本当の友達
しっていた 何もかも、しっていた。いまはもう届かない俺の声もこの気持ちも 何もかも、もう遅い。だけどあいつはまだ知らない何もかも、
「お~い~拓歩~部活いくぞ~!」
俺の名前は月城拓歩
高校二年のバドミントン部。
背は高いほうで成績優秀。彼女ができてもおかしくないルックスで顔はそこそこ髪にはあまり興味はなく毎朝寝ぐせのまま登校するくらいだ。クラスではあまり目立たず話相手はゲーム友達くらいだ。
中学のころからスポーツが好きでやれば体がついてきた。小さいころに一年だけバド部だったのもありルールや雰囲気など多少の知識はあった。
「うん、自販機よるから先行ってて」
俺の学校は体育館がふたつあり学校から少し歩いたところにあった。
「おけ!基礎打ちには間に合わせろよ~」
元気よく走って体育館に向かったのは藤野功那
高校一年からの心開ける友達でいわゆる親友だ。
出会いは放課後の屋上、ゲームの話がきっかけだった。
高校二年の春、帰宅部だった俺たちは何がきっかけだったか忘れたが急にバド部に入部することになった。
そしてボーっとしながら自販機につくと、いつも見慣れた栗毛でロングの後ろ姿を見つけた。
「みずきじゃん、 この後部活?」
「あ、拓歩さん。うん。」
声をかけた途端上目づかいで振り向いた。
彼女は天野瑞葵同じクラスの太鼓部。
一年の頃から同じクラスで俺にとって数少ない女友達だ。いつもは明るく元気なハスキー声だが今だけはくもって聞こえた。俺が原因なのはわかりきっていた。
無言の会話が進むので迷いなくスポドリを買い
「それじゃあまたね」
と逃げるように自分からその場を後にした。
スマホを見ながらゆっくり歩いていると学校のチャイムが俺の猫背をシュッとさせた。途端に部活の時間を思い出し走って体育館に向かった。
(後輩たち)「あ!センパイおそいっすよ!」「あ、えっとこんにちはセンパイ」
少し遅れて体育館についた。明るさから暗い空間に変わり視界をまひさせるが気にせず後輩に手を振りあいさつを返す。
入部して一か月が経ちやっと部活の雰囲気に慣れてきた。
男子の後輩は二人だけだったのですぐに仲良くなれた。女子の後輩は名前を覚えられないくらい多かった。みらいという名前の後輩が三人いるのだけは覚えておこう
「しゅーごー」「「はいっ!」」
部長のあまり通らない声が部員全員を集めた、顧問の先生が来たからだ。
正直男子からは好かれない性格のひねくれたおばちゃん先生だ。
「今日は差し入れ持ってきたので今回の期末テストで成績の良かった人からとってください。そしてこの後の部活頑張るように!藤野君はまた一番最後ですね!」
テスト期間が終わるとみんなのやる気を出させるためかinゼリーやプロテインバーなどの差し入れをしてくれる。
もちろんとる順番で成績の良い悪いがバレバレである。
「あれこうだ、また最後っすか」
俺は自慢げに先頭でゼリーを取り、帰り際にこうだにあおりを入れた。
「うげ また最後やん まあもらえるだけ感謝だわほんまに 今回赤点がほんまにやばい 特に英語はわけわからん!同じ言語でしゃべってくれ。頼むからw」
彼はどうしようもなくあほだった。運動はそこそこだが学業はからっきしである。
「とか言って現代文赤ギリギリじゃん、物理だって俺が教えなきゃ赤点だっただろ」
「いや~ほんまにあざっす!ってことで次回も頼む!」
「しかたないな。」
小さなため息をこぼしながら言った。俺の親はそこまで勉強にうるさくはないが裕福ではなかった。あまりお金のかからないよう密かに特待生を狙い親孝行を妄想するくらいには優等生のつもりだ。
(ひろき)「こうだまた赤かよw」
(拓歩)「いやひろきも人のこと言えないだろ、バド部でましなのは俺だけだな。」
こうだの一つ前に差し入れを取った彼は渡辺広樹二年のバド部で同じクラス。教室でもよく話したりする意外と面白い友達。バリバリ陽キャで最近彼女ができたらしい、リア充めと思っているものの実は応援しているのだ。
(かける)「いや、俺はましだろ英語90だし!」
(拓歩)「かけるは英語だけな」
こいつは松本翔
彼も二年の部活の友達であり同じクラスメイトの一人。うざいくらいにイケメンで性格も文句なし。さらに部活のエースというおまけつきだが引っ込み思案なのが惜しいとこ。心開くとこのようによくしゃべる。
みんな仲が良く テストが終わると毎回こんな感じだ。
そんなこんなで部活は最後のストレッチに入っている。
「たくほ~この後自主練しよ~ぜ~」
こーだは毎回自主練に誘ってくるが今は正直あまり乗り気ではない。
「あーごめん、電車間に合わんからきょうはいいや。」
適当だがありそうな嘘をはき 断った。
「あ~おけ!じゃあまた明日な!お疲れ!」
「うん、、、」
なるべく目を合わせないまま体育館を出た
( 多分嘘やな、あれは )
高校生、部活___勉強___だけじゃない、
俺、拓歩は、みずきの事が好きだ。こんなに人を好きになったのは多分人生で初めてだろう。胸のうちが今にも出そうなくらい「ドキドキする。」気づけば目で追っていて、寝たふりをして机の隙間からいつも可愛い横顔を独占した気になっていた。
時はおとといのテストの前日。
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「好きです。一年の頃からずっとずっと好きでした。俺と――」
俺はみずきに告白をした。
「ちょっと待って、」
彼女はとても驚いた様子だった。そんなのは気にせず俺は続ける
「ずっと隣にいてほしい。俺じゃ、だめかな。」
「、、、」
「、、、」
何秒だったか覚えていない。10秒だったかはたまた10分だったか 1時間にさえ思えてしまうほど会話のない時間が過ぎていった。
(( ポピン! ))
(こうだ)「何してんの~?」
(みずき)「、、、」
(拓歩)「何って明日テストだぞ、こーだは大丈夫なの?」
独特な通話アプリの入室音が脳を起こし我に返る。
俺からテスト勉強に誘い 仲のいい友達だけの通話グループで話していた その中にはもちろんこうだも入っている。
深夜帯というのもありすっかり忘れていた。
「ん~、今さっき起きたばっかw」
笑いながら答えたが彼は今回赤点が三教科あると留年というのを自覚していないらしい
「じゃあ、さっさと物理やるよ、セミナーの37出して」
わざとらしく大きなため息をはき何もなかったかのようにテスト勉強を始めた。
ほんとはこーだにも相談するつもりだった。
成功しても失敗しても心の整理ができたらはなすから。と いまはこころにとどめている。ほんとはただただ怖かった。こんなにも自分の気持ちをうちあけるのには勇気と同時に犠牲をともなうものだと初めて知った。
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知らなかった 何もかも、知らなかった。あのころはまだ近かった。俺の恋もこの気持ちも なにもかも時が悪い。だけどお前は知っている何もかも、
ここまで読んでくださりありがとうございます!ほとんど俺クズの設定や説明ばかりでやたら長かったと思います。この作品は読めば読むほどキャラたちの裏事情がわかり面白くなるとおもいます!良ければブックマーク、評価などよろしくお願いします。