何者?
(コツコツ)
この人、血の匂いがする。
何者なの。
出口なんて分からないけど。
『テメェ、出口は何処にあるんだよ。』
「………」
『テメェは最初っから、無口だよなぁ。俺は静かな方が好きだが。』
「出口…分からない…久しぶりに廊下に出た…。」
先生にむやみに廊下に出ないで。と言われてるから。
それに、喋りたくもない。
独りで部屋に籠り小説を読んでいたりする。
また、無言になる。
先生に頼めばいいかな。
(コンコン)
「先生、居ますか?」
居ない。いつも、此処に居るはずなのに。
出ようとした瞬間だった。
『君は何故、ソイツと居るんだ?関係者しか入れないように玄関は隠してあるのに!何故だ!ルリ、僕を裏切るのか!?』
「……!」
逃げだした。
あの、先生はヤバい人だから嫌だ。
私の主治医だけど。
怖くても私は泣けない。
感情が欠落してしまったから。
無我夢中で走っていると、目の前には見た事のある顏があった。
『おや、ルリではないか。』
「………」
『何が会った。ここまで、走って来て。』
「…出口。」
『出口がどうしたんだ?答えてみなさい。』
「アレンって人が…私の部屋に来て、私を殺してくれる代わりに出口を教えろと。私、出口が分からないのです。先生は怒って…。」
上手く説明が出来ない。
『出口はあの人しか知ら無い。なんとかしてみなさい。それに、ルリ何故死を選ぶ?髪の色、目の色が全て嫌なんだろう。感情が無いのは両親のせいですよね?』
「分からない。泣きたいのになけない。それに、アレンって人を見た時これ以上も無いほど胸が苦しかった。初めて、外の世界の人と喋ったからかな。」
『答えは目の前にある。さぁ、行きなさい。』
そう言われて神父さんから離れた。
生まれつき、私は両目の色が違う。左目が黒で右目が金。髪の毛は月の光に反応して不気味に光銀色。
髪の毛の色は両親にそっくりらしい。
今年で16になるのに何も知ら無い。私の過去を。
無くした記憶を思い出したいな。