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精神力+想像力=魔法創成  作者: 耕一
第2章:メディーナ編
19/91

第4話~コシヒカリ~

ガラガラガラガラ・・・


カルピスが20リットル入った容器を乗せた台車を引っ張る音だ。

少々うるさいがカルピスが飲めると思えば仕方がない。

荷物が重い分、思った以上に時間が掛かったが、バルトの丘に着いたぞ。

丘には体高2メートル~3メートルクラスのバルトホースが一杯いる。

早速試してみるか。


・・・近づく事すら出来ない。

手綱を投げ輪の様に投げても、サラリと交わされたし。

飛び乗ろうとしてもスッと避けられたし。

おまけにこっちを呆れた様に見てる。

聞いてた話と違いすぎるんだが、どういう事だ?

攻撃こそされてないから良いけど、バルトホースを追い掛けまくって、いい加減疲れてきたんだけど・・・。

取り敢えずカルピスでも飲んで一休みするか。

ん?あそこにいるバルトホース・・・もしかして寝てる?

これが最後のチャンスかも・・・。

台車の音で起きるとまずいから、背中に背負ってゆっくり近づいて・・・。

後、30メートル位・・・。

あっ、気付かれた!?

起き上がった・・・ってデカイ!!

他のバルトホースよりはるかにデカイぞ!!


「ブホッーーーー!!」

「うわっ!!」


ギリギリ交わせたけど、口から黒いレーザー見たいのを吐いたぞ!?

しかも地面が削れているし!!

大人しいんじゃなかったのかよ!!


「ブホッーーーー!!」

「うわぁぁぁーーー!!!」


竜巻に吹き飛ばされて、天地が引っくり返ったぞ。

ここは一旦逃げた方が・・・あれ?俺のカルピスは?

カルピスが・・・空を飛んでいる。

そしてどんどん落下速度が上がって行き、目の前に落ちてきた。


ガシャン!!


台車は完全に壊れた様だ。

てもカルピスの容器は無事壊れずにすんだ。


「カルピスの容器が頑丈で助かった。中身が無事で良かったよ。」


ドボドボドボドボ・・・。


この音はまさか!?蓋が開いてる!!

慌てて閉めたが、すでに遅し。

ほとんど流れてしまった・・・。

あぁ・・・俺のカルピス・・・。

・・・許さねぇ。

俺のカルピスをよくも!!

絶対に許さん!!

手荒な真似はしないと思っていたが、もう限界だ!!

カルピスよ。俺に力を貸してくれ!!

地面に飛び散ったカルピスが宙に浮き、丸い小さな玉を形成し、俺の回りを埋めつくす程の量になった。


「さあ!いくぞ!!カルピス流星群!!」


全てのカルピスが全方向からバルトホースに襲い掛かった。

何処にも逃げ場はない。


「なんだと・・・?」


バルトホースを闇が包み込み、全て防いだだと!?

まるで鎧じゃないか!!

ただの液体に戻ったカルピスはバルトホースの全身に掛かったみたいだ。

どうやら防げるのは攻撃だけらしい。

全身カルピスだらけだよ。

・・・顔に掛かったカルピスを舐めてやがる。

余裕って事か・・・。

体まで舐め始めた・・・そんなにカルピスでベトベトするのが嫌なのか!?

こうなったらもう一度カルピスを作り出して・・・


「ブォーーーー!!!!!」


吼えた!?

よっぽど気に入らないようだな!!

だったらもう一度喰らいやがれ!!


「カルピ・・・」


馬鹿な!一瞬にして目の前に来た!?速すぎる!!

交わす時間もない・・・殺られた。


ピチョピチョピチョ。


ん?あれ?攻撃してこない?

って、カルピスの容器の蓋を器用に開けて舐めてるし。


「お前、カルピスが気に入ったのか?」


容器をくわえて渡してきた。

どうやら物凄く気に入ったらしい。


「カルピスウォーター」


おっ、出た。味は・・・これは!!

さすが俺!!俺好みの少し濃いめなカルピスウォーターではないか!!

カルピスの町で買ったのは結構薄かったんだよな。

ん?バルトホースがくれって感じで見てるな。

この容器のままじゃ、飲みづらいよな。

だったら・・・真上に大きめの、


「アイスボール!!」


落ちてきた所を、


「かまいたち!!」


よし、真っ二つに割れたな。

お次は真ん中部分に、


「ファイヤーボール!!」


よし!!うまい具合にへこみが出来たぞ。

即席の器の完成だ!!

カルピスはしっかりと冷えていた方が美味しいからね。

ここにカルピスを注いで、


「ほれ、飲みな。」


ピチョピチョピチョ。


尻尾を振りまくっている所を見ると、味の違いにも気づいたらしい。

・・・カルピスが好きな奴に悪い奴はいないしな。

無理矢理乗ろうとした俺が悪いんだし、大人しく歩いて行くとするか。


「達者でな、バルトホース。」


バルトホースに背を向けて歩き出すと、何かに引っ張られた。

後ろに振り返るとバルトホースがコートの裾をくわえている。

もっとカルピスが欲しいのかな?

あっ、座った。

もしかして


「乗れって事か?」


・・・乗ってみるか。

俺が乗るとバルトホースが立ち上がった。

体高5メートル位あるんじゃないか?

・・・俺の事を認めてくれたのかな。


「お前の速さが見てみたい。試しに南にあるカルピスの町に行ってくれないか。」


約5㎞、どのくらい掛かるかなぁぁーーー?

物凄い加速に吹き飛ぶかと思ったぞ!!

良く耐えられたな・・・良く見たらたてがみが手や足や体に巻き付いて、俺を吹っ飛ばさない様にしてくれているみたいだ。

なかなか良い奴じゃないか。

それにしても凄い速度だな。

景色がどんどん流れていくぞ。


ブチン!!


今魔物を踏んだよな?

踏み潰すだけで倒せるって・・・。

ん?たてがみから闇のクリスタルが出てきたぞ。

あの一瞬でそんな芸当まで・・・凄いな。

なんて思っている内に、もう町が見えてきたぞ!!

まだ2分位しか立っていないような・・・。

5㎞を2分だから、30掛けて・・・時速150㎞!?

地上最速のチーターより速いぞ!!


町の入り口に着いた。


「凄いな、お前。俺の事をこれからも乗せてくれるのかい?」

「ブルブル・・・」

「OKと言う事か。ありがとうな。」


美しい黒色の馬体といい、金のたてがみといい、文句の付け所がない素晴らしい馬だよ。


「名前を付けて上げないとな。」


馬の名前と言ったらやっぱり『ダ◯ビースタリオン』だよな。

その時に付けていた名前と言えば・・・


「コシヒカリ。お前の名前はコシヒカリだ!!」

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