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世界一の金持ちの男の暇潰し

作者: セロリア

羽山一臣 (はやま かずおみ)31歳。


独身。


独自のキリスト教観を持ち、今まで彼女はいた事はない。


勿論日本人。


彼はただの農家出身で、教養は良くない。


しかし、株、FX 、仮想通貨で財産を一代で築き上げた。


彼が2億5000万のマンションという高い買い物を初めてした所から、彼の人生に付随していこう。



2018、2月2日。


ネットの世界。


その世界では第五次世界大戦が勃発していた。


そして終戦。


Hayama kazuomi


まず気づいたのはインド、次いで中国、イギリス、スイス、デンマーク、ロシア、アメリカ、最後らへんに日本が気づいた。


          『羽山一臣』


誰だ!?、こいつは誰だ!?。


ランキングトップ3に一気に駆け上がってきたこいつは誰だ!?と。


そして。


一臣の住所へ何通もの手紙が届く事になった。


寄付のお願い。


豪華客船への招待チケットへの用紙。


インドネシアの不動産集。


スイス銀行への薦めパンフレット。


証券会社のパーティーへ出席のお願い。


ラスベガスへの招待券。


一臣「は!どれもこれもつまらん誘いだな、想像出来るやつばっかりだ、寄付してもお前ら役人が殆ど持って行くだけだろが、ち、あー、つまらんつまらん、お?」


紫色の手紙封筒が目に入った。


読むと、日本の小さなAI会社への投資のお願いだった。


一臣「・・ふうむ」 手紙を起き、風呂に向かう。


マンションの風呂に初めて入った。


一臣「・・はあ、気持ち良いい・・これ以上の贅沢は別に要らないかもなあ・・〈パシャパチャ〉」


上がり、牛乳を飲みながら、もう一度手紙を見る。


一臣「・・人類の未来を左右する、ねえ・・言うねえ、ふふ、言いますねえ、・・・・まあ・・一回行ってみますか」



岡山県、吉備高原。


巨大な灰色箱施設。




地下15階。


社長「本日はお越し頂いて誠に嬉しく、光栄で、震えていますよ、どうぞこちらへ」


一臣「はい」


量子コンピューターチップの現段階は基盤チップだ。


それを細菌のDNAを使い生きたチップ、細菌チップに変える試みの話だった。


実に50兆倍の用量になるとの事。


この技術を使えば大容量が必要な量子コンピュータが可能となり、既存の世界は一気に様変わりする。


一臣「・・良いでしょう!投資しますよ、んで?いくら欲しいのですか?」


社長「・・低く見積もりました」 分厚い用紙を見せる。


社長「最後に書かれています」


一臣「・・〈ペラペラペラペラ・・ペラ〉」 約500億。


一臣「おー!?これはこれは・・」 資料を置く。


社長「・・それは最低価格です、どうか・・日本人でそれを払えるのはあなたのみ、あなたが断ればインドか、アメリカに行く事になりますが、私共は、この技術は日本の財産と考えます、日本をアメリカの隷俗から解放する技術です、どうかもう少しお考え」


一臣「安いですね、とりあえず、1000億程投資させてください、融資証明書と、技術複権利書と、株を15%くださいますか?それが条件です」


社長「あ!ありがとうございます!本当に夢みたいです!ありがとう!ありがとう!ありがとう!ありがとう!これで世界が救われる!ありがとう!本当にありがとうう、う、うう・・これでやっと・・世界から富の分配が公平になる世界が・・夢みたいだ・・」


