冒険者になろう
冒険者ギルドに入って、改めてここが異世界なのだと実感した。町を歩く人たちもそうだったけど、様々な人種がいるのだ。獣耳が生えた人や耳の長い人、百五十センチ以下の人や二メートルを越えるような人まで。
その光景を見ながら僕は転生して良かったな、と思った。
「……はっ!見とれてる場合じゃない!冒険者登録しないと!」
そう思った僕は、受付らしき所に向かった。
「すみません。冒険者登録したいんですけど。」
「はい、それではこちらに触れてください。」
と言って受付の女の人(猫耳付いてる)は水晶のような物をこっちに置いてくれた。それに僕はそっと触れてみた。すると水晶は少しの間光ったあと、光が収まったと同時にカードのようなものが出てきた。
「それでは確認します。名前はマナミ・ヒロさん。種族は人族、職業は冒険者。ここまでよろしいですか?」
「はい、大丈夫です。」
職業は冒険者登録したから冒険者なんだろう。あとは問題ないかな。
「そして次にステータスですが…………!?」
そこまでいって猫耳お姉さんは驚いた表情で固まってしまった。猫耳と見えなかった尻尾もぴーんとしている。
「あの………どうかしたんですか?」
心配になった僕が話しかけると猫耳お姉さんは我に返ったようで、少し咳払いをして話し出した。
「すみません。レベル一でこのようなステータスを見るのは初めてでしたので少し取り乱してしまいました。普通はレベル一でのステータスは二桁の人がほとんどなのですが……まずはご確認ください。」
と言って手渡されたカードを僕はよく見てみた。
マナミ・ヒロ 12歳 人族
職業:冒険者 ジョブ:(無し)
レベル:1 冒険者ランク:G
HP:500 MP:500
筋力:100 魔力:100
耐久:300 敏捷:150
運:500
スキル
鑑定 言語理解 魔力操作
(二桁どころか、三桁ーーッ!!!)
僕は心の中で絶叫した。これは僕の読んでいた小説と同じならチートなのではないだろうか?
「ヒロさん……?」
「………はっ!すみません、お姉さんの気持ちがよくわかりました。」
そう言うとお姉さんは苦笑して話し出した。
「わかってもらえて何よりです。それでは冒険者ギルドの説明に入りますがよろしいですか?」
「はい、お願いします。」
猫耳お姉さんの説明を要約すると、冒険者ランクはG~S。これは依頼をたくさんこなすと上がっていって逆にたくさん失敗したら下がることがあるそうだ。受けられる依頼は、自分のランクと一つ上までだそうだ。
「それでは登録料銀貨一枚になります。」
僕は箱から銀貨らしき硬貨を一枚取り出した。
「はい、銀貨一枚ですね。再発行にも銀貨一枚かかりますからそのカードなくさないでくださいね?」
「分かりました。あ、そう言えばお姉さんの名前は何ですか?」
「そういえば忘れていましたね。私はミリアと言います。」
「これからもお願いしますミリアさん。それとお勧めの宿ありますか?」
「はい、それでしたら『カシミの宿』があります。少しお待ちください。」
そういってミリアさんは簡単な地図を書いてくれた。
「わざわざありがとうございますミリアさん。行ってみます。」
「はい、行ってらっしゃいませ。」
ミリアさんの声を聞きながら僕は冒険者ギルドを後にした。
追記:2月16日
登録料銅貨五枚→銀貨一枚に変更しました。