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「殺人者」
あおむは、
自分が寝ていたところに戻ると、
また、後悔しはじめた。
あのとき、
カミサンの言うとおりにしていれば良かったと。
そのとき、
どこかで声がした。
声の方を見ると、
そこには驚く人物が立っていた。
そして、
あおむが驚いて立ちつくしていると、
その人物は凄い形相で、
あおむの首を、
思いっきり、
両手で絞め始めたのだった。
あおむの意識はだんだんと遠のいた。
そして、
ようやく、
あおむは理解しかけていた。
「キャー!」
「どうしたばあさん」
「人殺しー」
老婆は大声で叫んだ。
そこには。
助けた女の首を
両腕で締め付けている男がいた。
老人はそれを見ると、
床の間の猟銃を素早く手に取り、
見たことのない男目がけて発砲した。