出会い
「先生。私は何故、生きるのですか?」
生れつき何も持たなかった私。
全てが憎かった。
『それは自分で答えを探すんだよ。僕は知ら無いから。』
そう言い部屋を出た。
この病棟は常に真っ暗だった。
大きくて、道が良く分からない。
外の世界なんかには憧れない。
私を捨てた親がいるから。
いつも独りで小説を読んだりしていた。
私の居る病棟は私だけだから。
特別扱いを受ける。
小説を読もうと本棚に手を伸ばした瞬間だった。
(バタン)
勢いよく扉が開いた。
先生は乱暴に扉を開けない。
『ったく…。あ?誰だテメェ。』
「………」
目の前に立っているのは、黒いパーカーを羽織っている男の人。
知ら無い人とは喋りたくないな。
でも、気になるな。
『あ?無視かよ。なら、殺すしかないな。』
「………?」
『テメェ、俺が怖くないのか?』
ただの、押し問答。
この人、怖そうだけど願い聞いてくれるよね。
「殺して…。死にたいの…。」
『珍しいな。自分から死にてぇと言う奴。気に入った。でもな、俺はテメェを殺す気にはなれねぇ。』
「?どうして?」
『感情がねぇからだよ。って、この病院どうなってんだ?出口がねぇ。』
出口ってこの病院にあるんだ。
私はこの空間から出た事がないから分からないな。
『テメェ、俺を出口に案内しろ。そしたら、殺してやっからよ。』
「うん。分からないけど。」
そのまま、無言で部屋を出た。真っ暗な廊下を歩く。
この男の人の名前はなんだろう。
「名前…教えて。」
『俺の名前か?アレンだ。それがどうした?』
「私…ルリ…。どうして、ここに来たの?」
『たまたま、来たんだよ。帰ろうと思ったら出口がねぇから片っ端から扉を開けていた。』
この日、私の運命が変わった。