秘書「本当に、ありがとうございます」 土下座。


社長「う、う、うう・・」


一臣「さあ、小切手を50枚くらい書きますから、それぞれの国、銀行のモノを持ってきてください、私はこれから行く所があるので、早くお願いしますよ?ははは」


社長「は、はい!君!」


秘書「こちらに」 机に置く。


書いて会社を後にした。




3年後。



一臣は日本の岡山県のマンションの一室を賃貸にし、自分は一ヶ月13万円の賃貸マンションに住んでいた。


賃貸収入をそのまま、自分が住んでいる家賃へ当てていた。


岡山県中央図書館へNボックスカスタムで向かう日々。


株の配当だけで毎年20億。


今やAIがデータ管理をしていた為に、図書館のスタッフの仕事は本を並べる、修復、歴史の探求になっていた。


本を並べるアルバイトの女性達。


一臣は安いカジュアルな格好で通っていた。


一臣「・・」 別荘、美術、アンティークの画集をゆったり見る。


???女「あの」


一臣「・・」 気づかない。


???女「あの、すいません?」


一臣「!はい?」


???女「・・暇ですか?」


一臣「・・え?」


???女「毎日毎日居るじゃないですか?暇ですか?ニートさんですか?」


女子高生くらいの黒髪が長い美少女が聞いてくる。


一臣「・・えっと・・まあ・・はい、そうですね、ニートみたいなモンですね」


女「いけません!働かないと、親が悲しみますよ!働き口がないなら、この図書館で働きませんか?今、募集中なんです!男性を募集中なんです!本が重いんですう!」


一臣「・・えっと・・俺は・・そういうのは・・」


女「だ、駄目?・・ですか?」


一臣「う、うん」


女「・・そうですよね、すいません」


一臣「君は貧乏なの?」


女「・・はい、貧乏です」


一臣「・・そう・・アイドルとかやっちゃ駄目だよ?あの世界は体を売るのは当たり前だからね」


女「アイドルとか興味ないです!ふん!てか、あなたは貧乏じゃないんですか!?」


一臣「違いますよ」


女「はあ?どう見ても貧乏です!」


一臣「本当に?」


女「え・・」


一臣「本当に貧乏に見える?」《オオオオオオオオ》


女「見えます~べー」 去って行った。


一臣「あら?・・まじか・・ちょっとショックだわ・・」


それから女はちょくちょく働け働けとちょっかい出して来るようになった。


女「ほら!この台車持って着いてきて!」と台車を目の前に置き去ろうとする。


一臣「・・」 無視。


女「もう~着いてきてってば!」


一臣「働きたくないでござる」


女「いいから来なさい!ダメオ!」 一臣の本を取り上げる。


一臣「あ!」


女「早く!時間ないの!早く!」


一臣「・・はいはい」


女「はい、は、一回!」


一臣「はい」


女「むふー、宜しい!はい、台車押して押して!」


一臣「はい」


女「・・・・はい、ストップ、ハシゴ持って来て、ここに立てて」


一臣「・・きついのは嫌でござる」


女「お願い❤️」


一臣「・・はあ・・」 ハシゴを取りに行き、帰って来た。


女「ありがとう、ここに立てて、・・そう、はいこれ」 重そうな本五冊を持たされた。


一臣「・・これ持って登るの?」 かなり重い。


女「意外に重いでしょ?」


一臣「君は見た目より力あるんだね」


女「え?そ、そう?えへへ」 何故か嬉しそうだ。


一臣「成る程・・でもこれは確かにきついな・・」


女「でしょう?ほらほら、働き甲斐見つけた?」


一臣「・・いんや?ロボットに任せれば良くない?」


女「駄目!ロボットは力加減出来ないから!本が痛んじゃう」


一臣「!へー、仕方なくじゃないんだ、本が好きなの?」


女「当たり前でしょう?じゃなきゃこんな仕事とっくに辞めてるわよ!きついけど・・本にありがとうって言われる仕事が良いの」


一臣「・・ふうん・・」 登る。


女「気をつけて」


一臣「はいはい」


女「・・君の親が金持ちでも、ちゃんと働かなきゃ駄目よ?いつまでもあると思うな親と金!いい?」


一臣「・・」 収納終わり、降りる。


女「・・ニートは経済に良くないんだからね?」


一臣「・・ああ、そうだな・・解った・・働くよ、じゃな」


足早に図書館を去る。


女「え!?ちょ!?ちょっとお!まだまだあるのよ?途中よう?」


〈ウィーン、ウィーン〉一臣は出ていった。


女「・・ふん!何よ!馬鹿!」


半年後。


女は相変わらず忙しそうに図書館で働いていた。


雪がガラスの下に積もり、木々に積もり、図書館の暖色の明かりが綺麗なコントラストになっている。


図書館の館長が、トラックと共にやって来た。


業者が急いで、段ボールを下ろし始める。


館長が業者に指示し、大きな段ボールが次から次に図書館の裏の倉庫へ運ばれていく。


副館長の男性が館長と何やら話している。


黙って見守る女性スタッフ達。


業者が去り、館長が皆を集める。


館長「アイセレクトコンプションと言う会社を皆知ってるだろう?ロボットを主に作っている会社だが、その会社から、新しく身体補助スーツの開発に成功したから、実験として、ウチで無料で試す事になったんだ、どうだ、凄いだろ?君達にはいつも苦労掛けてるからね、もう、閉館の時間だが、明日の為に、今試着しても構わない、誰か着ないか?」


