嘘つき
俺はどっちの味方でいればいいのか何を願うのか自分でもよくわからない、正解ってなんだ?
いや違う。「正解」の道を選ぶのではなく、選んだ道を「正解」にする。
たとえ嘘がつきものでも
俺は藤野功那。
身長は普通くらいでウルフカットに見えそうなくらい襟足を伸ばした髪。いろんな事に無知な俺だがよりバカなキャラを演じている。
自分の学力より少し上の高校を目指し まぐれで受かればそれはそれでよかったし落ちたら中学の友達と同じ学校にいく予定だった。中学の担任も苦笑いで厳しいと言っていた地元の進学校。だがまさかのまぐれが叶ってしまった。毎回学年のビリを覚悟していて 案の定だったが自分なりに頑張るつもりである。
「みずき~テストやばい~たすけて~」
「えーーー」
席の隣のこいつはみずき、一年の頃からの仲でみんなにはあまり知られていないマイナーなゲームが趣味で知り合った。
いつどこでも怖いくらいに俺の近くに現れる。例えば隠れてバイトをしていたら 店長の娘がみずきだったり、別の高校の友達からも瑞葵の名前が上がるほどだった。
「無理!今回うち本気だから!」
このセリフ何回聞いたことか。
(みずき)「あ、そうだ!ちかちゃんに教えてもらえば?」
(ちから)「え~こうだにおしえるの?そんなに暇じゃないよw」
みずきの逆隣の席に座っている丸眼鏡が特徴の彼は井上力この学年で知らない人はいないほど毎回学年の一位争いをしている、天才で努力家。趣味は韓国の男アイドル。
みずきとは長い友人の付き合いらしく、ちゃんづけするほどだ。
そんなちからに教えてもらえるなんてもったいないくらいだ。
(こうだ)「え?いいんスか?」
あまり話したことがなかったが冗談のつもりで押してみた
(ちから)「誰もいいとは言ってないんだけど。まあ、今日の放課後だったらいいよw」
少し引き気味だったが難なく俺は大船に乗ることになった。
テスト期間中は大体の部活が休みになるので俺にとってこの勉強会はチャンスだった。
使えるものはうまく使わなければ。
そして勉強会が始まった。
放課後の教室は思ったより静かで勉強がはかどる良いクラスだ。
ある程度に苦手な英語を教わり、日も暗くなってきていたころで雑談が進んでいた。
ちからの趣味など聞いてると何故かみずきの話題になっていた。
(こうだ)「そういえばちからってみずきが彼氏いるの知ってる?」
やらかした。つい気を緩めてしまった。みずきの隠している秘密、のはずだった
(ちから)「うん、知ってるよ。全部知ってる。」
彼の口からもれた言葉に嘘はなかった、何より彼の目が深淵のような憎悪さえ感じられるほどだった。途端俺は理解した、こっち側の人間だと
「て言うか、知ってるもなにもみずきはすぐ病むからさ。話とか聞いてやってんのよ」
こいつ多分元カレだろ、と半信半疑だが理解したつもりで話をそらす
「そーなんや、ちからはどーなん?彼女とか」
「えー?んー教えなーい」
流石と言わざるを得ないごまかし方だ、俺も自分のことは偽るかごまかしを入れている。
つまり本当の友達は自分で見極めるというものだ。
彼とは仲良くやっていける、そんな気がした。
彼に軽くお礼を言い自販機でジュースをおごって帰宅した。
需要と供給ってやつだ。
そんなこんなで明日のテストは多分大丈夫そうだ。
俺は暢気にゲーム友達と深夜帯まで遊んでいると、ゲームを遮るかのように1件のLINEが視界に映った。
みずき{今すぐ来て}
いつもとはなにか違う様子で、なんだか面白いことになりそうだったのですぐさまゲームをやめLINEに既読をつける。
こうだ{へーい、いつもンとこね。}
なれた手つきでLINEを返し、仲良しグループ通話に入った。
入ったはいいが拓歩に「寝てた」と言ったら何故かテスト勉強をすることになった。
みずきは話す素振りすらないので裏でLINEを続けることにした。
{んで?何この状況w}
{告白された。}
みずきに彼氏がいることも、拓歩がみずきに好意を向けていることも知っていた。何なら振られて慰める未来も見えていた
だがあまりにもタイミングが悪すぎる
高校生には切っても切れないテストという大事なもの、バカな俺でも今じゃないことくらい分かるレベル。
{えー!?マジで?明日テストなのに?}
{うん、}
悩んでいるようにも見えたが、彼女には似つかないゴリラのスタンプが俺を笑わせに来た。全然元気そうでひとまず安心した
返事はテストが終わるまで待ってほしいと伝えたらしく付き合っちゃえば?と冗談交じりのLINEを返した
{それよりお前今回のテスト本気だったんじゃないん?}
{本気だし!絶対クラス順位一桁行くから!}
と俺はあおりを混ぜつつ無言で気まずい状況を勉強の空間に作り替えた。
時刻は深夜の三時。みんな限界が来ており勉強というより眠気と戦っている時だった
(( ポピン! ))
(ひろき)「ウイーッス、何してるのー」
入室音と共にチャラいあいさつで入ってきたのはこの通話グループを作るきっかけとなった本人だった
「なんだひろきか、ずっと勉強してたよ。ひろきは大丈夫なの?」
拓歩が眠そうな声でひろきの心配もしつつ答える。
そんな会話が聞こえるのを最後にして俺の記憶が途切れた。
俺の親はよく嘘をついていた。幼い頃に嘘は良くないと学校で誰かが言っていたのを覚えていたのでその頃の俺は母に問いかけた。
「なんでいつも嘘をつくの?」
母は即答だった
「ばれちゃってたか~でもね嘘にも ”いいウソ”ってあるんだよ」
母はつづけた
「嘘はうそでもホントにしちゃえばそれはホントになるんだよ?」
その頃の俺にはあまり理解できなかった。
でも今では何となく分かる、「嘘」で人を動かせばいい。
そして俺の願う「ホント」の形へと
読んでくださりありがとうございます!!!
今回は主人公の拓歩ではなく、友達のこうだ視点で書いてみました。どうだったでしょうか?タイトルの俺クズらしくなってきましたね!まだまだ始まったばかりなのでこれからも引き続きよろしくお願いいたします。良ければ評価、ブックマークコメントなどよろしくお願いします!では次回でお会いしましょう!