5ー決意
「ゴーン・ゴーン・ゴーン」と鐘の音が聞こえた。
「ああ、夜ご飯の時間だな・・そういえば喉も乾いたし、お腹も減った・・」
何時頃に転移したのかわからないが結構な時間、飲み食いしてなかったと今更に思った。
「とりあえず、ご飯食べてから考えるかな・・」
部屋を出て食堂らしき場所に向かった。
「ご飯食べれますか?」
女将さんこと、恰幅のいいおばちゃんに話しかけた。
「あいよ〜空いてる席に座っておくれ。」
まだ人がいなかったので適当に座って待っていると
「お待たせ〜、ボアのシチューとパンだよ。お水は自分でやっておくれね。お酒は先払いでお願いしますね。」
とサラリーマン時代に食べた定食ランチを思い出す商品が出てきた。
あまりにいい匂いに、味を味わう間もなく完食してしまった。
「ふう~美味しかった。ごちそうさまでした。」
「いい食べっぷりだね~。坊や」
女将さんがお水のおかわりを入れてくれた。
「ああ、どうもごちそうさまでした。改めてまして、私はハヤミと言います。よろしくお願いします。」
「丁寧にありがとね。ここの女将のリンだよ。よろしくね。」
「ところでハヤミ君、イケダ君って知り合いいるかな?」
「いえ・・知りませんけど・・イケダさんって・・」
突然に日本の名字を聞かされた私は動揺してしまった。
「いやね、1年前くらいにここにいたのよ。イケダ君がね。君もイケダ君も黒髪だったからなんとなく聞いただけ!気にしないで~」
「そうでしたか、ごちそうさまでした。」と言って部屋に戻った。
やっぱり私以外にもこの世界に転移している人物がいるんだな〜、会ってみたいと
その時は思っていたが・・・。
「さて、お腹も一杯になったし、確認してみるかな~」
ベットに横になりながら、タブレットをいじり始める。
神マネー200,000入金の確認ボタンを、クリックしてみるとネット銀行のような口座確認画面がでた。
そこから投資ボタンと換金ボタンがあり、とりあえず投資ボタンを押してみた。
画面が切り替わり、
【身体能力】、【スキル】、【加護】と三択が現われた。
身体能力を押してみると体力、力、敏捷性、耐久力、器用、魔力、運と並んでいた。
そのまま体力を押してみる。
体力のデーターらしき棒グラフや丸型グラフが羅列していた。
どうやら1カ月ごとの投資データーらしい、投資リターンが何パーセントなど、この体力の神様の仕事ぶりが表示されている。
一番下には投資金額を入れる枠が設定されていた。
投資期間は2週間あるらしく、残り日数14と表示されていた。
期限が切れるとどうなるのか?消えちゃうのか?わからないがまだ猶予があると
わかっただけよしとしよう。
「ふ~ん。ようするに身体能力とかスキルとか自由に投資する事ができるって訳だな・・これは悩むな・・」
次は換金ボタンを押してみた。
いくら分換金しますかと表示される。
試しに10000円と入力してボタンを押してみた。
すると神マネーの表示が190,000になり、タブレットの下部部分より銀硬貨が一枚落ちてきた。
慌てて銀貨を拾うと「純粋に現地通貨に交換できる訳か・・・」
これなら最悪、お金に困ることはなさそうだが・・・。
タブレットを眺めながらを考えていた。
異世界に来て早々、魔物に襲われて運よく助かったが、自分の情けなさに涙した。
勿論、最初から、ヒーローのように魔物を倒せるとは思っていないが、せめて誰の手も借りずに魔物を倒すようになりたい。
2度目の人生を全力で生きてみたい。
そう改めて決意したのだった。
「まず現地で通貨を稼いで、生活を安定させる事が重要だな。」
「神マネーは自分に投資したほうがメリットが大きそうだ、大神様もできれば投資しておくれって言っていたしな、換金は生活苦になるまではやめておこう。」
投資期間が2週間ある事がわかったので、明日からは現地通貨を稼げる手段を探そうと思い、重い瞼を閉めた。
誤字・脱字 お許しください。