第7話~最強の精神力~
父親は酒・煙草・ギャンブル・無職・借金・DVと漫画で良く見る屑の象徴だった。
ある日、母親は耐えきれなくなり実家へと逃げ帰った。
しかしそこで待っていたのは精神的苦痛の日々だった。
「あんな男の子供なんて、ロクなもんじゃない。」
幼児の自分では意味はわからない。
でもそれが悪意を含んだ言葉なのは、幼くても感じることは出来た。
そんな生活をしていると当然か必然か、弟はグレいわゆる不良の道へと進んだ。
俺はというと、
『普通に生きれるようになりたい』
同じ様な境遇の仲間と一緒に入れば楽なのに、あえて困難な道を選んだ。
普通から外れた者は、永遠に普通には戻れないとも知らずに。
その結果、他人に左右されず、社蓄でも平然とこなせる程の精神力を得ることが出来た。
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「ファイヤーボール」
そこに現れたのは、マッチ棒程度の情けない火の玉ではなく、隕石を思わせるかの如く、巨大な火の玉だった。
的の玉は瞬時に消滅し、露店商のハウスも吹き飛ばし、後ろの壁も貫きそのまま飛んで行ってしまった。
誰もいないと良いけど、大丈夫かな?
口を開けたまま固まっている露店のおっちゃんに、声をかけた。
「1銀札おくれ。」
「おっ、俺の店が・・・」
聞いちゃいない。
周りの人間も静かになったみたいだ。
ルーミーさんも固まってるし。
「おっちゃん!!1銀札!!」
「あっ?あぁ・・・。あんた一体何者だい?
あんな威力のファイヤーボールなんて、見たことないぞ。」
俺は1銀札を受け取り、何も言わずに格好よく去って・・・ルーミーさんが固まったまま動かないし。
「ルーミーさん、行きましょう。
そろそろ1時間経ちましたしね。」
「えっ?あっ、はい・・・。」
ここは素早く退散しなくては。
壁を弁償しろとか言われても困るしね。
「しかし何か疲れたな。」
「精神力を使い果たしたからだと思います。
少し休めば回復しますよ。」
さっきのファイヤーボールのせいか。
加減がわからないから、全力で放ってしまったしな。
「それにしても凄い威力でしたね。
精神力は一体どれ程の数値なんでしょう?」
精神力には自信があったけど、自分で思っているより凄いのかも?
お店に戻ってみると、ステータス表示の腕輪は出来上がっていた。
金属だけど、紙のように薄く軽い。
腕に付けるとピタリと張り付き、固定された。
付けている感じもしない。
「ステータスオープンと唱えれば見れますよ。」
ふむ。早速試してみるか。
「ステータスオープン」
名前_:コウイチ
種族_:人間
体力_:25/48
精神力:168/9999
力__:15
攻撃力:15
防御力:374(+368)
魔防御:301(+300)
速さ_:71(+61)
幸運_:57
体回復:8(+5)
精回復:1000
火属性:3
氷属性:1
雷属性:1
風属性:1
闇属性:124(+123)
装備:闇の黒衣・天使の輪
【職業】
ガソリンスタンド店員:13
コンビニ店員:30
SE:2000
【魔法】
火属性:ファイヤーボール
氷属性:アイスボール
風属性:ウィンドボール
雷属性:サンダーバキュームボール
闇属性:ダークボール
所持金:4,825,300リノス
精神力が凄いことになってるな。
これは既にカンストしているってことかな?
精回復も結構高いな。
精神力も回復しやすいってことか?
かっこが装備によるアップとすると、俺はかなり弱い部類かもな・・・。
職業はバイトまで含まれるんだな。
レベルの表記ではなさそうだから、熟練度的な感じか?
SEだけ結構高いのは社畜のせいだな・・・。
属性を5つも持ってるとはね。
最初の魔法は~ボールなんだな。
雷属性だけ名前が『ミラクルジャイアンツ童○くん』の魔球みたいで気になるけど・・・球速250㎞とか出たりして。
少し期待してたんだけど、特殊な能力に目覚めるとかは無いんだな。
異世界チート持ちが流行っているのに、流行りに乗れないのは、どこの世界にいても変わらないらしい。
「見れましたか?」
「見れたけど、良いのか悪いのかよくわからないな。」
「私が見てみましょうか?」
「そんなこともできるの?」
「お互いの腕輪をくっつけて、許可すると言えば、くっつけている間は、見れるようになります。」
「なるほど。じゃあくっつけて・・・許可する。」
「ステータスオープン コウイチ」
最後に名前を言うんだね。
さて、どんなもんやら。
「コウイチさん。
これはなんというか、滅茶苦茶なステータスですね。」
やっぱりおかしいのか。
「精神力はMAXですのに、他のステータスは子供並みで、属性なんて覚えたての幼児並みですよ。」
そんなに酷いのか・・・。
「それなのに属性は5つも覚えて、でも使える魔法が最初の魔法だけなんて信じられません。」
わりと壮絶な人生を歩んでいたしね。
闇属性を持ってるのもわかる気がするよ。
「職業なんて聞いたこともありません。
しかも2000って、何十年レベルの経験ですよ。」
社蓄だったからでしょうね・・・。
倍以上働き、何倍もの仕事量をこなした結果だろうな~。
「それに精神力の回復量。
普通は2桁が限界で、3桁あるとかなり凄いと言われているのに、4桁なんて・・・。」
「1000だと、どのくらい回復するんだい?」
「1時間で回復する量を表しています。」
とすると、さっき使い果たしてから10分位だから合ってるね。
「寝てるときは倍になる感じです。」
なるほど。
8時間寝るとすっきりする理由がわかったよ。
「ルーミーさんのステータスも見ても良い?」
「良いですよ。許可する。」
「ステータスオープン ルーミー」
名前_:ルーミー
種族_:人間
体力_:283/317
精神力:156/173
力__:345
攻撃力:385(+30)
防御力:383(+56)
魔防御:342(+23)
速さ_:341(+10)
幸運_:315
体回復:40
精回復:11
火属性:336
地属性:113
無属性:448
装備:鋼の槍・鉄の胸当て・鉄の肩当て・鉄の籠手・革のブーツ
【職業】
仕立屋:167
料理人:123
槍術士:285
【魔法】
火属性:ファイヤーボール・ファイヤー・ファイヤーウォール・ファイヤーランス
地属性:アースボール・アースクエイク
無属性:スタブ・2段突き・3段突き
【スキル】
攻撃力上昇(微)
比べると良くわかるな。
俺って本当にひ弱なんだ・・・。
装備の恩恵を凄く受けているから良く見える所もあるけどね。
職業も槍術士って格好いいし。
仕立屋・料理人は親父さんのお手伝いもやっている証拠だね。
所持金は見れないようになっているのか。
親切仕様だな~。
さて、自分の弱さも自覚できたとこで、フェザーソードでも買うとするか。