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私と茜は、学校の地下のスチールドアの一つを開けて、更に其処から非常階段で半地下に降り、だだっ広い部品倉庫の様な薄暗くて黴臭くて湿り気満点の妖しい部屋へと、辿り着く。 有り難い事に「変態関目」の姿は見当たらない様だった。
木製の大きなテーブルの真ん中に、見覚えのある小さな壺が置かれてある。 あの、ピンク色のウミウシ「アメミット」が入っている青磁の壺だ。 「アメミット」は古代エジプト神話に出てくる幻獣の名前だが、その姿はカバとワニと獅子のキメラみたいな格好だからちっとも似てやしない。 …ただ、悪霊や人間の魂を食べて、永久に復活出来なくさせる、という「設定」は同じらしい。 変態関目は、この子の事を「悪霊殺しの武器」と、呼んでいた。
藤森:「それで、舘野さんは、居ないのかな?」
三条:「居ますよ、ほら、…、」
藤森:「、…!」
そして私は思わず、息を飲む。…
その、完全無欠の球体関節人形ミタイな美少女は、大型熱帯魚用の水槽の水の底で、ゆらゆらと蛍光灯の光に揺らされながら、静かに眠っていた。 …しかも、真っ裸で。
身長は150cm位、小柄で華奢な体つき、顔立ちはどちらかと言えば地味な方だが、すっきりと目鼻立ちが整っていて、どこか、赤ん坊ミタイな、幼さ、あどけなさの抜けない、可愛らしい、…女の子。
この子は、夏休み前日の夜に、屋上から見たプールで泳いでいた、あの、美少女に、間違いない。 どう見ても、私よりも2つ年上の女子高生には、見えない。 どう見たって、小学生? でも、…
藤森:「…綺麗、…」
三条:「ね、本当に綺麗ですよね、…」
私は、どんなにイケナイ事だと判っていても、その美少女の艶かしい裸体から、目が、…離せない。 仮令呼吸をする事と引き換えだったとしても、何時までも、ずっと、…見詰めていたい。
つい、そして、自分でも気付かない内に、私は手を差し出して、…
関目:「そいつに触るんじゃない、」
不意に!背後から声がして、…私は正気を取り戻す!
振り返ると、そこに変態!…が、立っていた。
何時から居たんだ? …気色悪い奴、
藤森:「さ、触んないわよ! …ナニ言ってんの? …馬鹿なの? …死ぬの? …気安く話し掛けないでくれる?」
と、言ってる私の顔は、多分真っ赤になっている。…なんで??
関目:「そいつにカスリ傷でも付けてみろ、「この世が終わる」様な目に遭わされるぞ!」
藤森:「ナニよ、アンタこそ、こんな女の子を裸で水槽に寝かせて、…また変態行為に及んでるんじゃないでしょうね!」
改めてシゲシゲ見るに、陰気臭い顰めっ面の中年オヤジ、しかも口が悪くて性格最悪だなんて、…何一つコイツが私にした事を許せる要素が、見当たらない。
関目:「今日死にたくなければ、そいつには関わらない事だ。 それよりも、何しにココへ来た。」
藤森:「何だって良いでしょ、変態非常勤保険医フゼイが、なに偉そうな顔して威張ってんのよ!」
三条:「もう、御二人とも仲が良いんだから、…茜、嫉妬しちゃう!」
いやいやいやいや、茜!…どんな風に化学反応したら、そういう結論が出てくる?!
藤森:「大体私は、アンタが千恵子にした事を許した訳じゃないんだからね。」
本当は「私」にした事、の方が、…許せない。
関目:「何度も言うが、気に病む必要は無い、あれは単なるNPC(Non Player Character)に過ぎんのだ。 しかも既に肉体を失った状態では、殆ど現実世界に干渉する事は出来ん、霞の様な存在だ。」
藤森:「それなら余計に、そっとして置いてあげれば良かったじゃないの!」
関目:「そうはいかん、アイツの正体は「3年前の悪霊」の欠片だ。…お前と同じにな。 「アレ」は危険だ、放置すれば、いずれは力を取り戻して再び悪事に及ぶ可能所為も有る。…お前と同じ様にな。」
イチイチムカつく〜!
コイツの頭ん中では、既に私は人間では無くなっている、と言う設定らしい。
この!…中年中二病メ!




