ミラクル☆パフォーマーデビュー♡
前回のあらすじ
警備員「身分証明書を」
レベッカ「私、不審者だ………」
レベッカ改め、フィアラは警備の人に身分証明書を貰い、無事に街に入ることが出来た。
だが、フィアラは無事に入れたというのに通りの真ん中でため息を吐いている。
「はぁ………」
そんなフィアラの手には財布があった。
身分証明書の発行には少なくないお金が必要で、フィアラの全財産の九割が持っていかれてしまった。
元々お金をそれほど持っていなかったにしても、予想外の出費すぎる。
「明日から、どうしよう………」
アイドル辞めて強盗にでもなるか。だが、それでは指名手配の取り消しには繋がらない。
「どうしよう………」
人生一寸先は闇と言うが、その通りだ。
「宿に泊まるお金も無いし、今日のご飯のお金もない………」
今、フィアラは人生の危機に直面していた。
お金はなく、売る物も存在しない。
体を売ってしまえば、レベッカの目的には近付けなくなる。
フィアラの悩みの種は、今この瞬間ではお金だけだった。
「どうしよう………」
アルバイトをしようにも、すぐにはお金は入ってこないし、働いた経験がないフィアラにとって、たとえ雇ってもらえても、すぐに解雇されるのがオチだろう。
そうして、一人寂しく歩いていると、人だかりを見つけた。
「なんだろう、あれ………」
よくわからないが、ここはアイドルの街。もしかしたらアイドルがあそこで活動しているのかもしれない。そう思って行ってみる。
人だかりは殆どが男で、その男たちは一人の少女を見ていた。
「みんな〜こんにちは〜!」
その人物は、青を基調としたへそ出し仕様のアイドル衣装を着ている少女だった。
その少女は、相当人気なのかこんにちは〜と言うだけで、その少女の野次馬と化していた男たちも声を合わせてこんにちは〜と言っている始末。
「は〜い!みんなのアイドル、チノ・リリルナで〜す!」
「え!?」
その少女、チノの名前を聞いて、フィアラは思わず声を上げて驚いてしまった。
(まさかのリリルナ家の血筋だったなんて………)
まさか貴族令嬢がパフォーマーをしているだなんて、誰が予想するだろうか。
「突然の出会い、ミラクル☆パフォーマーデビュー♡ということで、今日は素敵な方を誰か一人、パフォーマーに招待しちゃいたいと思いま〜す!」
その瞬間、男たちは「うおぉぉぉぉ!!」と声を上げた。
(ちょっと、怖い………)
フィアラが人知れず引いてると、チノはどんどん話しを進めていく。
「今回は、素晴らしい原石を持っているにも関わらず、審査員に落とされてしまったりと、立ち往生している子に、声をかけていきたいと思いま〜す!」
健気な子なんだろうな。そうフィアラは思う。
「さ〜てさて。それでは、素敵な方をコンテストに誘っていきましょ〜う!」
チノのその言葉で、男達は静まり帰った。
フィアラは、なぜ静かになったのかわからなかったが、彼らにとってはチノのコンテストスカウトはいわば神聖なる儀式。そんな儀式を、邪魔するなんて言語道断。
「え〜と………」
チノは、額に手の側面を当てて、探し物をするかのように辺りを見渡す。
(あ、目があった………)
フィアラは偶然にも目があい、その瞬間、チノも「あっ!」と声をあげると、フィアラに近付いてきた。
「不思議そうにこちらを見ていた、あなた!」
チノは突然フィアラの前まで来た。
「ふぁ!?」
「あはは、緊張してる。ほら、スマイルスマイル」
チノはニッコリとスマイルを作ると、フィアラにそう言った。
「は、はい………」
まだ固まっているが、少しだけ柔らかくなったフィアラを見て、チノは「うんうん」と頷いた。
「やっぱり、女の子は笑顔が1番だよ!ところで、君はコンテストに出場したことあるかな?」
「えっと、今日来たばかりで………」
「あっそうなんだ!?じゃあラッキーだね!」
まあ、フィアラにとっては僥倖だった。
「では、今日はこの子をコンテストにスカウトしちゃいま〜す!」
そうしてまだ少し固まっているフィアラにチノは笑顔を向けて
「お名前は?」
「えっと、レ………フィアラ・チューナです!」
「ありがとう!教えてくれて!」
チノがそう言って、フィアラの手を握った瞬間、フィアラが手に持っていた財布が地面に落ちた。
「あっごめんね………」
チノがそう言って、財布を拾おうとした手が止まった。
そしてチノは気まずそうに顔をフィアラに向けて、
「えっと、本当にごめんね………」
心のそこから申し訳なさそうに謝ってきた。
Q.レベッカの今の残高ってどれくらいなの?
A.日本円で、だいたい200円くらい。ちなみに身分証明書は日本円で八万円くらい
Q.チノって本当にリリルナ家の人なの?
A.そう。アイドルの才能がある子
Q.お財布落ちて、200円来てなかったの?
A.100円だけ消えた。だから残り100円




