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藤森:「それよりも、悪霊に関する情報が欲しいわ。」
それから私は「フン!」と意気を吐いて、柔らかな茜の膝枕から、ゆっくりと起き上がる。
ずっと頭を撫ぜてくれていた、茜の細い指が、軽く髪を梳いて、…心地良い。
三条:「御姉様、そう言えば、ポスターに書かれた名前に共通する「ある事件」を割り出す事が出来たんです。 お父様のパソコンから学校のサーバーへアクセスして、ポスターの名前を検索した結果、学園から支払われたある「慰謝料」に関する会計報告書を見つけ出す事が出来ました。」
藤森:「慰謝料?」
そう、私は拉致される前に、茜に「ホルスの目のポスター」に書かれた名前を調べてもらう様に御願いしていたのだった。
三条:「実は三年前に学校で大きな事件があって、被害者に対して多額の慰謝料が支払われたらしいんです。 多分、風評被害を防ぐ為の「口止め料」も兼ねていたと思います、」
三条:「それで「関連ワード」でサーバー内の理事会報告書類の残骸(=最終報告書を完成する迄の書きかけバックアップの事、削除されずに放置されて後から読み返すと重要なんだか捨てても良かったのか、何が何だか分かんなくなる事が多い)を検索して、再構成した結果、ある事実を導きだす事が出来たんです!」
茜は、得意げに人差し指を立てる、…
可愛い子はどんな仕草でも可愛いのね、私には、…色々無理だけど、
三条:「ポスターに名前を書かれた生徒達は、3年前に学校内で起きた「心神喪失状態にある男性教師による連続障害事件」の被害者だったんです。 事件では8人の女生徒と一人の教師が犠牲になり、2名が死亡、4名が今も心身の後遺症の為に社会復帰出来ない状態が続いている様です。」
萱島:「何なん、その怖い事件? ウチそんな学校に入学してもうたん?」
早速、美弥子は涙目になっている。
藤森:「茜、貴女よくこの短期間に、そんな極秘事項を手に入れる事が出来たわね。」
三条:「御姉様。娘には、父親の防御シールドを全て無効化する「限定呪文」が使えるんですよ。」
茜が満面の笑みで、大きな瞳をキラキラさせる。
藤森:「でも、その事件が、私に取り憑いた悪霊の所為で起きたんだとすると、その後、悪霊はどうなったんだ? そもそもどうやって、退治したんだろ?」
茜が、一寸申し訳なさそうな、困り顔をする、、
藤森:「当時の関係者で、話できそうな人、居ないかな。」
三条:「実は8人の被害者の内、一名が健在で、現在も学園に通っている事が分かりました。 3年A組の東野陶子先輩です。 この人になら、話が聞けるかもしれません。」
藤森:「もう一人は?」/8-4-2-1=1
三条:「最後の一人は、…素性が分かりません。 何故だか一人だけ、名前も学年も、何の情報も残っていないんです。」
藤森:「良いわ、…先ずは、その東野先輩に会ってみましょう。 それで殺人魔が、その後どうなったのかの情報が得られれば、悪霊を取り払う方法も、見つけ出せるかも知れないよね。」
私達は心配するママを何とか説得して、茜の車(運転手付き)でその「東野」先輩の家を訪ねる事にした。
呼び鈴で玄関に現れた母親に挨拶をして、「学校の用事で少し話をしたい」と告げる。 どうやら、夏休みに入ってから急に体調を崩して臥せったきりらしい。
母親:「今は、具合が悪いから、2学期になってからじゃ駄目かな?」
三条:「スミマセン、一寸急いでいて、…実は、お伺いしたいのは、3年前の事件の事についてなんです。」
そう言った途端に、母親は、行き成り、般若の様な形相に、…変わった!
母親:「帰って下さい! 貴方達、何を調べているのか知らないけれど、あの子は苦しんだの、今も苦しんでいるの。 これ以上、面白半分で、あの子を苦しめる様な事をしないで!」
母親が、泣きながら私達を玄関から追い払おうとした、…その時、
東野:「待って!…」
家の奥から姿を現したのは、あの「お局先輩」!?
東野:「私、もう、こんなのは嫌! 何時までも怯え続けて、生きるのは嫌!」




