#7 至高の防衛戦! 妖精騎兵vs神獣エゴイズム・前編!!
『オラオラ オラオラ オラオラ オラァッ !!』
「むぅ!!!!」
至高の防衛戦の幕が上がる。
握り拳の弾幕が迫る。
一発一発が下手な丸太より重い衝撃。
それがが何十、いや何百と。
仮に。
脳内整理として。
あたし達妖精騎兵を『♡』に、エゴイズムを◆に、弾幕を●に例えると…………だいたいこんなかんじだろうか。
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。((●((●。。((●。。。。●))。。●))●))。
。。。。(●(●((●。。♡。。●))●)●)。。。。
(いや、多すぎでしょ弾数!!!!)
(俺の羽だけじゃ間に合わねぇ。自分の羽も全力で使え!!!)
(リョーカイッ!!!)
『きょうは トコトン ホンキでいくぞォ!』
ドン引くあたしへ、容赦なく弾幕の包囲網が迫る。
右から一発。
左から一発。
右から一発。
左から一発。
右から、左から、右から左から左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右……
「ちょっ…………!?」
濃すぎて脳が処理落ちしかける。
事情により上には逃げられない。
慌てて真下に逃げるが、そうすると弾幕の塊ごとつり天井みたいに降ってくる。
結局、速度を利用し壁に衝突させ壊すくらいしか無さそうだ。
「ゴメン一号サマ、やっぱ正面から挑む!」
「あーいよっ!!」
光る手綱を引いて、はばたかせての操縦。
救いがあるのは、取り巻き達の脆さか。壁を背にして死角を消してなかったらなお酷かっただろうか。
一体ずつなら倒せなくもないのだが、流石にこの数はさばけない。
このままじゃ時間とともにすり潰されておしまいだ。
…………もっとも、あたし達だけならの話だが。
「────みんなっ! 今の配信画面から観てどこが安全に見える!?」
『ん んん?』
言葉に反応し、エゴイズムも手元の花画面を見やる。
そこに流れるのは、幾万の瞳が導くアドバイスの群れ。
〈本体の近くが安地に見えるけど……〉〈自分に当たらないようにしてるのかな?〉〈当たっても即アウトじゃないなら蹴ってみるとか〉〈いや懐かしいなコレ!〉
「おっけ助かる……さんきゅーみんな!!」
こんな時にもリスナーさん達が頼りになる。
アドバイスに倣い右へ、左へ、時に下へ。
『なんだァ!? このがめんは どこからとって …………ウエかッ!?』
見やった上方。
…………きらり、天井に輝く光点がひとつ。
その正体は、あたしの能力で作った火の小鳥だ。それが写真家の花を首に吊るし、下方に向けている。
…………この戦いはさっきから、ばっちり2カメで撮影しているのだ。
視聴者さん達からはさっきのイメージみたいに、まるで弾幕ゲーかなにかのように見えている。いわば今回の配信は、あたしという自機をコメントで誘導し、エゴイズムの攻撃を避けるゲームだ。
〈そこは平面移動じゃ詰む、一旦下に避難して!!〉〈あれ、でっかいのが二体に……って一匹手前に来てるだけか!〉〈左手は見え方のサイズにバラツキある、注意して!〉〈いやそれ横に逃げたらスカスカ逃げられる地帯じゃね?〉〈そうかな……そうかも?〉
上下の指示は若干怪しいが……それでも前後左右、二次元分だけでもラクできるなら儲けもの。
なのだが、当然そのカラクリは神獣エゴイズム様にも筒抜けなワケで。
『ウマイこと やりやがる…… アイテが おじいちゃんじゃ なかったら コメントにまざってたよ!』
合図一言。
ごうっ!! と手の弾幕がカメラに迫る。
当たり前の戦術だが…………あたしだって避けるばかりじゃないのだ。
「……ばぁ♪」
『えっ!?』
天井に目をやった隙をあたしは逃さない。
あたしから目はそらさせない。
一撃。
爆炎。
『むッ ……くそっ!!』
火炎弾を叩き込み、即時離脱。
そうしてまた弾幕をさばき、エゴイズムが隙を見せたら近づいて攻撃。
これを繰り返す。
そうして耐久するうちに活路を見出し。
あたし達の火力でも攻略できる道筋を探る……のが持ち込んだ作戦だ。
牽制程度の炎。大して様子もなく、神獣サマは平然と立ち上がる。
『オドロキはしたが ……どしたァ!? そんなんじゃおじいちゃん ぜんぜんコタえないぞォ!?』
「…………わかってるってーの。焦らない焦らない♪」
コレはまだ準備段階。
お互い守りガチガチの耐久戦。
挑戦者として
何度でも。
何度でも。
何度でも。
何度でも。
な・ん・ど・で・もッッッッッッッッ!!