女性スタッフ達は大変喜んだ。


背中腰にバッテリー、鉄骨組みの背骨から伸びる足、手の形の嵌め込み型のスーツ。


足指は無いが手指は一本一本、入る。


これは本格的に『強化』機械スーツだ。


女性達『きゃあ、ざわざわ、きゃっきゃっ』


館長「本が大量に乗った台車を持ち上げてみたまえ」


女「ええ?まさかそんな、いくら何でも」


館長「いいからいいからさ、早く!閉館時間が迫ってるよ」


女「・・んじゃあ・・」 台車の籠の端、端を持つ。


館長「持ち上げて!」


女「・・んえい!」 〈ヒョイ〉軽々。


《シーーン》


女「キャアアア!!うっそお!?か、かかかか軽い!?軽い!軽い軽い軽い!〈ヒョイヒョイヒョイヒョイ〉」


館長「バッテリーは最長で12時間持つそうだ、良かったな、これで君達の負担がかなり軽減されるだろう!」


女達『ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!』


館長「お礼ならISC の社長に言いたまえ、彼女がこの図書館に寄贈してくださったんだよ」


女「でも何でこの図書館に?」


館長「いや、それが・・解らんのだよ、担当者が言うには、人類の大切な本を保管する場所で、尚且つ意外に作業負担が大きいからだそうだが・・、どうして意外に作業負担が大きいと思われたのか・・さっぱり解らんのだよ、・・ごほん、まあまあ、良いじゃないか、な?こうやって高価な機材が大量に8台も、しかも無料で手に入ったんだ、な?ラッキーラッキーなははははは!」


