「あたし、キレイ?」
「あたし、キレイ?」
「キレイだすよ」
「あたし、もっとキレイになりたいの!」
「もう充分だすよ」
「いやなのー。
もっともっとキレイになりたいのー。
お願い!」
「わかっただすよ。
こういうときは、カミサンに頼るだすよ。
ちょっと待ってくれだすな」
かおむは彼女にそう言うと、
部屋のパソコンでカミサン伝説を調べ始めた。
「かおむ編?
...
キレイになれました...」
かおむは自分の名前がついたカミサン伝説を
見つけてしまったのだった。
「どうしたの?
あたし、もっとキレイになりたいのよー」
「どうしたのよ?
あたし、早くもっとキレイになりたいのー」
「うーん、そういうことだすかあ?」
かおむの顔が少し曇る。
「何よー」
「えーとだすなあ。
もっともっとキレイになるには
それなりの時間が必要だすよ」
「えー?」
「もっともっとキレイになりたいだすよなあ」
「くどいわねー。
そうよー」
「だすから、時間がかかるだす。
それでもよいだすかあ?」
「うーん?」
「なら、もう充分だすよ」
「いやー、待つから、
もっともっともっとキレイにしてー」
彼女はかおむに抱きついた。