お金と命。大切にするならどっち?これって人によって変わるよね
「なんだか、拍子抜けだったね………」
帰り道。フィアラの隣を歩くチノはぽつりとそう言った。
「そうだね。もっと難航すると思ってたのに………」
だが、フィアラが楽できたのも、ナイルのお陰だ。ヴェルフは、決してチノの友人だから、だなんてそんな簡単な理由だけでフィアラの協力をしたわけではない。
ヴェルフがフィアラを認め、そして今なら勝機もあると判断してくれたからこそのこと。
つまり、フィアラは運がよかったのだ。
「ナイルに、会いに行かないとね」
お礼と、謝罪のために。
「でも、まずは帰ってゆっくり休も?折角目標が一つ達成されたんだし、こういう日くらいゆっくり休んでもバチは当たらないよ!」
「そうだね………」
ゆっくり休む。そんなこといつぶりだろうか。
「あっ………」
そこで、フィアラは最後のミッションを思い出す。
「ねえ、チノ………」
フィアラは、沈みゆく夕日を見ながらチノに向かって言った。
「指名手配が解けて、ナイルに謝って帰ってきたら、一緒に遊びに行こ?」
そう誘ったのだが、チノから反応が来ない。変だと思ったフィアラはチノを見るが、戸惑っている様子だ。
「えっと、どうしたの?」
「え?だって、フィアラが遊びに誘ってくるなんて………」
確かに、今までだったら絶対に有り得なかっただろう。だが、
「私にも、それだけ心の余裕ができたってこと」
条件の三つ目は〈知り合いを遊びに誘う〉だ。
まだどこに遊びに行くのかも決まっていない。他に誰かを誘うのか、誘わないのかも決まっていない。けど、
「きっと、楽しい一日になるよ!」
なぜ送られたのかわからない条件だとしても、今はそれに感謝しながらチノと一緒に家に帰ることにした。
「どこに遊びに行こっか」
「海とかは?」
そんな、微笑ましい会話をしながら。
その一週間後、レベッカの指名手配は完全に解除された。




