↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/111

電車の運転見合わせで一時間目休み。ラッキー

「よしっと」


 レベッカは、チノの家の中の自分に譲ってくれた部屋の中で椅子に座っている。

 その手には、いつかの手紙が握られていた。


「ここに………」


 アイトを殺した犯人の手がかりがある。

 既に条件は達成した。

 〈ヴァインヒルトを実質的に殺す〉〈レベッカの指名手配を取り消す〉〈知り合いを遊びに誘う〉の三つの条件は達成された。

 既に手紙にかけられた封印は解けており、あとはレベッカが封を開けるだけとなっている。


「ふぅ………」


 レベッカは一度深呼吸をすると、ゆっくりと息を吐く。緊張していないわけがない。遂にレベッカが求めていた情報が手に入るのだ。これを開けなければ全ては止まる。


「えいっ!」


 意を決してレベッカは勢いよく手紙を開ける。

 中には一枚の紙が入っているだけだった。


「これが………」


 折り畳まれている手紙を開ける。

 中には場所だけが記されていた。


『思い出の、湖』とだけ記されていた。


「え?これだけ?」


 思い出の湖だなんて、言われてもわからない。事実、レベッカには心当たりがなかった。


「なんの、思い出だろう………」


 なんの思い出か。レベッカの思い出と言えば、ここ二ヶ月の思い出と、アイトと付き合ってから出かけた記憶、あとは虐められたことしかないのだが。


「この二ヶ月に湖には行ってないよね………」


 行ったとすれば、ナイルの家やリリルナ家、海くらいだろう。


「じゃあ、実家?」


 かつて家にいた頃を思い出す。アイトと付き合うまではあまり家から出て行ってなかったので、その間の記憶だが………


「あっ………」


 思い出した。


「そうだ………」


 レベッカは、アイトに連れて行ってもらったじゃないか。


「森の奥の湖、だよね………」


 レベッカの思い出に湖なんて、その他はどこにもない。

 それからのレベッカの行動は速かった。すぐに必要な荷物を纏めて、部屋から出る。


「あ、フィアラ。お昼ご飯だけど………」


 丁度リビングにいたチノが話しかけてくるが、


「どこか、行くの?」


 レベッカの姿を見て不審に思ったチノがそう聞いてくる。


「うん」


 レベッカの言葉はそれだけだった。だが、それだけで何をするのかある程度察したチノ。


「すぐに、行かないとダメ?」


「うん。どうしても、行かなくちゃ」


 でないと、レベッカのこれまでの意味がなくなってしまう。


「じゃあ、約束して」


 チノは強い意志を込めながら言う。


「絶対に、帰ってきて」


 その言葉に、レベッカはチノの目を見ながら答える。


「もちろん。絶対に、帰ってくるから」


 そう返して、レベッカは街から飛び出し、思い出も湖に向かって走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。