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第20話「ふたつの再会」【Iパート 暖かな決意】



「終わった……の?」

「そうみたい、ですね」


 敵の攻撃が止み、静かになった空中。

 ようやく〈クアットロ〉の増援もなくなり、クーロンに静けさが戻っていく。


「結衣先輩、すごかったですよ!」

「私は……まだまだ。ほとんどももちゃん頼みだったし」


 結衣は心のなかで、ももへの敗北感に苛まれていた。

 ももは最初から、キャリーフレームを怖がってなかった。

 恐らくは結衣に合わせてくれたのだろう。

 彼女はランニングも軽くこなし、〈クアットロ〉の出現にも冷静に美月を守り、変身して戦った。


「……そうだ、美月さんを迎えに行かないと」


 天使の翼を羽ばたかせ、美月を降ろした高層ビルを目指す結衣。

 屋上に彼女の姿が見えたとき、その側に立っているキャリーフレームに気がついた。

 そのコックピットから顔を出し、美月へと話しかけるのはウルク・ラーゼ。

 彼は結衣たちの姿に気がつくとコックピットを閉じ、美月を置いて飛び去ってしまった。


「美月さーん!」

「あら、結衣ちゃんにももちゃん。大丈夫だった?」

「はい、おかげさまです!」

「美月さん、支部長さんと何を話してたんですか?」

「私が無事かどうか確かめたかったみたい。なんだ……結局、気にしてくれてるんだ」


 嬉しそうな顔で夕暮がかった空を見上げる美月。

 その顔の中には確かに、結衣が好きなラブが溢れていた。


「美月さん、もしかして……支部長が好きなんですか?」

「ええ。ずっと、ずーっと……子供の頃からね。彼、色々変わっちゃったみたいだけど……変わらないところもあったわ」

「どんなところですか?」

「気恥ずかしくなるとちょっと冷たくなることと、なんだかんだ心配性なところ!」


 優しく微笑む彼女の表情は、とても満足そうだった。

 鍛えてくれているお礼に、美月の恋の応援をしたい。

 結衣は心のなかで、そっと温かい決意をしたのだった。


 ──────────────────────────────────────


登場戦士・マシン紹介No.20


【アーク・ジエル】

正式名:ジエル(ARCユニット装備)

全高:15.8メートル

重量:36.4トン


 咲良の愛機ジエルが木星クレッセント社から返ってきたときに、オマケで付いてきた新型ユニットを装備した形態。

 この状態は人型ロボットの形状を大きく逸脱しているため、キャリーフレームではなく「オーバーフレーム」に該当する。


 ARC(アーク)ユニットの開発コンセプトはジエルの長距離巡航の実現と、単騎による多数の敵の制圧である。

 これはアーミィ内でも少ない優秀なパイロットの力を拡張することで、一人の活躍を大幅に増やそうという狙いがある。


 ユニット名のARC(アーク)はAugmented(拡張)Reinforced(補強)Cruise(巡航)という意味を持つ。

 全体像はアルファベットのYのようなシルエットをしており、線が交差する部分にコア・ユニットとしてジエルが内蔵されるように組み込まれることで稼働する。


 腕と一体化した翼には左右それぞれに10門のビーム・スラスターが内蔵されており、これによって大型化した機体による高速航行を実現している。

 また、このビーム・スラスターは有線式ではあるが分離可能で、自在に曲がる蛇腹状の管を介して伸ばすことができる。

 搭乗者がマルチロックオンすることで、敵ひとつひとつに一本ずつビームを放ち、周囲を囲む多数の敵に一度に対処することができる。


 腕が翼と一体化している都合上、汎用的な携行兵器は使用することができない。

 しかし翼の付け根にあたるアーマー部分に右翼には大型ビーム・クロー、左翼には高出力ビーム・キャノンが装備してあるため、攻撃能力は低下どころか増している。


 防御兵装としてビーム・フィールドというバリアー発生機能を持つ。

 高速巡航モードでビーム・スラスターを噴射すると余波のビームが翼のように広がり、ビーム・フィールドを伴いながら突進することで進路上の敵に大打撃を与えることができる。

 


【クアットロ】

全高:7.8メートル

重量:9.8トン


 金星地表で採掘作業を行うために開発された、重装甲の作業用キャリーフレーム。

 イチから作られた機体ではなく、金星初期開拓期に「クアッド」と呼ばれ使われた機体が祖先。

 これは、ザンクを始めとした4種類のキャリーフレームの組み合わせて作られた即席の作業キャリーフレームであり、この複合機体を一個の機体として改めて再設計されることによって誕生した。

 左肩部から伸びるフレキシブル・パワーアームが最大の特徴で、採掘の際は掘削・破砕・運搬にと万能な活躍をする。


 顔面下部にツインアイ、中央にゴーグルアイ、額にモノアイと4つの異なるセンサーアイを持っており、ツインアイがヒゲに見えることから「紳士殿ジェントル」という愛称がある。

 その経緯から金星初期開拓民、通称・金星人(ビューネシアン)の多くが強い思い入れを持つ。

 金星宙域の電磁波、金星地表の熱に耐えられるように設計されているため、現在の戦闘用キャリーフレームと比べても遜色がない頑強さを誇る。

 また、基本フレームがザンクの流用であるため標準的なキャリーフレームの武器も用いることができる。


 【次回予告】


 巡礼の旅の第一歩として、華世達がたどり着いたのは極寒のコロニー・ウィンター。

 リンの参詣さんけいのためウィンター・アーミィ支部を尋ねる華世たちは、ウィンター支部長、キリシャ・カーマンにツクモロズ退治を依頼される。

 アーミィを悩ませるツクモロズ、それはこれまでに例のない強大なものだった。

 

 次回、鉄腕魔法少女マジ・カヨ 第21話「白銀の野に立つ巨影」


 ────迫る脅威に対抗するのは、人間の意地と絆の力。

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