「────おりゃあああああ!!」
『き く かァアアア アアア!!!』
…………ぶつけ合わせて幾度目か。
硬質同士ぶつけあい、衝撃だけで体力が削れ行く中。
慣らしていくうちに、見えてくるものがある。
「…………おや?」
「どうした、二号」
「ちょーっと一号サマ、あたし見つけちゃったかもよ?」
手間のわりに、さっきから妙に体が軽く感じる。
いつからか、弾幕を避けるのにも苦労しなくなっている。
作戦がハマりすぎていたのだ。
ふたつのカメラを駆使して観るとわかる。……どういうわけか、エゴイズムの手下の陣形がやけに平面的に見える。手の弾幕の配り方に、縦軸の厚みがあまりないのだ。
向こうが本気な以上、コッチの作戦に合わせる義理まではないハズだ。
とくれば、なにか合理的な理由がある。
エゴイズム自身の実力の限界だろうか?
いや、もしそうなら負担を減らすために、彼自身もフロアを俯瞰するよう陣取るハズだ。
だとしたら…………
「おっとっと……掴めてきたかな?」
『おい…… いいかげんに ……いや』
コッチが解析を済ませつつある中、向こうもウンザリしながら手の内を読みきりはじめてる。
『いや おいまさか…… いまでも タオすきが ないな にごうチャン?』
さすがにバレてきた。
やっぱり始めの一撃での全力と見比べられたようだ。
「……まあねー♪ ここに来る前から考えてたけど、ぶっちゃけ……死なない相手倒し続けても不毛でしょ?」
『さっきのは しりあいぶたれて ちがノボってた だけってか? ……ならそもそも なにをしにココへ……』
「まあ……こうしに、かな?」
声に合わせ、いい感じに温まってきた服に手をかける。
『だからナニを…… って ぇぇ!?』
読まれても、更に上行くサプライズ。
そろそろだと思っていた。
体温の上昇と発汗に合わせ、鎧の下の戦闘服がいくらか溶けはじめていた。
『オマエ そのフク……!?』
「えっへへー……こーいうの、普段は苦手なんだけどね?」
〈え、溶けてるの!?〉〈エッッッッッッッッ!!〉〈くそ、二号ちゃんがちっこくて見えない!〉
なかなかに扇情的な光景なんだろうけど、簡単には見せてあげない。上空から俯瞰する図はそのためでもあるのだ。
流石に、肌色成分マシマシの配信をすると垢BANを喰らったりする。この構図ならよっぽど近づきでもしない限りその恐れはない。
「さーてどうする?」
ここで揺さぶる。
「このまま戦えばあたしは『必勝の技』を使う。そしたらアナタは負けるし、衣装も完全にふっとんじゃうかもね。
マヌケな絵面の出来上がりってワケ。アナタが紳士だってんなら止めればいいし。それとも……このまま放送事故でも起こしちゃうー?」
隙を見計らい、1カメでギリギリを攻める。
『ううっ……!?』〈カメラさんもっと下!〉〈程よい谷間が……うっ〉〈衣服が半端に残ってるのが……グッ〉
ギリギリで釣り上げ、近づけど届かせない。
サービスも欠かさず、それでも分を弁えて。
このバランス感覚が、気が遠くなるほどムズいのだ。
気づけば静寂。
ピタリ、手の弾幕は制止していた。
…………エゴイズムの手が 少し震えている。
『ったく…… おじいちゃんを なめるなよ? ここまで キといて……』
それでも。
言ううちに、手のひとつひとつが再び動き、瓦礫を握りだしたのを…………あたしは見逃さない。
ここに来て新たな攻撃パターン。
やはり神獣サマは、一筋縄では口説けないようだ。
『そんなテイドで とまるかよォ!』
「……デスヨネー♪」
叫びとともに、手の群れが一斉に振りかぶる。
正直、コレで止まるなんて甘いルートはさっきの時点で捨ててた。
だけど諦めない。
あたしは沢山のプランを練る。
ここからが魅せ所なのだ。
────ガぐグギャゴガガシャンガラズガシャアン!!
桁違いの轟音が響く。
戦いは最後のフェーズに差し掛かっていた。
同時視聴者数28500→32500!!!(HOT!!!)
視聴登録者数91000→94000!!!