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「ないもの」
「でも、本当に綺麗ねえ」
かおむは化け物がまた奇声を発したとき、
今度は首のないことに気づいた。
「特にここなんか綺麗だな」
かおむは化け物が、
また奇声を発して、
変な指を近づけてきたので、
思わず目を瞑った。
「そうねえ。
でも、ここも綺麗よ」
また変な奇声がして、
化け物が何かを、
口に入れてきたので、
かおむは
今度は口を思いっきり閉じた。
「あらー、色が変わったわ?」
「どこどこ、ここか」
また変な奇声がしたかと思うと、
化け物2匹がかおむがつぐんだ口をいじりだしたので、
かおむは思わず、噛みつこうとしたが、
そのとき、
はじめて歯のないことに気づいた。
「あらー、また、変わった?」
「不思議だなあ?」
予想もしない展開に、
かおむがとまどっていると、
またまた、奇声がして、
今度は化け物一匹がかおむに顔を近づけてきたので、
しょうがないので、
かおむは、
歯の代わりに舌で舐めて脅かしてやろうかと思ったが、
今度は舌もないことに気づいた。