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イーヴィル・アイ(邪視眼)  作者: ランプライト
第八章:三年前×事件
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-038-

「この世の全ての事物は、名前を呼ぶ事で、自分の正体を認識し、果たすべき宿命と向かい合える。。。」とは、とある人物の受売りであるが、(注、サミシタガリヤ3 エピソード27参照)


名前とは「世界」と「事物」を繋ぐ「契約」の、最もシンプルな「発動Key」なのだ。



ナザール・ボンジュウ、…全ての呪いを無力化する、カウンター・ウエポン。


ふと、私が口にした青い目玉の「真名」=「呪文」が、私と「それ」との間に「契約」を繋ぎ、その機能を、…実行させた。


私に掛けられていた「呪い」が、たちまちの内に、…無力化する。



藤森:「い、…たぁ、…」


涙が、後から後から湧いてくる。


全身が、ヒリヒリと、…熱い。 まるで、体中の皮膚を、剥がされたみたい。(注、剥がされた事ないけど、、)



でも、…こっちの方が、「痛い」のが分からないよりも、何倍も良い。(注、歯医者で麻酔為しに神経を削られるのはゴメン、…だけど、、)


だって「痛み」とは、危険から身を護る為の「警報」なのだ、

私は、全身を駆け巡る「警報」に耳を傾けながら、自らの置かれている状況を、正しく、認識する。


認識は、為すべき行動へのモチベーションへと、すぐさま、…転換する!



藤森:「ぁの野郎〜、絶対!…許さないからぁ!!」


私は、皮を剥かれた因幡の白兎ミタイにフルフル震えながら、軽く30分は、何も出来ずに踞っていた、…と思う。


私には、多分何らかの呪いをかけられていたのだろう。

恐らくソレは、身体と心の痛みを感じなくさせる呪い。


今になって漸く、アイツが、確かに私の全身に、何だかイヤラシい仕掛けをしたに違いない事を、文字通り、…痛感する。




全身汗だくになりながら、漸く痛みにも馴染んで来た頃、

私は、うろ覚えな記憶を途切れ途切れ、二人の親友に告白した。(恥ずかしい部分は当然カット)


三条:「それじゃあ、その男は本当に魔術師で、御姉様に何らかの呪いを施したと言う事でしょうか?」

萱島:「せやけど、何でそんな事する必要、有るん?」


藤森:「アイツ、私の全身にヒエログラフの刺青を入れて、身体の中に悪霊を封じ込めるって、言ってた。」

三条:「そう言えば、古代エジプト魔術が「文字」で「力」を操っていたと聞いた事があります。」



萱島:「せやけど、何の痕も無いミタイやな、」

三条:「目には見えない、そういう刺青なんでしょうか?」


二人が、代わる代わるに、私の身体の彼方此方を、…弄繰り回す。


藤森:「ちょっと、痛いってばぁ…!」


私は、今になって呪いが解けた事を、一寸だけ、…後悔する。



萱島:「ホンマに、かえチャンの中に悪霊がるん?」

三条:「でも、その男の言う事が本当だったとして、一体どんな悪霊何でしょうか?」


藤森:「分からない。調べてみる必要がありそうね。 それで、その悪霊を呼び出せれば、あいつはきっと又、姿を現す筈!」


萱島:「なんや怖いやん、別に呼び出さんでも、調べるだけでえんとちゃうん?」

藤森:「そうは行かない、アイツを、この侭にして置くのは絶対に嫌!」



三条:「でも、悪霊を復活させてしまって、危なく無いのでしょうか?」

藤森:「どうせ、何の取り得も力も無い、悪霊の燃えカスみたいな奴よ。」


萱島:「せやけどその男をおびき出したら、また反対にやられてまうんとちゃうん?」

藤森:「まだ、分からないけど、何か、方法は有る筈。 アイツにも弱点が有る筈よ。 少なくとも、茜の御守アミュレットは効いたわ、アイツの呪いを無効化したもの。」


茜が、自分の首からネックレスを外して、私に、…差し出した。



三条:「コレ、御姉様が持っていてください。 悪霊に対しても護りになると思います。」


藤森:「駄目よ、茜だって、安全と決まった訳じゃない。 もしも貴方があんな目に合わされたら、…私は、本当に自分を許せなくなっちゃう。」

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