「消えた美少女」
「今の若いもんはああいうのを美少女
と言うのかのう?」
「まあ、
痩せてる方がいいみたいじゃからのう」
「でも、
なら、じいさんが助けた甲斐があったのう。
てっきり、男にふられて
自殺かとも思っていたんじゃ」
「そうじゃのう」
老人と老婆はそう話しながら、
少女の寝ている布団に向かった。
「臨時ニュースです。
指名手配中の連続少女殺人犯根岸あおむが、
本日オンシラ村で、
少女の殺害を企てようとしようとしているところを、
同居の老人に目撃され、
その場にあった猟銃で射殺されたとのことです。
詳細がわかり次第速報致します」
「じいさん、いない...」
「ああ...、少し休んだら、
警察が事情聴取するって言っておったのに」
「あんな穴に落ちていたのじゃから、
何かワケありじゃったのかのう?」
老人と老婆はそう話しをすると、
女を探した。
しかし、
女はいなかった。
「消えるはずはないのじゃが」
老人宅の門の前には警察官やマスコミがたくさんいた。
老人と老婆だけでなく、
警察官たちも救出された女を探したが見つからなかった。
結局、殺されかけた女はそのまま消えてしまった。