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最終話 その後の『未来城』

僕がエルニーニョを処刑した瞬間に日蝕が起こり『高い塔の広場』は真夜中のように暗くなった。


だが、しばらくすると、太陽は光を取り戻して、またギラギラと地上を照らしだす。


その時、廃墟の中から、一匹の鬼が飛び出してきた。


その鬼は、

「裏切リ者ガ!」

と、叫び、金棒の一閃で、イスカリオの頭を砕いて殺害する。


「俺ハ、エルニーニョ様ノ弟子、サウロ」

鬼は名乗りを挙げて、

「師ノ敵討チダ」

と、僕に襲いかかって来た。


そして、続々と広場に鬼が躍り出て来た。捕縛隊に襲いかかる鬼たち。


それは、あの漁師小屋にいたエルニーニョの弟子たちだ。数は十二匹。


「グオォーッ」

と、吠える鬼。

ブオーン。ブオーン。

と、金棒を振り回す。


僕は、引き金を引いたが、弾が発射されない。弾倉が詰まったようだ。


焦る僕を見て、サウロがニヤリと笑った。


ガシャーン。

金棒の一撃で、64式小銃は叩き落とされ、地面でバラバラに壊れる。


サウロは金棒を振り上げた。僕の頭部を狙っている。この時、僕は死を覚悟した。


「悔イ改メヨ」

僕を見るサウロの眼は、勝利を確信したかのよに光っている。


その刹那。


一本の矢がサウロの側頭部に突き刺さった。サウロはその場に倒れる。ピクリとも動かない。絶命したようだ。


矢を放ったのは、平手ユリ奈。本隊が『人間牧場』での救出を終え、応援に来たのだ。後は、五百人の多勢で一気に十二匹の鬼を殲滅する。


その後、遠征軍は『家畜化された人々』を連れて、未来城へと帰還した。家畜化された人の数は二百人を超えている。


そして、連れ帰った元家畜は、領内の農家に『労働力』として振り分けられた。彼ら元家畜は、エルニーニョの洗脳の影響のためか『従順』であり『勤勉』なうえ、頭脳も『明晰』であった。


彼ら元家畜は、従事する農作業において『創意工夫』を重ね、結果、数年後には収穫量を飛躍的に増やす『農業改革』を成し遂げる。


『農業改革』後の未来城の領内は豊かになり、経済的発展を遂げた。商業も盛んになり、城下に町が広がる。


そして、木下藤キチ朗が、僕の壊れた64式小銃を参考にして火縄銃を開発した。この火縄銃を使った大規模な『鬼狩り』が行われ、鬼の数は、さらに減り、現在、鬼の驚異は、ほとんどなくなったと言っていい。


だが、僕が、ほんの少し懸念していることは、最近、領内に無気力な人が増えたことだ。彼らは労働を嫌い、家にも住まず、城下町の路上で暮らしていた。


それでも領内には食べ物が溢れてる『飽食の時代』なので、廃棄食材を漁っていれば、餓えることない。


このまま無気力な人間が増え続ければ、いずれは経済発展した社会を維持できなくなり、衰退した鬼のように、人間も、また衰退の道を辿るであろう。


だが、今の僕たちは経済成長の真っ只中にいる。誰もが、この発展を謳歌していた。


僕が危惧する『人類の衰退』は、今日、起こることではない。明日でもなく、来年でもないだろう。少し先の『未来』のことだ。


それはそうと、64式小銃を破壊された僕は『足軽』を辞めて、城主・織田ナナ緒の『召し使い』となった。


それが嫌なら、元の世界に帰れるのだが、美女の召し使いは、良い身分だと思う。元の世界に帰ったとして、僕の仕事は警備員だ。


今日の仕事は、ナナ緒様の入浴係だ。僕はナナ緒様の服を脱がせ、彼女が湯につかっている時は、湯船の側で控える。


そして、ナナ緒様が湯船から出ると、その美しい体を丁寧に体を洗う。護衛のためロンギヌスの短剣だけは、常に持っていた。


一日の仕事を終えると、僕は城内の自室で支給された『栄養剤』を飲む。その栄養剤は、元の世界では『禁止薬物』と呼ばれるものだった。

最後まで、お読み頂き、ありがとうございました。


また次回も、よろしく、お願い致します。

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