第5話~フェザーソード~
札箱は重ねることも出来るそうなので、金札・銀札を重ねて、残りは並べて腰に付けてみた。
なんか西部劇のホルスター見たいで、ちょっと良いかも。
それに、開きかたも格好いい。
札箱に触れて、
「オープン」
上部が開いて、お金が少し競り上がり取り出しやすくなる作り。
白札と銅札だと10枚、銀札だと5枚、金札だと1枚と札によって競り上がる枚数が違うのも、憎い仕様だね。
そして
「クローズ」
できっちり閉まる。
無理やりこじ開けようともしてみたけど、出来ないので頑丈なのも本当見たいだ。
「コウイチさん。
開閉は精神力を使うから、用が無いときは開けない方が良いですよ。」
俺は精神力だけは自信があるから多分大丈夫だとは思うけど、この世界の事は知らなすぎるからな。
素直に聞いておこう。
「俺のステータスはどのくらいなんだろう。」
「ステータス表示の腕輪は、作るのにそこまで時間はかからないから、今日中にわかりますよ。」
座り仕事だし、体力も減ってきてるし、あまり良いステータスではない事くらい、想像の範疇だけどね。
「あっ、ここです。入りましょう。」
ここは道具屋かな?
色々な道具が一杯置いてあるし。
「いらっしゃい。おや、ルーミーかい。」
白髭が長く延びた初老のお爺さんだ。
「こんばんわ。
今日はコウイチさんの案内で来ました。
ステータス表示の腕輪を作って下さい。」
「コウイチさん?
ルーミーにもついに彼氏が出来たのかい?
これはめでたいね~。」
「彼氏じゃないですよ~。」
「照れなさんな。」
あの親父さんじゃ彼氏なんか、なかなか作れないだろうしね。
男を連れてるのが珍しいんだろうな。
「彼氏さん、ステータス表示の腕輪は、2,000リノスだよ。」
「だから違うって言ってるのに・・・。」
耳まで真っ赤にして、可愛いな。
それはともかく2,000リノスか。
高いのか安いのかわからないけど、ルーミーさんが案内してくれた場所だから問題ないかな。
「はい、2,000リノス。」
「ホイホイ。1時間後に取りに来ておくれ。」
結構簡単に出来るんだな。
1時間どうしようか。
「コウイチさん、1時間町を歩きません?
色々案内しますよ。」
「ありがとう、ルーミーさん。お願いしますね。」
「じゃあ、早速行きましょう。」
「彼氏さん、ルーミーの親父さんには気を付けてな~。」
・・・既にひどい目にあっていますけどね。
「コウイチさん、何処か行きたいところとかありますか?何処でも案内しますよ。」
「じゃあ武器屋とか防具屋を見てみたいな。」
「わかりました。こっちです、行きましょう。」
本当に良い娘だな。
地の属性に目覚めたのも良くわかるよ。
「ここです。武器屋と防具屋は隣り合わせなので、どちらから見ますか?」
やっぱりゲームといったら、武器・防具だよな。
子供の頃は防具から買う派だったけど、最近は武器から買ってるから武器屋だな。
建物の上の方に、剣の紋章と盾の紋章があるからわかりやすいね。
「まずは武器屋かな。」
「じゃあ左の建物に入りましょう。」
剣や槍、ナイフやナックル、斧等々、色んな武器があるな。
最近のオンラインゲームだと、ごり押し出来る斧とかが、人気のことが多いけど、俺はスピードと技術で戦う双剣が好きなんだよね。
最も運動音痴とは言わないけど、文化系の俺では何使ってもさして変わらないとは思うけど・・・。
箱に乱雑に入っているのは安そうな剣だね。
鉄の剣かな?
おっ、ガラス張りのケースもあるんだな。
何か格好いい剣が並べてある。
その分高いんだろうけど。
こういう品の置き方はどの世界も一緒なんだね。
しかし説明も値段も読めないから、どれが良いのか全くわからないな。
「ルーミーさん。初心者にお薦めの剣ってあるの?なるべく軽いやつで。」
「細身の剣かな?
軽いから使いやすいのが特徴です。
でも雑に扱うとすぐに壊れてしまうのが難点です。
後は鉄の剣・・・はちょっと重いかもしれません。」
細身の剣・・・。
確かに刀身の部分が細いな。
結構軽いし、これなら俺でも使えそうだな。
鉄の剣は・・・重い。
使えなくは無いけど、無理はしないにしておくか。
・・・双剣なんて、夢のまた夢だな。
「あっ、フェザーソードがあります!!
これは軽くて切れ味も良い優れものですよ。
熟練者が使えば一呼吸のうちに、連続で攻撃することも出来ますし、自分の体も軽くなり、素早く動くことが出来て、一番良いですよ。」
ガラスケースに入っているこれか。
名前の通り羽根見たいに見える片刃の刀身、鐔の部分も羽根になっていて、なかなか好みだの形だ。
色も何種類かあるんだな。
値段は・・・読めないな。
「フェザーソードが気になるんだけど、値段はいくらなのかな?」
「値段は1本で金札1枚ですね。」
「結構高いんだね。」
「普通は上級者じゃないと買えないレベルの剣ですね。
でもお金があるなら初心者にこそお薦めですよ。
ステータスもかなり上がりますし。」
「色は好みで良いのかな? 」
「色は属性を表しています。
赤なら火の属性という感じです。」
「黒が好み何だけど何の属性なの?」
「黒は闇属性ですね。
自分の属性に合わせればより強化出来るので、ステータスを見てから買った方が良いですよ。 」
今分かっているのは火だけだしな。
ルーミーさんの言う通り、買うのはステータスを見てからにするか。
「二刀流は流石に無理かな?」
「フェザーソードなら、二刀流もやり易いです。
2本持っても細身の剣より軽いですしね。」
それは凄いな。
これは双剣使いになれってことか?
双剣士・耕一、良い響きだな~。
「フェザーソードなんて滅多に見ないので、何かの縁かも知れませんね。」
フラグが立ちまくりって感じか?
でも金札2枚か。
あぶく銭だし、買っても良いかな?
でもその前に・・・
「防具屋も見てから決めようかな。」
「じゃあ隣に行きましょう。」
防具屋も楽しみだよ。




