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孤独な海獣ポッセ

作者: 小野 さとる


これはある海に住む海獣ポッセの物語。ポッセは暗い暗い海の奥深くに1人で住んでいました。

持っているものは、いつから持っているのかわからないけど、見ると安心する金のネックレス。

友達といえば、週に一回遊びに来る海獣仲間で頭の固いカーイだけでした。


今日も、カーイが遊びに来ます。


ポッセ〜!!今日も岩場にいるかーい?

いるよ〜カーイ!!久しぶり!!今日はどんな街の話を聞かせてくれるんだい?


カーイは海獣たちが住む街の住人で、ポッセのところに来ては街の話をしてくれました。

カーイによると街はとても危ないところで、近寄らない方がいいと言います。いつもとても怖い話を教えてくれます。


街には人間という生き物がたまに来ては、海獣を焼いて食べるそうです。

街には毒を持つ悪者がいっぱいいて、夜になると仲間を襲って回るそうです。


でも、街には王様がいて悪者たちを退治してくれるそうです。


ポッセはカーイの話を聞き、街は怖くて行きたくないと思いながらも、王様にはかっこいいと憧れていました。


今日もカーイの怖い話を聞いて1人で怯える夜が来ます。

ポッセは1人の夜は怖くて寂しいけど、街よりは安全だといつも我慢していました。


唯一の友達のカーイがいてくれたおかげで、生まれてからずっとこんな生活をしながらも、なんとか過ごしていれました。


ある日、ポッセの噂を聞いた噂好きのコソコソがポッセの住む海の奥深くの岩場にきました。


ポッセっていう海獣はいるの〜?

1人でずっと生活してるの〜?

おーーーい?


コソコソの声で目が覚めたポッセは街の怖い海獣が来たんだと思い、返事はしませんでした。

するとコソコソは噂が嘘だったと思い、諦めて帰っていきました。


ポッセは一安心しながら朝の散歩に行こうと岩場から出ました。すると……


やっぱりいた!!!


帰ったと思ったコソコソは岩場の影に隠れて様子を伺っていたのでした。


ポッセは驚いて急いで岩場に逃げました。


コソコソは話を聞くだけだよ〜

何もしないよ〜

と、言いますがポッセは信じられません。


するとコソコソが岩場の外に金のネックレスが落ちているのに気づきました。


お〜い!!

この金のネックレスは君のじゃないの〜?


ポッセは首を確認すると、いつもつけている金のネックレスがありません。

コソコソに驚いた時に落としてしまいました。


しかし、ポッセはコソコソが怖くて外に出れません。


コソコソは、君のじゃないなら貰っていくよ〜?いいの〜?


ポッセは何も言えませんでした。

コソコソはその金のネックレスを持って、帰っていきました。


また遊びにくるね〜!!


ポッセは怖くてずっと岩場から出れないでいました。

するとカーイがいつものように陽気な声で、


ポッセ〜!!今日も岩場にいるかーい?


とやってきました。

ポッセはカーイを見ると安心して涙が溢れました。それを見てカーイが驚いて話を聞きました。


するとカーイが、金のネックレスを盗まれたのかい!?

これは大変だ!!と大騒ぎをしながら急いで街に帰っていきました。


ポッセはまた1人です。


寂しくて寂しくてどうしようもなくなったポッセは、カーイを追いかけて街に行くことにしました。


いつもカーイが通っている道はいろんな話から想像ができました。

真っ暗な海を1人街を目指して進み出しました。


その頃街ではコソコソが質屋に金のネックレスを持って来ていました。


拾ったんだけどいくらになる?

値段によっては売ってあげるよ。


質屋の店主が金のネックレスを鑑定すると驚くことにこれは前王様の紋章がついた物でした。


これをどこで拾ったんだ!?

前王様はどこかにいるのか!?


質屋の店主の慌てぶりにコソコソは驚いて金のネックレスを持って慌てて逃げました。


コソコソは家について質屋の店主の驚きはなんだったのか気になりました。

もしかしてこの金のネックレスは、行方不明になった前の王様の物なのか?

