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「見たことのある女」
かおむの周りから
化け物らしいものが一切消えたので、
かおむは、
「カミサン、カミサン、カミサン。
ありがとうだす。
カミサン、カミサン、カミサン。
ありがとうだす。
本当に反省しただすよ」
と2度ほど、祈った後、
自分の気持ちをつぶやいた。
そうするうちに、
かおむは安心したのか、
眠ってしまった。
「あら、綺麗!」
「本当?」
かおむがその声で目覚めると、
どこかで見たことのある女が、
自分の方に手を寄せてきた。
かおむはその手を避けたくても、
手も足もないので、
どうしようもなかった。
女の手がかおむを強く握ったので、
「痛いだすよ」
と声を出したが、
女の耳には届かなかった。
かおむが苦痛を感じて、
そう声を出したあと、
急にかおむはまた急激な目眩に襲われた。
今までにないほどの目眩だったので、
かおむは意識を失った。