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イーヴィル・アイ(邪視眼)  作者: ランプライト
第五章:陰謀×前兆
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-021-

正座する私の目の前には、…袋ごと、まっさらの「料理用卓上塩」が、供えられていた。

私の親友は、…真夏なのに、分厚い掛け布団の中、


萱島:「アホやろアンタ、此処にアホが()るーーー、信じられへん!アホやーー!」


私はさっきから15分は、アホアホ言われている。

…何故なら、私の親友は、極度の、…ビビリだからだ。


でも、まあ、お陰で私はすっかり平静を取り戻していた。

…「自分よりも困っている人間の前では泣きたくても泣けなくて意外に勇気が出てしまう」メソッド


全ては、私の、「計」「算」「通」「り」「!」



て言うか、ギャーギャーひとしきり騒いで、散々泣いてストレス物質排出したから、ケロッと平常心を取り戻した、…とも言える。


一体、どんな「呪い」が私に取り憑いたのかは知らないが、

ふっ、、オカルト・マスター(笑)の「藤森楓」を敵に回したのが、運の尽き、…と言うものだ。


私は改めて掌の痣を観察する。 見事な迄に濃く成長したまん丸の痣は、見た目には青っぽい刺青タトォにも見える。 掌と手の甲を貫通する様な「ソレ」は、…穴?オカルト業界でよく言う処の「聖痕」?にも似ている。


でも、これは、本当に、呪いによるモノなのだろうか? 案外何かの病気だったり、とか、、



念の為、「掌の痣」×「病気」で、ぐぐって見る。


…痣は皮下出血、

…全身に症状が現れる場合は血液凝固機能の低下の恐れ、

…調べれば調べるほど、…だんだん暗く、重く、追い詰められていく私。


藤森:「まあ、掌だけだし、…きっと大丈夫よね、」//:「気にしない気にしない、…」


病気なら医者に行けば済む事だし、本当に「呪い」の問題なら医者に行ってどうにかなるものでもない。



「「呪い」の問題」とは、設定と設定の戦いである。

例えば、ギッチョバリヤーが小学生低学年レベルの攻撃呪文を全て跳ね返してしまう様に、 例えば、無敵の吸血鬼真祖が十字架とニンニクと太陽光線には勝てない様に、 例えば、ジャンケン(関西ではインジャン)のグーが決してパーには勝て無い様に。 其処には必ず弱点/抜け道の設定があり、お互いに設定の裏を掻く事で勝負を決するのが、古来、陰陽道よりも遥か以前から綿綿と続く、「呪術」の本質なのである。


では何故、ワザワザ弱点を作る必要が有るのか? 何故、完全無欠の最強設定が存在しないのか?


それは、「スリル」が大事だからである。 アンゴルモアの大王が降ってきて、事務的に世界を滅ぼしてしまう様なやり方は、つまらないからである。


オカルトとは、恐怖(スリル)浪漫(ロマン)を楽しむモノなのだ。



だとすれば、だからこそ、一刻も早く、相手の「設定」を解読して、対抗呪文を発動する必要がある。


敵の人体に実際に影響を及ぼす程の強力高等呪文には、下手をすればヒトの命を奪う力さえ内在する。


先ずは、敵の正体を特定できれば戦い易くなるのだが、、可能性があるのは、…

(1)動機がありそうな女王様の取り巻き連中。

(2)犯行時刻に現場に居たのは千恵子ちゃん。

(3)一連の呪いの発動と同時期に私に急接近してきた三条さん。

(4)そして、あのポスターの事を何か知っているに違いない中年非常勤保険医。

(5)討論大会係の会議でゲロを吐いたお局先輩は、…まあ、外してもいいだろう。

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