真相を調べるためにコソコソは、また海の奥深くのポッセを訪ねることにしました。


金のネックレスが盗まれたと知ったカーイは、急いで王様に報告をしにいきました。


王様!!ポッセの金のネックレスが盗まれました!!


なんだと!?

カーイ!!貴様は何を見ていたんだ!!

お前の仕事は、ポッセの存在を隠し、1人岩場で生活させることだぞ!!

何をやっているんだ!!


王様はカーイに怒鳴りました。


カーイは今の王様のスパイでした。ポッセが岩場から出ないように、街の怖い話を聞かせていたのです。

そんなことを知らないポッセは、カーイを追いかけて街の入口に来ていました。


街はポッセのイメージとは違い、華やかで煌びやかで楽しそうに見えました。

街に入るのを戸惑っていると、凄いスピードでこっちに来るコソコソが目に入りました。


ポッセは逃げようとしましたが、コソコソのスピードに敵わず捕まってしまいました。


コソコソはポッセを捕まえて、


大丈夫!!何もしないよ!!

話が聞きたいだけなんだ!!

逃げないでくれ!!


ポッセは驚きながらも逃げるのをやめて、金のネックレスを返してほしいと伝えました。


しかし、金のネックレスは家の棚にしまっていたので一緒にコソコソの家にいくことになりました。


家につくとコソコソはポッセにいろんな質問をしました。


今まであの岩場で生活してたの?

金のネックレスはどこで手に入れたの?


ポッセは丁寧に答えました。


生まれてからずっとあの岩場で生活していた。友達に街は危険だから岩場にいた方がいいと教えられた。

金のネックレスは気付いたらずっと着けていた。自分が捨てられた時に一緒に捨てられたんだと思う。


コソコソは他にもいろんな質問をしましたがポッセはあまり自分のことを知らないようでした。


コソコソはポッセのことが気になり、ポッセの生い立ちや、金のネックレスとの関係など調べてくれることになりました。


まずはポッセと金のネックレスの関係を調べるために質屋の店主のところに2人で向かいました。


コソコソが店主に金のネックレスについて知っていることを教えてくれと頼みました。

店主は店の裏で話すと言うので、ポッセとコソコソが付いて行きました。


店主が知っていることを話してくれました。


ポッセが付けている金のネックレスは前の王様が付けていた物だ。前の王様はとても優しく、どんな海獣でも受け入れる心の大きな人だった。

しかし、その優しさを利用した奴がいた。それが今の王様と執事だ。今の王様と執事は、前王様が優しいことをわかっていて、誰かを救うためにお金が必要だと執事と協力して前王様からお金を盗んでいたんだ。

しかし、そのお金は前王様が使ったと記録には残していた。額は大きくなり前王様がそれに気付きそうになると、今の王様は前王様が自分のためにお金を使っていると噂を広めたんだ。執事も協力したから噂はあっという間に広がって、街の住人たちで暴動が起きたんだ。

暴動はお城の中にまで広がって、誰も手を付けられなくなったんだ。それから前王様は行方不明だと聞かされ、今の王様が前王様の不正を発見したということで、王位に着いたんだ。

それから前王様を見たものはいない。その前王様の紋章が付いた金のネックレスは、王族が代々受け継いできたものだと聞いているよ。

ポッセはその金ネックレスをどこで見つけたんだい?


ポッセは話を聞いて、少し昔のことを思い出しました。

それは王様のような方が自分を海に送り出す寂しそうな姿でした。


もしかして僕は前王様の子どもなのかな?

金のネックレスは僕がずっと持っていたものなんだ!!


店主は驚きながらも前王様と似ている雰囲気のポッセに、そうだとしたら今の王様と変わって王位に着いてもらいたいもんだなと笑って話しました。


金のネックレスの話を聞かせてもらったポッセとコソコソは、次にポッセのことを知っている友達に会おうと探しました。


ポッセは金のネックレスが盗まれたと言ったら慌てて街に行ってしまったとコソコソに伝えました。


するとコソコソは、その友達はずっと昔からポッセのことや、金のネックレスのこと、全部知っているんじゃないかな?