女「ラッキーラッキーですね、館長!なははははは!」


館長「君は遅刻を無くしなさい?」真顔。


女「はい」 落ち込み。


閉館。





翌日。


一臣「・・」 またアンティーク写真集を見ている。


女が台車を押して近づいて来た。


一臣「おー、この図書館がそんなに金持ちだったとはとはとは」


女「へへー、格好良いでしょう?」 クルクル回る。


一臣「ふふ良かったな、これで俺は手伝わなくて良いな」


女「・・うん凄い楽になって、何だか・・つまんない」


一臣「え?どうして?仕事が終われば早く帰れるじゃん?」


女「家に帰っても・・つまんないもん・・」


一臣「・・」


女「つかさ、半年くらい見なかったけど、どこに行ってたの?」


一臣「え?えっと・・と、登山?」


女「ええー・・嘘だあ」


一臣「はあ?な、何で?」


女「だあって、そんなきつそうな事絶対しなさそうだもん」


一臣「うぐ?」


女「本当は?」


一臣「本当は・・そのスーツを開発してた」


女「あはははは面白いねえ!じゃ、このスーツの名前を言ってみて?」


一臣「・・(パワーリトルアクティブスーツ、略称、リクティブ)」


女「作ったなら言える筈よ?」


一臣「うーん、知ってるけど、忘れた」


女「あはははは!君は面白いねえ!あはははは、じゃね!」


仕事に戻った。


一臣「ああ、稼げ稼げ」 本に戻る。


一週間後。


女に同じ年齢のような男が言い寄っていて楽しそうだ。


ついに告白されたと相談された。


仕事帰り、図書館庭。


一臣「良かったな、おめでとう」


女「・・」 見つめる。


一臣「?」


女「・・」目を伏せる。


一臣「?」


女「私、断りたい・・」


一臣「は?何で?」


女「・・」 見つめる。


一臣「・・?」


女「はあ・・鈍いなあ・・」


一臣「何が?」


女「何でもない!馬~鹿!んべ!」


一臣「・・はいはい」


女「うっさい!うざ!うっざあ!」 蹴り、蹴り。


一臣「うわ、な、な、何だよ、ちょっ、痛い!」


女「つかあんたの名前は?一年くらいこんなだけど名前知らないし!」


一臣「羽山一臣」 名前だけの名刺を渡す。


女「私、石山ゆか、ゆかはひらがなだよ❤️」


一臣「ふうん、和やかで、良い名前だな」


女「え!?そそっかなあ!えへへー、かずみって呼んで良い?」


一臣「・・別に良いけど・・俺はなんて呼べば良い?」


ゆか「ゆかで良いよ年上なんだし、あんまし威厳ないけど!」


一臣「はは、そっか」 優しい笑顔。


ゆか「〈ドキン〉何でそこで怒らないかなあ・・」


一臣「ん?何か言った?」


ゆか「んーん?別に?ははは、じゃねかずみ!」


一臣「ああ、また明日」


ゆか「う、うん!また明日!」


別れた。






翌日。



小夜子という不思議な雰囲気の40歳の女性スタッフが一臣に声を掛けて来た。


小夜子「ねえ、羽山さん?」


一臣「はい?」


小夜子「ゆかちゃん、若い良い青年に告白されたって知ってる?」


一臣「はい、知ってます」


小夜子「あの子、断ったらしいわ」


一臣「・・?何故それを俺に?」


小夜子「あの子・・すっごく頑張り屋さんで、良い子よ」


一臣「知ってますよ?」


小夜子「・・」


一臣「?」


小夜子「・・はあ・・あの子、あなたの事好きみたいなの」


一臣「!!・・それはないでしょう、兄貴か、父親みたいなモンですよ」


小夜子「バレバレよ、休憩中にも、あなたの事ばっかり話すのよ?」


一臣「だからそれはー」


小夜子「じゃあ、本人に聞いてみたら?」


一臣「は?何でそんな事しなきゃ」


小夜子「今聞くわね、ゆか~?」


ゆか「はーい?」 スーツの足音が近くなる。


小夜子「ゆか来て~?」


ゆか「はーい」 来た。


ゆか「はい?何ですか?」


一臣と目が合う。


ゆか「よ、よう」


一臣「お、おう」


小夜子「ね、あなた羽山さんの事、好きよね?結婚したいよね?」


ゆか「へ?へへあああああ!?!?〈ボボボカアアアアアア〉」


小夜子「・・ね?」 一臣を見る。


一臣「真っ赤」


ゆか「ちちちが、何言ってんですかあ!?ささ小夜子さん!?冗談辞めてくださいいい」


小夜子が耳元で呟く。


小夜子「頷くだけで良いシチュエーションなんて滅多に無いわよ?冗談にして良いの?クリスマス、近いわよ」


ゆか「は、はうう・・こ、心の準備があ・・」


小夜子「ね!あなた一臣さんと結婚したいでしょ?好きなんでしょ?」


ゆか「・・」 一臣をチラッと見て、伏せる。真っ赤。


ゆか「・・〈コクン〉」 小さく頷いた途端、ダッシュ。


小夜子、一臣『あ!』


小夜子「逃げた」


一臣「・・ですね」


小夜子「あら?じゃああなたは逃げないのかしら?」


一臣「別に逃げないですよ」


小夜子「じゃあ、答えてあげて、今直ぐに、ほら!早く!」


一臣「いや、ゆかは何処に?」


小夜子「図書館の裏手にある山の池よ」


一臣「ああ、あそこか・・」




池の大木の根に座り泣いていた。


ゆか「ひっぐ、ひっぐ、小夜子さん酷いよう・・ひっぐ、ひっぐ、もう辞めよう、図書館辞めようひっぐ、ひっぐ」


スーツのバッテリー、オレンジ、どうやら充電し忘れのようだ。


一臣「それは困る」


ゆか「〈ドキン〉な、何しに来たのよ、どうせ、振りに来たんでしょ、解ったわよ、どうせ、こんなガキの勝手な思いですよ、さっさと振れば良いじゃない、あんたなんかに振られても全然傷つかないんだからさっさと振れば?」


