8ー新人研修
冒険者ギルドに入った私は早速、ギルドスタッフに話しかけた。
「すいません、新人研修の件を詳しく教えていただきたいのですが〜」
「ああ、新人研修なら週に2回、風と火にギルドの裏の広場でやっているよ、時間は2の鐘からスタートで4の鐘で終わりね、10級は無料だからできれば研修してから依頼を受けてくださいね。一応、特典もあるからね」
どうやら研修は、週2回で6時間やるらしく、途中で1時間のご飯タイムがある。
この世界は地球と似ており、週7(風・火・水・木・土・闇・光)、月30日の年間360日だった。
曜日は魔法が身近にあり、その恩恵を受ける機会が多い為、ついたとされている、昔は違ったらしい。
此処ぞとばかりにこの世界の常識を聞いてしまった。
尚、新人研修は昔はやってなかったらしく、10年前くらいからスタートしたという事だった。
いわいるルーキーは冒険者に憧れて入ってくるらしく、討伐系の依頼をすぐに受けて、帰ってこないパターンが 多く、極めて生存率が低い為、ギルドが各国に働きかけて教員の報酬制度を発足したとの事。
冒険者ギルドは各国にあり、国のしがらみを超えて成り立っているらしい。
まー税金を納めてくれる税務署兼職業安定所みたいなところ、国も優遇するわな~と思いながら話を聞いていた。
また特典とは教員に認められればランクが9級になれると事であった、あくまでも個人の判断で研修を受けてもらっていいという事でもあったが。
「君はほんと常識がないね~どんな田舎から出てきたんんだい」
とスタッフに言われる始末だったが、私は苦笑いしてごまかした。
「ところで君も新人なんだろう?今日は研修受けないのかい?まだ間に合うと思うぞ、オリドの奴が遅刻しやがったからな」
「まだ間に合うんですか?是非、参加させてください」
男性スタッフがついて来なさいと裏の広場まで案内してもらった。
そこにはオリドさんを中心に囲むように、5人ほどの男女が座っていた。
「オリド!この子も追加だ~よろしくな~」
「おう、ハヤミ!こっちこい」とオリドさんが手招きしていた。
「遅れてすいません、ハヤミです、よろしくお願いします」
5人の男女に挨拶を交わして中にいれてもらった。
「じゃ~始めるか」
オリドさんが俺の真似をしろと柔軟体操らしい事を全員に言って、その後、木刀を渡し始めた。
「この中には近接以外の者もいるだろうが基本は基本だ!1対1での対応が出来てこそのパーティだからな」
「 敵は魔物だけじゃねーぞ!盗賊から山賊、対人もやれなきゃ話にならねー、冒険者をやるって事はてめーの命を賭けている事を忘れんじゃねーぞ!」
「あとパーティを既に組んでいる奴らもいるから言っておくが、どんだけ仲間が大切でも明らかに助からない奴がでた場合はその場に捨て置いてカードのみを回収しろ!くれぐれも死体を連れて帰ってくるなよ!」
オリドさんが真剣な目つきで皆に言った。
そんな~薄情な~と思ったが、助からない人物を助ける努力をしても周りの状況がどんどん悪くなるし、全滅もあり得る。
更に死体を持っていってもパーティの負担が増えるだけでこれも全滅する可能性が格段にあがるらしい。
此処はあくまでも開拓の最前線であり、基本パーティを組むにあたっての冒険者の常識だそうだ。
無論、例外もあるらしいが・・・。
今日は素振りから1対1での模擬戦、模擬戦での検証と修正を繰り返し行われた。
昼飯は開始が遅かった為、飯抜きでの行い、4の鐘が鳴るころには皆、疲れ切っていた。
「よ~し、今日はここまでだ!今日の研修を忘れんよう明日も来いよ~」
オリドさんは疲れた様子もなく去っていった。
教員になるだけの事はあるなと思いつつ、皆と挨拶して宿屋に帰った。
女将さんに夕ご飯を早めにもらえないかと相談して、明日から弁当みたいな追加で作れませんか~と依頼すると銅貨5枚で弁当は大丈夫だと言う返事をもらい、夕ご飯も早めに頂ける事になった。
部屋に戻り、ベットに横になると今日の研修で課題が見えた気がしたのだ、 タグレットを取り出し、スキル欄を押してスキル一覧を眺めて考えていた。
5の鐘が鳴っていた・・・。
誤字・脱字 お許しください。