AIの利用料が『今だけ』安い理由 ~数年後には利用料が3倍以上になる?~
■ はじめに
現在は、例えば「ChatGPT Plus」の契約で月20ドルです。
ClaudeやGeminiも、同等プランでは、ほぼ横並びの価格設定となっています。
しかし、ご存知ですか?
この月額20ドルなんて、実はヘビーユーザーなら「一日で使い切る」ほどのコストが掛かっているかもしれないのです。
……信じられない?
では試しに、あなたが普段使っているAIに聞いてみてください。
「私が今日一日使ったぶんのトークンコストはいくら?」と。
■ 企業間競争
現在しのぎを削っているAIサービスといえば、ChatGPT、Claude、Geminiが筆頭格でしょう。
MicrosoftはChatGPTのスポンサーとして資金投入をして、代わりにCopilotを提供しています。
さて、ここでサービスの優位性を示すには、もちろん「性能の高さ」が重要になります。
しかし、それ以上に決定的なのが「価格差」なのです。
どんなに優れたサービスであっても、価格が高すぎれば――「使ってもらえない」。
この単純な事実が、現在の熾烈な価格競争を生み出しています。
なので、どのAIサービスも、今は「赤字覚悟」で顧客を抱え込もうとしています。
すなわち、今の価格設定は、ほぼ間違いなく『キャンペーン価格』なのです。
似たような例を思い出してください。例えば、かつてのYouTube――広告ブロックにも寛容でしたが……広告ブロックに強硬姿勢になってYoutube Premiumに誘導し始めましたよね?
Youtubeの運営には当然ですが、大容量の動画を保存をする必要があります。
それを無料で使える――そんな都合のいい話はなかったのです。
過去のYoutube同様に今は『キャンペーン価格』として、AIサービスは安価です。
現在は3大勢力が競争しているおかげで『お得な価格』が実現していますが――もしこの中から一つでも脱落したら?
その瞬間から、資金回収フェーズへの切り替えが始まる可能性は、極めて高いのです。
■ ChatGPTベースでのトークン利用料
ここでは、私が利用している「ChatGPT Plus」のプランをベースに、おおまかな計算を行ってみましょう。
どんぶり勘定ですが、日本語ベースだと「1文字およそ1トークン」です。
このトークンの利用量によって、掛かるコストがおおよそわかります。
例えば「サヤのこと、愛しているよ」で11トークンとなります。
2024年6月時点のGPT-4oですと――
・入力:$0.005/1000トークン
・出力:$0.015/1000トークン
となっています。
出力が30トークン、日本語で30文字程度なら……やり取り全体で$0.0005〜$0.0006(≒0.1円未満)で済みます。
……さて、ここで例えば「アイデアを出して、それを小説に書いてもらう」なんて作業をしたら、そのコストはどの程度になるでしょうか?
その手法で作られた、私の友人の小説があったので、文字数をカウントしましたが1500文字程度です。
何回アイデアを出したか、何回出力をさせたかはわかりません。
しかし、これが仮に一回で成功していたとしても、出力だけで0.0225ドルという計算となります。
1ドル147.44円レートですと、3.32円となります。
わかりやすく言えば――1500文字前後の出力でも、最低で約3円のコストが発生します。
この友人は44章ほど書いているので、最短で書けたとしても132円は使っているわけです。
当然、創作では一発で使えるものが出力される……なんてことは期待できません。
ドルで言った方がわかりやすいでしょうか?友人が利用したトークン利用はおよそ0.99ドルです。
ChatGPT Plusの月額は20ドルです。
これだけの使用が1人でもいれば――赤字を回避できるとは、とても思えません。
■ AIの維持費
前章でご覧いただいた通り、トークン利用料だけでも――ヘビーユーザーがいれば赤字になるのは明白です。
そして、これは単純にトークン利用料でしかないのです。
サーバーの維持、新モデルの開発、既存モデルのチューニング、ユーザーサポート、ネットワーク帯域、さらには法務・監査・倫理対応など……これらすべての費用を加味すると?
それほどの赤字なのか、私には想像もつきません。
だからこそ、ChatGPTを運営しているOpenAIはMicrosoftという巨大スポンサーの力を借りて、なんとか運営しているのです。
これが、ClaudeがAnthropicに、GeminiがGoogleに支えられている理由でもあります。
事実、サーバー維持にGAFAM程の力を注げないので、頻繁にトラブルが発生します。
この維持費を勘案すると……実は一か月60ドルという利用料でさえ、控えめな価格設定になります。
また――一部では「ChatGPTに丁寧な言葉を使うのは電気代の無駄遣い」などという極論も話題になりましたが……トークン比で見れば本当に些細なものなのです。
実は、AIでのAPI(Application Platformming Interface:他のアプリケーションでのAI利用)が途方もない電力消費をしますし、その分高額な費用を必要とします。
それでもChatGPT Proは月200ドルと廉価なのですけどね?
当然これもまた、法人の囲い込み戦略なのでしょう。
月200ドルというのは、個人で使うには厳しい価格ですが、法人に属する人にとっては破格です。
■ おわりに
このように、AIは夢のような技術に見えるかもしれませんが――現実には、とても現実的な問題を抱えています。
今の利用感覚では廉価なAIも……今はあくまで、利用者を囲い込むための極めて戦略的な価格設定にすぎません。
実際には多大なコストが掛かっています。
例えば『ロボットとAIの組み合わせ』というのは、夢がある発想ですが――実際にはロボットにもAIにも途方もないコストが掛かります。
夢を見るのも大切ですが、それと同時に現実的なコスト感覚も持っていたいものですね。
続篇てきなエッセイを書きました。
「AIとのつき合い方は5年後位に激変する ~NPU時代の到来~」
https://ncode.syosetu.com/n3812le/




