表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

第六話 森ヨシ成とダグゥド

未来城では総勢五百名という大規模な遠征軍が編成された。城の兵士だけでは足りず、農家からも徴兵されたようだ。


当然、僕も出陣する。64式小銃を担ぎ、警備員の制服に自衛隊の半長靴。腰には銃剣として魔剣ロンギニスを下げていた。


遠征軍が向かう先は『カルヴァリー平原』である。目的は『聖なる救世主』の復活の確認と、殺害。軍の総司令は、父の跡を継ぎ『武将』となった、平手ユリ奈だった。


出陣するユリ奈は、黒い甲冑に黒い馬。肩には、あのカラスが止まっている。


そして、追放されていた前田イヌ千代も呼び戻されて、参陣していた。


この遠征軍には、森ヨシ成という『武者』がいた。ヨシ成は、大柄のイヌ千代より、さらに体躯が大きい強者だ。未来城の古参武者で、武器は巨大な十文字槍。


「我、無双の兵なり」

と、豪語するヨシ成は、青い甲冑を身に付けて『青の巨星』との異名で呼ばれている。


対抗心をむき出しにするイヌ千代は、行軍中に、僕を相手にして、

「あれは『アホの虚勢』だ」

などと言ってバカにしていた。



遠征軍が未来城を出発して三日目に『江羅の谷』で、鬼との交戦があった。


この江羅の谷の鬼は、小規模であったが、石を積み上げて『砦』を築いている。


「鬼が砦を築く事など、今までにはなかった」

と、藤キチ郎も驚いていた。そして言葉を続ける。

「だが、規模は小さい、あの砦だと鬼の数は、せいぜい二十匹か」


ユリ奈は、未来城のナナ緒に『砦』の存在を報告するためにカラスを飛ばした。カラスは伝書鳩のような役割もするようだ。


その『小さな砦』を遠征軍は大軍勢で取り囲む。


五百人対二十匹。多勢に無勢だ。


しかし、戦闘が始まると、無勢の鬼は『砦』という拠点を有効に活用して戦った。


この石の砦は、弓矢の攻撃を無力化する。砦の攻略に苦戦する遠征軍。僕の64式小銃の弾丸も、石の壁に跳ね返された。


それでも、あの『青の巨星』森ヨシ成は、果敢に大型の馬を駆り、砦の正面に躍り出る。


「我こそは、我こそは!」

騎乗での大音声。

「未来城、無双の武者、森ヨシ成!」

名乗りを挙げた。


イヌ千代が小声で、

「自分で無双とか、言うなよ」

と、言ったのを、僕は聞き逃さなかった。


「鬼どもよ。このヨシ成に、一騎討ちを挑む、勇者はおらんのか!」


その挑発で、砦から一匹の鬼が出てきた。その鬼は痩せていて、他の鬼より、一回り小さい。


「あれは、二十歳くらいの仔鬼だな」

と、藤キチ郎。


平均寿命が120歳の鬼は、人間よりも成長が遅く、三十歳くらいで成人になるらしい。


仔鬼はヨシ成の正面に立ち、

「我ノ名ハ『ダグゥド』イザ、尋常ニ勝負!」


「仔鬼の分際で、笑止な」

ヨシ成が嘲笑った、瞬間。


ダグゥドは石を投げつけた。


ガツン!

石は頭部に直撃。馬から転げ落ちるヨシ成。


冑が真っ二つに割れ、頭から大量の血が流れた。


それを合図に、砦から投石の一斉攻撃。


「うあっ」

「な、何だ!」


雨のように降り落ちる投石。


混乱する兵士。 強者のヨシ成が、一投で討ち取られたことも、兵士たちに動揺をあたえたようだ。。


ユリ奈は、一旦、兵を退いた。賢明な判断だろう。



その夜。遠征軍はエフェスの平原に野営した。


ユリ奈のカラスも戻ってきて、ナナ緒からの命令書を運んできたようだ。命令書には、

「何としてでも砦を陥落させよ」

と、記されていたという。


陣の中、かがり火の下で、イヌ千代は僕に言う。

「ヨシ成は、あのまま死んだらしいな」

そして、言葉を続けた。


「今頃、ヨシ成の肉は、鬼に喰われているだろう」


そこへ藤キチ郎が現れる。

「これを見ろよ。これは、ヨシ成を殺した投石だ」

と、一個の石をイヌ千代に渡す。


「お前、そんなもの、拾ってきたのか?」

やや呆れるイヌ千代。


「まあ、いいから良く見ろ」


その石は『円盤型』に削られているようだ。


「今までに無い形だな」

「そうだ。この形状だと、飛距離も威力も倍増する」


その石をジッと見て、イヌ千代は、

「こんな物を使う鬼は、今でいなかった」

「厄介なことになりそうだな」

と、藤キチ郎が言葉をつなけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