第6話~最速!バルトホースグランプリ~
おっ、町ぽいのが見えてきたな。
あそこがホースロードの町か。
やっぱりバルトホースが最初に通る町だから、馬の道なんて名前なのかな?
名前から言ってもコシヒカリに良い町そうだから、ゆっくりと休んでもらうか。
「ようこそ!ホースロードへ。兄ちゃん立派なバルトホースだな。優勝も狙えそうだね。」
「優勝?」
「へ?知らずに来たのかい?明日はホースロード名物、最速!バルトホースグランプリが
開催されるんだよ。」
へ~、日本で言う競馬のG1グランプリみたいな感じかな?
「それって誰でも参加出来るのかい?」
「ボスクラスのバルトホースなら誰でも参加出来るぞ。締め切りは今日中だから早めに行っておけ。」
他のバルトホースも見てみたいし、行ってみるか。
「おっと、兄ちゃん。その前に」
「短期滞在します。いくらですか?」
「200リノスだよ。」
マーベラの町より高いんだな。
「はい、200リノス。」
「確かに。」
許可証を受け取り申し込み所に行くと、バトルホースが沢山集まっていた。
でもボスクラスでは無さそうだけど、奥にいるのかな?
「立派なバルトホースだな。参加するのかい?」
「参加しようか悩んでいるのですが、初めてなので説明してもらっても良いですか?」
「全長100㎞のコースを走るんだが、途中には魔物もいるからな交わすなり倒すなりして進み、
どんな手段を用いても構わないから最初にゴールした者が勝ちと言う単純なルールだよ。
1時間も掛からず決着だ。」
「どんな手段でも?」
「そうだ。で、どうする?」
コシヒカリに怪我させたくないしな。
と思っているとコシヒカリのたてがみから申込用紙が出てきた。
「やれって事か。」
コシヒカリの意志に従い申込用紙を書いて提出した。
「コシヒカリね。変わった名前だな。ん?あんた、あのバルトの丘のボスを捕まえたのか!?」
その場にいた全員の視線が俺に集まった。
「バルトホース何だからバルトの丘にしかいないんじゃ?」
「最初に住み着いたと言われている所がバルトの丘で、他にもバルトホースがいる場所は一杯あるさ。
だが最初の丘だけにボスもかなり強いのが多くてね。
近年では近寄る事すら難しいボスが誕生したんだが、まさか捕まえられる人間がいるとは・・・。
一体どんな方法で捕まえたんだい?」
「カルピスのおかげですよ。」
「意味がわからんな。参加料は1銀札だ。優勝すれば1金札貰えるぞ。それからコース表だ。」
何かまた金札が貰えそうだな。
無一文で悩んでた頃が懐かしいよ。
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他の色々なレースも終わり、やっと出番だな。
参加は全部で15頭。
みんな大きいバルトホースだけど、コシヒカリはさらに一回りデカイ感じだ。
さて、スタート直後は町中を走る訳だけど家を壊さないようにしないとな。
いよいよスタートだ。
何でもありって言ってたからな。
スタート直後に何か仕掛けてくるかも知れないから注意しないと。
「3・2・1・スタート!!」
「「ファイヤーボール!!」」
なっ!?14人全員コシヒカリ狙いだと!?
防ぎきれない!!
・・・これはカルピス流星群を防いだ闇の鎧!!
全部防いだぞ!!
でも出遅れてしまった。
追い付けるか?
「コシヒカリ!追いかけるよ!!」
相変わらず凄い加速だけど、追い付けるか?
乗っている人間も攻撃に参加して良いなら、俺もやってやる!!
おっ、今だ!
「いかづち!!」
よし!一瞬動きが止まったぞ。
このまま抜いて・・・
ズドーーン!!
コシヒカリが相手のバルトホースに思いっきり体当たりを喰らわせたぞ。
どうやら最初のファイヤーボールにお怒りらしい。
あ・・・家が無惨にも崩れ落ちていったぞ。
大丈夫かな?
