-001- <プロローグ>
これは、高校一年の夏休みに起こった、下ネタ満載のかなりお馬鹿な物語である。
一応表向きは、この世とあの世の謎を解き明かしつつ、私に新しい友達が出来る迄のハートフル・ホラーストーリーと言う事になっているのだが、、
私の名前は藤森楓、この物語の語り部だ。
過剰な期待を裏切らない為に予め言っておくと、大して美人でもないし、成績も普通だし、愛嬌が良いとか、目立つ特技があるとか言う訳でもない。
今の所、友達は同中の萱島美弥子と名乗る親友が一人いるだけで、他にはそれ程仲の良い友達は居ない。 念の為に言っておくが、人に嫌われる様な事は出来るだけしない様に心掛けてるし、身形も清潔にしてるし、持ち物も極々中流階級的?である。 高校になってからコッチはコアなオカルト趣味の事も秘密にしていた。
そんな普通人の私にしっくり仲の良い友達が増えない理由を一寸だけ弁解させてもらえるなら、それはきっと学校のシステムの所為に違いなかった。
物語の舞台は私立三塚本学園。
この学校は元々は伝統ある私立お嬢様女子大学付属お嬢様女子高校だったのだけれど、3年前の「ある事件」をきっかけに、突然共学化される事となる。 (注、そうは言っても、男女はクラスも授業も完全に別々に分けられていて、学校内で男女が一緒に活動するのは、体育祭と文化祭と討論大会ミタイな年間行事、それに部活位だけだ、) ぶっちゃけ共学化は余り「私に友達が少ない件」には関係ないのだが、それと同時に取り入れられたユニークなクラス分けのシステムが問題なのである。
何とこの学校では、皆のクラスが決定するのが一年生の一学期の終わり、夏休みの直前なのだ。 入学からソレまでの約4ヶ月間は、受験番号順に決められた仮クラスで授業を受ける。 その間に幾つかの試験や問診調査を繰り返して->それぞれの生徒の才能に応じた育成コースが決められて->残り2年8ヶ月を一緒に生活するクラスメイトが決定する、という何だかヤヤコシイシステムになっていた。 要するに「どうせ直ぐにクラス替えするんだからそんなガッツイテ無理に仲良くなってもしょうがないじゃん」、と言うのが友達の出来ない主な理由なのだ、…と、私は思う。
そして正に本日が、その一学期最終日、つまりクラス発表の日だった。 そりゃあ、皆の期待と不安が並並ならぬモノなのは、推して知るべしって奴だ。 何しろ、これから卒業迄の間、可愛いあの子と一緒に過ごせるのか、噂の厄介者と同じクラスになってしまうのかが、この瞬間に発表される訳だから。。。 朝、職員室の前に張り出された新一年生のクラス分け表を見て、有る者は意気揚々と、有る者は肩を落として足を引き摺りながら、漸く決まった自分の教室へと私物を運んで行く。
因みに私は、比較的平静を装いながら、1年B組と書かれた教室のドアを潜った。 どうやら席順は、…出席番号順らしい。
藤森:「よかったね、同じクラスで、」
萱島:「まあ、ウチラぶっちゃけ親友やし、適性とか似てるんちゃうん?」
いや、そんな事は無い、と断言できる。
そしてこの物語は、三つの出会いから幕を開ける。
一つは、ちょっと変わったクラスの女王様との出会い
一つは、ちょっと可愛い男の子との出会い
一つは、ちょっと不思議な女の子との出会い
さて事前説明は大体こんな所にして、愈愈この下ネタ満載のお馬鹿な物語を始めるとしましょうか。