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「カミサン」
散弾銃だったので、
男は即死だった。
倒れた男だけではなく、
あおむの顔にも血が飛び散った。
あおむはその場で気絶した。
「さすが、熊退治の元名人じゃのう」
「わしの腕も落ちとらんのう。
じゃが、まさか、
こんな田舎に強盗が入るとはのう」
「そうじゃのう。
でも、あの娘がいなければ、
わしらの命が危なかったのう」
「これもカミサンのおかげかのう」
「ありがたや、ありがたや」
「カミサンにお礼に行くかのう」
「それより、
この娘を介抱してやらんとのう」
「そうじゃのう」
老人と老婆はそう話し合うと、
あおむをきれいに拭いてから、
着替えさせて、
また、
布団に寝かしつけた。
「カミサン、カミサン、カミサン。
ありがとうございました。
あの小汚い女のお陰で、
私どもは
強盗に命を奪われないですみました」
「カミサン、カミサン、カミサン、
ありがとうございました」
老人と老婆を別室に祀ってあるカミサンの像に
お礼を言った後、
警察に電話した。




