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第9話:発明品の行方

取材を受けるとバグは、『小さな星から来た発明家のたまご』として、さらに注目されるようになりました。

バグがまだ若く未知の可能性をひめていることと、バグの星が小さく美しい星である、ということが人気の理由のようでした。


バグがこの新しい星に来るきっかけとなった大会での優勝作品や、今までの発明品までもが掘り返されて話題になりました。

しかし、やはり一番の注目は今回の学校の大会で三位に入った、コバルトブルーの美しい万年筆でした。

バグが自分と星のみんなのために作ったこの一本の万年筆。

今は他の星ではほとんど見ることのできなくなった満天の星空と静かな波の音は、人々の心を癒し、強くひきつけたのでした。


人々はこの美しい万年筆をぜひ手に入れたいと強く願うようになりました。

しかし、この万年筆はもちろん一本しかありません。

そこで、この万年筆をバグにたくさん作ってもらって、高価な値段で売ろうという話が持ち上がりました。

バグは今や取材におわれ、学校でも有名人になっており、ただでさえ大好きな発明をする時間が少なくなっていました。

その話をバグはまったく受けるつもりはありませんでした。

しかし、熱心にバグのもとに通いしきりに万年筆の作成をお願いする商売人や、バグのもとへ届いた手紙に書いてあるお願いを見ているうちに、ついにバグは作ることを決心してしまいました。

その万年筆を作るには、バグの星の滝の水が必要でした。

バグはマグラにお願いをし、星の滝の水をたくさん運んでもらいました。

おじさんとおばさんはバグの発明品が有名になり、バグが頑張っていることを喜んでくれている、とマグラから聞いてバグは安心しました。

それからその滝の水を使って、バグはコバルトブルーの万年筆をたくさん作りました。


バグの作った万年筆は売り出されると、あっというまに売れてしまいました。

すぐにまた、もっとたくさん作るように依頼がきました。

バグは自分の発明品が人々の役にたっているのだ、と思い頑張ってまた作りました。

しかしまたすぐに売れてしまいます。

しまいにはバグはもはや万年筆を作ることしかできなくなり、学校にもほとんど行くことができず、大好きな発明をする時間はなくなってしまいました。


それでもバグのもとには毎日たくさんの手紙が届きます。

万年筆を望む声や、万年筆を買って本当に良かったと喜んでいる人々の声を聞くと、バグは頑張るしかありませんでした。


だんだんとバグの頭は万年筆を作ることだけでいっぱいになり、学校にも行かなくなり、他の発明のことを考えることはなくなりました。

とにかくこれをたくさん作らなくては・・・

そのためにバグには助手がつき、万年筆をよりたくさん作るための機械を発明しました。

毎日星からたくさんの滝の水が運ばれてきます。

しかし、バグにはもう星の美しい景色やおじさんやおばさんの顔を思い出す余裕はなくなっていました。


バグは毎日毎日万年筆を作り続けました。

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