さよならは寂しい言葉。だからまたねと言って別れる
前回のあらすじ
ステラ「今なら見逃してあげるよ?」
レベッカ「私は絶対に見捨てない!」
今日は調子がいいからまた投稿
困惑。今のステラの状態を表すならそうだろう。
慈悲をかけてあげた。
こんな自分を友達と呼んでくれて心配してくれた相手だから。
だが、その相手は、今自分の前に立ち塞がっている。
優しさだということはわかっているのだ。レベッカが先程見捨てないと宣言したように、レベッカの優しさでステラを殺戮の道ではなく、普通の道に戻そうとしていることは。
「なんで、見捨てないの?」
見捨てればいいのに。手放せば楽なのに。
「なんで、それをしないの?」
「だって、ステラは友達だから。お父さんやお母さんの行動で、嫌な目にあったかもしれない。けど、それ以上にステラには幸せになってほしいから」
「見捨てれば、楽なのに?」
ステラは楽な方の道を提示する。
人間は無意識的に自分にとって楽な方を選ぶようになっている。これは意識しないと治らないもの。この直面でレベッカはきっと楽な方を選ぶ。
「私は、私の心にとって一番楽な方を選ぶから」
肉体的にではなく、精神的に。
「見捨てたら、いいのに………」
ステラはレベッカに静かにナイフを向ける。
「これで、心臓を一突きされるだけで、人は簡単に死ぬんだよ。私の気が変わらないうちに逃げた方が………」
「私の意見は変わらない。私は、ステラを見捨てたりしないから」
ステラのどんな行動にもレベッカは臆せず立ち向かう。
「一緒に行こう。一緒に生きてみよう。この理不尽な世界の中にも、まだ希望があるんだって私は信じてるから!」
この日、ステラに会ってからずっと笑わなかったレベッカが今、笑みを浮かべる。
目の前の人を、安心させようとする。そういう笑みだ。
「ステラ………」
静かに名前を呼ぶ。
レベッカの悪足掻きはここまで。あとは、ステラの判断に任せる。そういうことなのだろう。
「殺した、のに………」
「それを今口に出すってことは、ステラが悪いことをしたって自覚してるからだと思う。だから、まだステラは改心できるよ。それに、ステラにはまだ人を思いやる心が残ってるから」
ステラはその目から静かに涙が溢れる。
「うぅぅ………」
ステラの【選別領域】が解除されたのをレベッカは肌で感じ取った。
「ね?ステラ」
レベッカはステラのそばまで歩み寄って、その場にしゃがみこむ。
「レベッカ………」
「なに?」
「もしここで、私がステラの事を斬り裂いたらどうするつもりだったの?」
レベッカはその考えに至っておらず、「あっ」と声を漏らした。
「やっぱり、レベッカってどこか抜けてるね」
そう言いながら立ち上がったステラの顔には、ほんのりと笑みが浮かんでいた。
まだ小さな、笑みが。
「抜けてるって………そんなことないと思うけどなぁ」
「そんなことあるよ。さっきのが私じゃなかったら、レベッカ殺されてたよ?」
ステラは悪戯的な笑みを浮かべながらそんな事を言う。
「じょ、冗談だよね?」
笑えない冗談に、レベッカの顔は引き攣るが、ステラはレベッカのいる方とは反対側を向きながら「さあね?」と言うだけだ。
そしてステラが振り向いた瞬間
「レベッカ!」
ステラが急にレベッカを引き寄せ、背中を突き飛ばした。
「うぐっ」
レベッカは鈍い音を鳴らせながら地面に倒れた。
「もう、ステラ。いきなり何するの?」
もしかしたら衛兵が来たのかも。
だが、それにしては急にステラが突き飛ばすのもおかしいし、衛兵がなにも言わないのもおかしい。そう思いながら目を開いた。
だが、そこには拘束されていないステラの身体もあり、人の姿はなかった。
だが、ステラの身体には、首から上がなかった。
「ステ、ラ………?」
ステラは背を向けた状態で首から上を無くしていた。
「なん、で?」
頭が動かない。思考が、止まる。だが、そんな中でもレベッカは静かに首を上げて
「あっ………」
涎を垂らしながらレベッカを見下ろしてくる獣の姿を見た。
『gugyaaaaa!!』
獣が、見ていた。
Q.ステラって見捨ててほしかったの?
A.見捨ててほしかったっていうより、レベッカを無関係にしたかっただけ。これでステラのことが誰かにバレたら、レベッカも裁かれるから。結局ステラは優しい
Q.選別領域の展開と解除ってわかるものなの?
A.選別領域は、結界みたいなもの。境界線は外からは見えないけど、内部の空気感は少し違うので案外わかる
Q.獣ってどんなの?
A.すごく大きくて、二階建ての家よりも大きい。四足歩行型の魔獣ですね。毛は全身真っ黒で、本来こんなところに来るような魔獣じゃない。それなりの強さがあって、その毛皮は割と高く売れます
Q.死んじゃったよ?
A.ご愁傷さまですね(-∧-)合掌・・・
元々鬱系も狙ってたので、少しくらい見逃してください
ラブコメじゃないじゃんという声も聞こえてくる気がしますが、まだ本格的にラブコメが始まってないだけです。これからです
これからのラブコメ要素に期待してる方も、期待してない方も、ブックマークや評価、感想の方も頂けると嬉しいです!
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