直前まで自信満々でも、いざ目の前にすると、腰が引けることってあるよね
前回のあらすじ
レベッカ「メイクってすごい!」
執事「お時間になったので、お連れします」
アイト「不安ですか?」
入った瞬間、煌びやかな空気がレベッカを襲いかかった。
社交会はまだきちんと始まっていたわけではないが、それでも既に来ていた貴族令嬢達は、それぞれ会話に乗じている。
レベッカが入ってきた時も、扉はそれなりの音を鳴らしながら入ったが、ほとんどの人は見もしなかったし、残りの人たちも一瞬視線を向けるだけ。
「え、えっと………」
不安でレベッカは目を瞑ってしまう。
大丈夫だと言い聞かせても、どうしても緊張してしまうのだ。
「お嬢様」
と、そこへアイトが肩に手を置いた。
「ア、アイト………」
「下を向かないで、前を向いてください。大丈夫です。怖いものなんてなにもありませんから」
アイトの言葉を聞いてもどうしても怖くなってしまう。
「う、うん。わかった」
だけど、レベッカは立ち向かうって決めたから。
前を向いて、小さく深呼吸をした。
「スー、ハー………」
誰もレベッカを見ていないので、奇っ怪な視線は向けてこない。
だからこそ、レベッカは安心して動けるのだ。
「ありがとうアイト。もう、大丈夫」
「そうですか?では、僕は行きますね」
そう言ってアイトは離れてしまった。
元々アイトは使用人。だからアイトがこの社交会に本格的に混ざることはできないのだ。
使用人は壁際で終わるまで待機するか、主人の控え室で待機するだけ。
この社交会の場には、護衛は基本的に連れてきてはいけない。
もしいざこざが起きてけしかけると、それが戦争の引き金になりうるからである。
「ふぅ………」
レベッカは息を吐きながら歩き始める。
そして人混みの中に入ろうとして、問題点が生じた。
(あれ?私、話す人いない………)
他の人達はみんな会話してるのに、レベッカだけ話す相手が存在しないのだ。
「ど、どうしよう………」
今までヴァインヒルトがレベッカを外に出さなかった弊害が生じた。
人混みの前でアワアワし始めるレベッカを見ても、アイトは動くことができない。
原則、使用人は動くことを禁じられている。部屋から出るのは問題ないが、貴族たちの中に入り込むのは禁止だ。
なので、アイトは暖かい目で見守ることしかできない。
(頑張ってください。レベッカ)
ただ、心の中で応援することしかできないのだ。
そして、レベッカも同様に混乱している。
(助けてアイト!)
ただアワアワして動くことができないレベッカは、その場で立ち尽くすのみ。
レベッカはキョロキョロするだけで、その場に立ち尽くすのみ。
もちろん、さほど興味のない貴族令嬢たちは、レベッカに見向きもしない。
さて、ここで少し読み返して欲しい。レベッカに興味がないのは貴族令嬢である。
レベッカに見向きもしないのは貴族令嬢なのだ。
そして既に来ていたのは貴族令嬢。つまり、貴族令息はまだ来ていないのである。
「あれ?君はこんなところでどうしたのかな?」
と、オロオロしていたレベッカの背後から誰かが話しかけてきた。
「あ、と………えっと、その………」
思わず言葉に詰まるレベッカに、その令息は笑いながら
「いいよゆっくりで。もしかして、こういう場には慣れてないのかな?」
「えっと、その、はい………」
その言葉を聞くと、令息は満足そうに頷いた。
「なら、よかったら僕がエスコートするよ」
「ほんとですか!?ありがとうございます。えっと………」
名前がわからずに、言葉に詰まると、「ああ」とわかった感じでその令息は頷いた。
「僕の名前はナイル・フーラ。君の名前を教えてくれないかな?」
そう言って、その令息は笑顔で手を差し出してきた。
Q.最初は貴族令嬢しかいないんですね
A.一斉に入ってトラブルを防ぐためですね。令嬢が先なのは、先に令息が入ってその後に入ったら、それはそれでトラブルが起こるから
Q.使用人は壁際なんですね
A.これも言った通り、トラブル防止。あとは万が一アイトが暴れた時の防止。アイトほど危険なものはない。アイトがいなかったら、使用人たちももう少し自由にできた
Q.レベッカ、話しかけなくて良かったの?
A.レベッカにそんな度胸はない
さて、レベッカを急にナンパする謎の男ナイル。ナイル君は無事に帰ることができるのか!?
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