マイナスイオンについてどう思う?
「楽しかったねぇ!」
廊下を歩くフィアラの前をチノは伸びをしながら歩いている。
「そうだね………」
チノとのパフォーマンスが終わって、フィアラはまだ高揚感が冷めていなかった。
「それで、どうだった?」
チノが覗き込むようにフィアラを見ながら問いかけてくる。
正直、フィアラは終わった瞬間は失敗だと思っていた。
パフォーマンスが終わっても、観客は静かだったから。
だけど、そのすぐあとにフィアラたちの耳には大喝采が届いた。多くの観客たちの声が聞こえた。
だから、
「すごく、楽しかった!」
「ほんとに!?」
フィアラの満面の笑みと共に言った言葉に、チノも笑みを浮かべながら抱きついてきた。
「きゃっ!」
「良かったよォ!フィアラが楽しんでくれて!」
フィアラは抱きついてくるチノの背中を優しく撫でる。
「これで、楽しんでくれなかったら、無理矢理誘って悪かったなって思っちゃうし………」
「あ、無理矢理誘ったっていう自覚はあったんだね」
まあ、無理矢理感は否めなかったが、フィアラはそれを咎める気は無い。
「ねえ、チノ」
「なあに?」
「私たち、あのマスタークラスの二人にも負けてなかったかな?」
フィアラのそんなちょっとした疑問に、チノは?を浮かべると。
「当然じゃん。だって、私とフィアラだよ?」
片やトップアイドル。片や全属性適性持ちの魔法使い。できないはずがなかったのだ。
「そうだよね」
それは自分自身が世間に認められているような気がして、フィアラの心は満たされていく気がした。
「これで、マスタークラスへの昇格戦に招待されると思うよ!」
マスタークラスへの昇格戦。昇格戦はさすがに自由に参加できるやけではなく、推薦が必要になるのだが
「私たちなら、大丈夫だね!」
チノはもちろん、フィアラももう疑っていなかった。
「じゃあさ、帰ったら昇格戦に向けて練習しよ!」
「フィアラ、やる気だね。でも、少しは休まないと」
「でもでも、折角だから最高のパフォーマンスをしたいじゃん!」
フィアラの言葉に、チノはニヤニヤしながら
「あれれ〜?最初はあんなに無表情でしてたのに………」
「ううっ………そ、それならチノだって。最初の印象と全然違うじゃん!」
「わっ!言っちゃったね!ミラクル・チノちゃんはファンのための性格なんだからこれでいいの!」
少し前まではこんな言い合いはできなかった。
(たまには、こういうのもいいな………)
それほどまでに、今のフィアラの中でチノの存在は大きくなっていたのだ。




