第4話:悲しい予感
男の人はマグラといい、おじさんとおばさんと何やら話し込んでいる様子でした。バグは庭で空をぼんやりと眺めながら新しい発明品のことを考えていたので、三人が何の話をしているのかは全くわかりませんでした。バグが家の中に戻るとマグラはちょうど帰るところで、
「じゃあ、バグ。また会おう!」
とどっしりとした、しかしどこか陽気な声でバグにあいさつをすると、
頭をゆったりと下げて背中を丸めるようにしてドアから出て行きました。マグラにはおじさんとおばさんとバグの家のドアは少し小さいようでした。
バグはマグラの言った
「また会おう」という言葉の意味を考えました。どうしてまた会う必要があるの?なぜおじさんとおばさんはぼくを抱きしめるの?どうしてどうして…
不安な、予感にも似たこの気持ち。マグラの胸元に光っていたエメラルドグリーンのバッチ。
あのバッチは大会の時、偉い人達がつけていたそれと同じものであることをバグは思い出しました。聡明なバグには自分の身に何が起ころうとしているのかがわかりました。
「おじさん、おばさん、ぼくはずっと一緒にいるよ。ぼくはどこへも行かない。行きたくない!」
バグの突然の宣言におじさんとおばさんは驚き、顔を見合わせると、少し悲しそうな顔をしました。
その日の夜。
バグは久しぶりに大好きな発明のことを忘れて、大好きなおじさんとおばさんのことを考えながら眠れない夜を過ごしました。