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第11話:星は今・・・

気が付くとすでに窓の外は暗くなり、夜になっていました。

手紙を読み終わったバグは、長いこと呆然としていました。

バグはの頭は突然誰かに強くなぐられたようなショックと、強い痛みでズキズキとしていました。


マグラからの手紙。

そこには、バグの小さな美しい星が今大変な危機にさらされていることが記されていました。

遥か空からあふれ出ているようだった青く美しい滝はもう今はなく、人魚たちの歌声がひびく虹色の滝つぼはもはや荒れ地になっているとのことでした。

それでも何とか水を得ようと大勢の開発者がやってきて、大がかりな工事をしたり土地を掘ったりしたので、空気は汚れ満点の星空は見えなくなりました。

開発が進むと土砂や汚れた水が海に流れ込み、美しかったコバルトブルーの海は、にごっってよどんだ灰色になりました。

それもこれも全ては、バグの発明品の使う水を調達するためであったと、マグラの手紙にはかいてありました。

おじさんとおばさんはこの事実をバグには伝えないよう、マグラにずっとお願いしていたのです。

バグに発明を頑張ってほしい一心で・・・


バグの目からは涙があとからあとから流れてきて止まりませんでした。

自分は一体なんということをしてしまったのだろう!

バグは星が、おじさんとおばさんが大好きだったのに。

みんなに喜んでもらうために発明を頑張っていたはずだったのに。


人々を幸せにしたと思って満足して、バグのやってきたことは、星を大変な危機にさらしてしまっていたのです。


バグのショックは言葉にならないほどでした。

しばらく工房を閉めることを伝えると、部屋にこもったきり出てこなくなりました。

流し続けた涙は部屋の床ににぶく輝く水たまりになり、バグの足をぬらしました。


その涙のにぶい輝きを見て、バグは思いました。

何とかしてまた滝を作ることはできないだろうか。

何とかして星をもとの美しい姿に戻すことはできないだろうか・・・。

バグは自分の涙をかつておじさんが星の滝の水を入れてくれたガラスの小さなビンに集めました。

星のために、バグは新たな発明を考え始めたのです。

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