-010-
藤森:「ああ~、良い事無いなー、」
有耶無耶の内に会議も「お開き」になって、結局、B組の私とC組の大和田さん達が、図書委員を引き受ける事になった。
それにしたって!夏休みに毎日学校って、…どんだけ体育会系なのよ!
購買横の自販機で、缶コーヒーを買う。。
女子で、缶コーヒー(注、しかもブラックの小さい缶)を買うのって、結構珍しいと思うが、個人的に甘くないのが好みなのだ
その場でプルトップを空けて、/缶:「かしゅっ!」
それから、あの技術工作室特別教室から、…しゃくりあげる様な、微かな泣き声が聞こえて来た。
そっと、覗いて見ると、…あの男の子が居た。
ズボンを脱がされて?…床に、しゃがみこんでいる?
藤森:「アナタ、どうしたの?」
顔に、明らかに誰かに殴られた痕が?…許せない!
藤森:「誰が、こんな事したの! 許せない。 私が、文句言ってやる!」
男の子:「言わないで、お願い、…誰にも言わないで。」
藤森:「でも、こんなの、もう犯罪だよ。この間もそうだったんでしょ? 泣き寝入りしちゃ駄目だよ!」
男の子:「お願い!」
男の子が、私の胸に、しがみついてくる。 私は、思わず、胸がドキって、…だって、
藤森:「だって、アナタ、…辛いでしょ。こんなの。 私も、…嫌だよ。こんなの。」
男の子:「「あの子」に知られたら、もっと酷い事をされちゃう。そしたら僕、ココに居られなくなっちゃう。」
藤森:「でも、何時までも、こんなんじゃ、…駄目だよ。」
男の子:「今日だけ、お願い、今日だけは、…秘密にして、」
困った顔をする男の子の顔を見て、何だか、まるで私が苛めてるミタイなそんな錯覚に、捕らわれる。
藤森:「分かった、今日だけは、内緒にして置いてあげる。 でも、夏休みが終わったら、私に、ちゃんと報告するんだよ、本当に大丈夫なのか、本当は助けて欲しいのか、教えて? 判った?」
それから私は、ハンカチを自分の唾液で濡らして、男の子の頬の擦り傷を、…拭いてやる。
男の子:「あっ、…」
びくっと、男の子が痛みに身を竦ませて、…
意図せずして男の子の震える指先が、私の胸の母性本能の象徴に、触れて、…
藤森:「じっとして、」
私は、一生懸命を演じて、出来るだけ平静を装って、…
何時の間にか、男の子の華奢な掌が、慎ましやかな私の乳房に押し被された侭で、…私の動悸は、胸の底の方からどんどん激しく湧き上がってくる訳で。 …
仕方ないよね、これは、純粋な医療行為なのだから、
藤森:「じっと、してて、」
口の中が、こそばゆくって、…
私は、どうしたって、この子を、抱きしめたくなってしまうのを、必死に、…
堪える。
エピソード2 「討論大会×係」
登場人物のおさらい
藤森楓:主人公
萱島美弥子:親友
三条茜:学園の女王様、取り巻きはツッケンドン
大和田千恵子:討論大会係の一人、極度にネガティブで一寸イラっとする。
東野陶子:討論大会係の先輩、御局様
不思議な男の子:楓のショタ属性の矛先、兎に角可愛いらしい
イラストは、可愛い男の子のイメージです