。
「この感覚は、いつになっても慣れないな」
そんな愚痴をこぼしつつ、生物の魔力の痕跡を探し始める。
「この魔力は、私と同じ波形...だと!」
魔王に共通するものなのだろうか、まあ良い、これで敵の居場所は分かった、駆除に向かうとしよう。
出会う人間達の魂を吸い出しながら、外へと向かう。
魔王として生まれてからこれまで、こんなに気分が高揚したことは無い、本当に楽しみだ。
今回は、1話量産型にならないよう、鋭意努力したいと思います。
サクションライフは、英語をを日本語にしただけで、命を吸収する魔法のことです
趣味で書いてるものなので、お手柔らかにお願いします