第8話:きっかけ
バグの発明したコバルトブルーの万年筆。
これはバグが大好きな星のことを思い、星のみんなと自分のために考えついた小さな発明品でした。
しかし、この小さな万年筆が大きな展開を生む結果となったのです。
数日後。
バグのもとにマグラがやってきました。
マグラはバグのこの星での生活の手助けをしてくれていたので、時々バグのもとにやってきては話を聞いてくれたり、困ったことはないかと心配してくれました。
今日はマグラの来る予定の日ではなかったので、バグは少し驚きました。
マグラは
「やあ!」
といつものにっこりとしたバグの安心する顔で笑うと、実は・・・と話しはじめました。
マグラの話は、バグを驚かせるのに十分な内容でした。
バグのいる学校は発明学校なので、今回の大会の入賞作品は雑誌にのったり、発明がさかんなこの星では色々な場面で紹介されることがあります。
その中で、バグの発明品がとても話題になっており、問い合わせがたくさん来ているとのことでした。
そこまで話すとマグラは少しまじめな顔つきになり、バグに取材の申し込みが来ていることを伝えました。
バグはだまってマグラの話を聞いていました。
最後のほうはもうマグラが何を話していたのか覚えていません。
そのくらいバグには思いもよらない話で、それはバグののぞむことではなかったのです。
マグラもそのことは良くわかっていたようで、落ち着いて少し考えてから答えを聞かせてくれればいい、そういうとその日は帰って行きました。
バグは悩みました。
もちろん有名になりたいなどとはこれっぽっちも思っていませんでした。
でも、自分の発明品がたくさんの人に知ってもらえれば、バグの美しい星のことももっと知ってもらえるし、おじさんもおばさんも喜ぶのではないだろうか・・・
それはバグにとってもうれしいことでした。
しばらく考えたバグでしたが、今回は取材を受けてみようと決心し、そのことをマグラに伝えました。
その時バグもマグラも、この小さな決断がのちに大きな波となって押し寄せてくることになるとは考えもつかなかったのです。