なんでポッセに教えてくれなかったんだろう?それに街が怖いところと言いたのも気になるね。


ポッセはコソコソが言っていることに疑問を持ちながらもカーイは友達だから何か理由があるんだろうと思いました。


カーイを探しますがどこに住んでいるのか、今何をしているのかも検討が付きません。

あちこちを探してもカーイは見つかりません。


疲れ果てたポッセとコソコソは、何かカーイを見つける良い策はないか考えました。


コソコソが金のネックレスの盗んだ犯人が分かったらカーイが取り返しに来るんじゃないかな?

と提案してきました。


確かに金のネックレスを盗まれたとわかった時のカーイの慌てようを考えると取り返しにきそうだと思ったポッセは、コソコソに金のネックレスを渡してこれを付けて街で見せびらかしたらどうかな?

と話しました。


コソコソはポッセの提案にそれだ!!

とさっそく作戦を開始しました。


コソコソは金のネックレスを付けて、街中

の海獣達にこれ拾ったんだ!!いいでしょ〜!!と言って回りました。


1日中金のネックレスを見せびらかし、後ろからこっそりコソコソを見ているポッセ。


するとコソコソが暗い道に入った時に、急に頭から黒い袋を被せてコソコソが誘拐されてしまいました!!


コソコソは声を出す間もなく屈強な男達に連れてかれてしまいました。


ポッセは驚いてどうしようか考えました。

逃げるか。

質屋の店主に助けを求めるか。

カーイに助けを求めるか。


しかし、そんなことを考えている間にコソコソはどんどん遠くに連れて行かれてしまいます。


ポッセは今は自分しかいないんだ!!

コソコソを助けなきゃ!!

初めて勇気を出してコソコソを誘拐した海獣達の後をつけました。


するとお城に入って行きました。

これはお城?不思議に思いましたが、門が閉まる前にこっそり侵入しました。


そのままコソコソは地下の牢屋のようなところに入れられました。

海獣達がいなくなったのを確認して、コソコソに話しかけました。


コソコソ。助けるよ。


ポッセ!?なんでここにいるんだ!?

早く逃げて!!

これは多分金のネックレスのことを隠したい悪いやつの計画だよ!!

早く逃げて!!


ポッセはコソコソに言いました。

逃げれないよ。コソコソと僕は友達でしょ?助けるよ!!


コソコソは何も言えなくなりました。


すると牢屋に近づく足音が聞こえました。


ポッセ!!隠れろ!!

物陰に隠れるポッセ。


君かーい?

街で金のネックレスを見せびらかせていたのは?


ポッセは驚きました!!

なぜかカーイがコソコソの牢屋に来たのでした。

カーイに話しかけようとしたポッセでしたが、コソコソがそれをカーイにわからないように止めました。


コソコソはカーイから情報を聞き出そうといろいほ質問をしました。


君はポッセの友達のカーイ?

なんでここにいるんだ?

それにポッセと金のネックレスはどんな関係なんだ?


カーイは牢屋にいるコソコソを見ながら、見下したように答えました。


そうか。何も知らないでそのネックレスをしていたのか。ポッセのことはどこで知ったか知らないが、教えてやろう。

俺の今までの苦労も聞かせてやろうじゃないか。


カーイは今までのことを自慢するようにコソコソに話しました。


カーイは前王様の執事で、今の王様とは兄弟。今の王様に王位を継がせるように、前王様を罠にはめて追いやった。

その時子どもだったポッセは前王様の計画で逃げられた。しかし、カーイがポッセが隠れている岩場を見つけて、今の王様の命令で、週に一度ポッセが逃げていないか様子を見ながら、街に来ないように怖い話をしていた。

金のネックレスは前王様がポッセを逃す時に自分を忘れないように持たせた物だった。


高笑いをしながら話すカーイを見て、ポッセは裏切られた気持ちになりました。


カーイはコソコソから金のネックレスを奪い取って去っていきました。


カーイがいなくなるとコソコソはポッセを呼びました。


ポッセ!!︎今の聞いた?