町から出たぞ。
結構離されてるな。
「コシヒカリ、追い付けるかい?」
更に加速した。
追い付いていってるぞ。
さすがコシヒカリだ。
この距離なら届くか?
「サンダー!!」
1人交わされたけど、3人当たったぞ。
「ブホッーーーー!!」
黒いレーザーだ。
しっかり止めを指すとは、やっぱりお怒りの様だ。
残りは10頭。
効率よく倒して行かないと・・・違う。
倒すのが目的じゃなくて、最初にゴールするのが目的だった。
全員倒してゴールしても、全く面白くないレースだよな。
「コシヒカリ、一旦攻撃は止めにして足で勝負しよう。」
コシヒカリはチラッと視線を俺に向け、更に加速した。
一気に4頭抜いたぞ。
他のバルトホースだって遅くはないはずなのに。
100㎞を1時間も掛からないって言ってたし、途中争いながらだから時速120~130㎞?
それを軽く抜き去るって、まさか時速200㎞近く出てるのか?
凄いな、コシヒカリ。
残りの6頭は固まっているみたいだ。
ん?その先に何かいるな。
1つ目の巨人、サイクロプスだ!!
しかも集団だぞ。
大きさは5~6メートル位か?
先頭集団はどうやら避けるつもりだな。
左に3頭、右に2頭、中央突破が1頭。
なっ、落とし穴!?
左右の5頭がみんな落ちたぞ。
中央の1頭は飛んだ!!高いぞ!!
けどそれより上にサイクロプスが飛んでいる・・・。
しかも3匹。
叩き落とされた・・・。
これってかなりまずい状況の様な・・・。
「大会は中止だ!!すぐに逃げてくれ!!」
って空?
デカイ鳥に人が乗っているぞ。
「中止って何で?」
「サイクロプス相手じゃ殺されるだけだ!!」
「捕まった奴らはどうなるんだい?」
「あいつらはもう無理だ。助けることも出来ない。」
・・・見捨てるのは簡単なんだけどな。
「コシヒカリ、お前は逃げてくれ。ロケットブースター!!」
一体俺は何をしているのか。
「そこで止まれ!サイクロプス!!俺が相手だ!!」
「今日は大漁だべな~。」
「おっ母が喜ぶべよ。」
「バトルホースの丸焼きに鍋、人間の刺身も良いな~。」
聞いちゃいない。
がら空きの足に食らえ!!
「いったぁ~。」
例によって切り傷程度にしかならん。
「まだ人間さいただか。捕って食べるべ~。」
食べられてたまるか!!
雷は網で捕らえられてる人にまで被害が行くから氷で!!
イメージは『聖○士星矢』の氷河が使ってた・・・
「ダイヤモンドダスト!!」
・・・あれ?
失敗した!?
あっ、そういえば俺は『聖○士星矢』って途中で読むのを止めてたんだった。
どうすれば・・・そうだ!逃げるだけなら網を切れば!!
「かまいたち×7」
「あっ、何すんだおめぇ!!」
「早く逃げろ!!」
後は少し足止めをして逃げれば。
「忍法・霧隠れの術!!」
「何も見えなくなっただ!!」
「どうなってんだべ。」
これで少しは時間が稼げて・・・
「フン!!」
なっ、霧を吹き飛ばした!!
ドガッ!!
見えない所でこん棒を振り回したせいで、仲間に直撃したぞ。
「何すんだ!!」
「わざとじゃね!」
ドガッ!!
「一発は一発だべ!!」
「そんなに強くやってねぇ!!」
ドガッ!!バギッ!!ズド!!
仲間割れを始めたぞ。
よし、今のうちに逃げる!!
「ブルルル・・・。」
コシヒカリ、逃げなかったのか。
「戻るぞ、コシヒカリ!!」
何とか助かったな・・・。