一臣「何を言ってんだか・・そっちこそ、俺がOKしたらキモいとか言うんだろ?」


ゆか「はあ?言う訳・・」


一臣が近い。


一臣「もし、俺がOKしたら喜ぶと約束しろ、絶対キモいとか言うなよ!?冗談でも言うな、結構それはマジで傷つくからな?」


一臣のお腹を抱き締める。


ゆか「・・ん・・解った」


一臣「答えはOKだ、付き合うよ、俺も、好きだ」


ゆか「・・本当に?」


一臣「ああ、本当だ」


ゆか「・・どんなところ?」


一臣「頑張り屋さんで、優しい、んで、ツンデレ」


ゆか「ふふ」


一臣「お前こそ、俺を最初っから好きだったのか?」


ゆか「・・うん・・私は最初っから」


一臣「一目惚れってやつ?」


ゆか「・・うん、多分そう」


一臣「でも・・分かんないな・・そんなにイケメンでもなし、お前に告白した学生の方がイケメンで高身長だった、何故俺なんだ?」


ゆか「・・ん~解んない、雰囲気?かな?なんていうか・・力強くて・・頼れる人っぽくて・・雰囲気が大きい・・まるで・・巨人みたいな・・そんな感じ・・だから好き・・」


一臣「・・ふうん・・巧く隠してたつもりなんだがな」


ゆか「え?」


一臣「・・お前が初めてだよ、金なしで俺の価値を言い当てた女は・・」


ゆか「え?え?何を言ってー?」


一臣「ゆか」 キスを迫る。


ゆか「あ・・」 目を閉じる。


〈リリリリリリリ〉 バッテリーが切れる5分前。


ゆか「え?嘘?もうバッテリーが!早く脱がないと!えーと、えーと」慌ててスイッチを探す。


一臣「そうだな、ホイ〈カチ、バシュン!〉一気に外れた。


ゆか「え?(・・どうしてスイッチ知ってー・・)」


{一臣「そのスーツ作ってた」}


{館長「どうして意外に作業負担が大きいと思われたのかー」}


ゆか「あ・・え・・嘘・・」


{一臣「金持ちに見えない?」}


ゆか「あ・・」


{一臣「本当に?」}


一臣「さて、バイト首になるぞ?さっさと戻るか」


ゆか「・・」大きい背中に見える。


ゆか「・・何でスイッチ知ってるの?」


一臣「見りゃ解るよ、んなん」


ゆか「嘘、あなたが作ったって・・あれは本当だったの?」


一臣「ああそうだ」


ゆか「な!?何で騙したの!?」


一臣「だ、騙しただなんて人聞きの悪い!俺は本当の事しか言ってねえ!だいたいお前、信じなかったじゃねえか!」


ゆか「な!それ言う!?あんな言い方、誰だって冗談に聞こえるわよ!!だいたいね!そんなに金持ちならいっそのこと政治クラスを変えなさいよ政治ごと!量子AIを開発した人を見習いなさい!あんな風に世界を変えて初めて金持ちだって自慢しなさいよね!ふん!」


一臣「・・」


ゆか「あ?何とか言いなさいよ?」


一臣「あー・・ゴホン・・その量子AIなんだが・・」


ゆか「は?・・ま、・・まさか・・」


一臣「資金を出したの俺で、今は三割の株コインを持ってて、経営に口出ししてるんだ、はは」


ゆか「・・」 〈ポカーン〉


一臣「ど、どう?良かったな?お前が惚れた男は凄いやつだったんだ、え、えっへん?」 胸に手を叩く。


ゆか「最低!もう信じられない!ずっとあたしを騙してたのね!嘲笑ってたんでしょ!?最低最低最低最低最低最低最低最っっ低!!」


一臣「意外な反応!?」


ゆか「もう信じられない!馬鹿!離婚よ!」


一臣「ええ・・そもそもまだ式は・・」


ゆか「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい離婚離婚離婚離婚!どうせ派手に女遊びしてたんでしょ!金持ちなんて皆そう!貧乏人を笑って、見下してーんむぎゅ!?〈ギュムウ〉」


一臣「悪かった、ごめん、騙してて、ごめん、でも大半・・つうか・・殆どの金持ちは、確かにお前の言う通り、最低な屑が多い、だがな?そんな金持ちばかりじゃない事、解ってくれ、量子コンピュータを今の金持ち達はコントロール出来ると思ってるが、それは間違いだ、後、数年で、人類は完全に世界から管理される時代が来る、だがな、それは管理するのが、屑から、量子AIに変わるだけの事だ、管理されてるのは、今も、未来も変わりはしない、だからー・・」


ゆか「だから?」


一臣「屑は消え去り、新しい時代が来る、だから、結婚しよう、ゆか、最初からプロポーズしたって事は、遊びじゃないって事だと解釈してくれる?」


ゆか「んー・・キスしてから考える」


一臣「解った」


ゆか「ああ、待って!」


一臣「?」


ゆか「あたしも多分、あなたを騙してないようで騙してる」


一臣「何?」


ゆか「私、29歳なの」


一臣「・・・・おー、それはまた」


ゆか「嫌いになった?」


一臣「・・問題ない!〈グイ〉」


ゆか「きゃ!?」《チュム》



《END》


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