全部カーイと今の王様が仕組んだことだったよ。


ポッセは辛くて泣いてしまいました。

カーイを本当に大切な友達だと思っていました。


泣いたポッセを見たコソコソは仕返しをしようと言い出します。


このままカーイと今の王様に好き勝手にさせちゃダメだ!!

なんとか街のみんなにこのことを伝えないと!!


ポッセは自分の代わりに怒ってくれるコソコソを見て力が湧いてきました。


そうだね!!みんなに悪者だって伝えないといけないね!!


まずコソコソを牢屋から出すことにしました。しかし、鍵も隙間もなく逃げることができません。


悩んでいるとコソコソは警備兵を呼びました。


おーい!!侵入者がいるぞー!!


警備兵は急いでコソコソのもとに来ました。


どこだ!?

あっちの陰に行ったよ!!


警備兵は追いかけていきました。


するとコソコソは警備兵が近づいた隙に鍵を盗んでいました。


これで牢屋から逃げ出しました。

まずはポッセと質屋の店主のところへ向かいました。


お店に着くとコソコソは物凄い勢いで、店主を呼びました。


店主いるー!?

大事な話があるんだ!!


店主は驚いて飛び出てきました。

ポッセとコソコソの様子を見て、裏で話そうとお店の裏でポッセとコソコソが知った真相を話しました。


店主はやっぱりそんなことがあったのか。

わかった!!私も手伝う!!

これでも昔は前王様の時代に警備隊長をやっていたんだ!!


これで仲間は3人になりました。

3人で作戦を考えました。

コソコソは噂を広めるのが得意です。コソコソの力で今の王様の悪さを街のみんなに知らせよう。

店主は力強さと住人からの信頼が武器です。住人に力を貸すように声をかけよう。

そして、ポッセは前王様の子どもです。みんなにポッセが生きていることがわかれば、力を貸してくれるはず。


よし!!作戦開始だ!!


みんながそれぞれの力で活動し始めました。

すると街の住人は今の王様への不満があったことから、すぐにコソコソの話を信じました。

店主はコソコソの話を信じた住人たちに立ち上がるように言いました。

そしてポッセがその先頭に立つと約束しました。


街の住人の半分がコソコソの話を信じたくらいで、今の王様が兵隊を街に送り出してきました。


今の王様の文句や悪口を言った人をどんどん逮捕をしていきました。


ますます住人は今の王様が信じられなくなりました。


住人は店主に助けを求めました。


私たちはもう今の王様には着いていけない。前王様の子どもは本当にいるの?いるなら助けてよ。


住人の声を聞いたポッセ、コソコソ、店主は、ポッセが前に出るのは今だと思いました。


ポッセが住人の前に出ました。

もう、昔の一人ぼっちのポッセではありません。

コソコソから勇気を貰い、店主から力強さを貰い、住人たちから希望を貰いました。


ポッセは立ち上がり住人に宣言をしました。


私は前王の息子ポッセ!!︎ずっと自分が何者かを知らず隠れてきた。しかし、自分の役割を知った今、皆と一緒に戦うぞ!!︎


それは前王様のように力強い言葉でした。


住人たちはポッセの言葉に力を貰い。今の王様へ立ち向かっていきました。


ポッセが先頭に立ちお城へ向かいます。


今の王様はポッセたちの動きを見てもう勝ち目がないと悟り、白旗を上げるように衛兵たちに指示を出しました。


ポッセたちは白旗を上げた今の王様たちを見て喜びました。


これでまた平和が来る!!


店主のアドバイスで今の王様とカイは事件の元凶として追放されました。


ポッセが新しい王様になり、長い時代の平和が続きました。


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