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イーヴィル・アイ(邪視眼)  作者: ランプライト
第八章:三年前×事件
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-040-

東野陶子は、母親に支えられる様にしてソファに座り、真っ青な顔で、何かに立ち向かう覚悟で、一言ずつ、当時の事件について、…語り出した。


~~以下は陶子証言の抜粋~~~


その殺人鬼は、何の前触れも無く突然現れた。 それまで全く素振りを見せなかった、内気で真面目な男性教師「牧野凱吾まきのがいあ」が、ある日突然豹変したのだ。


その直前まで、牧野凱吾は、自らが顧問を務めていたバドミントン部の7人の部員を集めて、ミーティングを行っていた。


丁度夏休みの真ん中、8月の第一週、部活終了後の夕暮れの校舎には、人影もまばらで、…そして突然、牧野凱吾は、部室のドアに、予め用意してあった南京錠を、…かけた。


それから牧野凱吾は、スポーツバッグからカラフルなプラスチック製の玩具の手錠と、大きなナイフを取り出すと、7人生徒に、自分の左手首を隣の生徒の右足首に繋いで輪になる様に指示した。


最初、生徒達は、ドッキリパーティ的な冗談だと思っていた。


不審に想いながらも、言われた通りに玩具の手錠で自分達を繋いだ生徒達に向って、…次に、牧野凱吾は一本の金鋸のこぎりを生徒に手渡すと、真面目な顔で…


「隣の生徒の左手首か、自分の右足首かどちらかを切り落せ」と、…命令した。


当然、生徒達は拒否し、罵声を浴びせかけた。


すると牧野凱吾は、一人目の生徒の胸を、持っていたナイフであっさりと、…刺した。


一瞬で生徒達はパニックに陥り、泣き喚きながら逃げようとしたが、手首足首を数珠繋ぎに輪になった格好ではマトモに動く事もできず、…


牧野凱吾は薄ら笑いを浮かべながら、次の生徒に金鋸を手渡した。


その生徒は、恐怖で我を忘れ、渡された金鋸を牧野凱吾に向って投げつけた。


牧野凱吾は、激昂しながら、その生徒の目をナイフで、…貫いた。 ナイフは眼窩から脳に至り、あっと言う間に二人目の生徒が命を落した。


牧野凱吾は金鋸を拾って、次の生徒に手渡した。


次の生徒は、顔をナイフで刺されてまさに息も絶えかけていた友人の手首を、泣きながら、叫びながら、切り落とした。 慣れない人体の切断に、彼女は10分以上を要した。


牧野凱吾は満足気に、血塗れになって震える生徒から金鋸を取り上げて、ぼそりと呟いた。



牧野:「大和田、友達の手首を斬り落とすなんて、お前は酷い奴だなあ、でも気にしなくても良いんだよ、だって次はお前の手首の番だから、…」


そこで、漸く異変に気が付いた教師達が窓ガラスを割って教室に踏み込んだ。


牧野凱吾は生徒の一人の首にナイフを突きつけて威嚇し、


それでも教師達が無理矢理飛びかかろうとすると、…


牧野凱吾はその生徒の顔の皮膚を、顎から目蓋にかけての柔らかな頬肉を、ナイフで、…削ぎ剥いだ。



愈愈体育教師が特攻し、牧野凱吾を後ろから羽交い締めにした。


その隙に、手錠で繋がったままの生徒達は、教室から逃げ出した。


生徒達は、二人の死んだ友人を引き摺りながら、のたのたと逃げ回り、それから直ぐに、廊下で転んで動けなくなった。


牧野凱吾は、体育教師の右手の指をあっと言う間に4本とも斬り落として、嗤いながら、生徒達を追いかけて来た。



その時、偶然?…陶子達の足首に付けていた玩具の手錠が壊れて、…外れた。


陶子は、顔面からひっくり返りながらも全速力で走り、…


牧野凱吾は、逃げる陶子を、追いかけて来た。


逃げる途中、陶子は一人の生徒とすれ違った。


そのまま、よろけた陶子は廊下で滑って転倒し、後頭部を強打して、気を失った。





東野:「その子が、同じクラスの舘野涼子さんだったの。 彼女は、私の所為で、…」


藤森:「その人も、刺されたんですか?」


東野:「分からないの。私は、そのまま気を失ってしまって。 でもそれ以来、彼女は学校に来なくなったわ、他の犠牲になった生徒と同じにね、…だから多分、」


藤森:「それで、その男は、その後どうなったんです?」



東野:「警官に撃たれて死んだって聞いたわ。」

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