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「不気味な手鏡」
嗅覚!
嗅覚と鏡?
鏡と嗅覚?
かおむはその関係がどうしてもわからなかった。
自分が鏡を覗くと何が起こるのか、
余計わからなくなった。
かおむが混乱していると、
「かおくーん?
かおちゃーん。
あたしキレイ?
早く答えて、
はやくー」と、
目の前の生き物は、
かおむをせかすように、
前とは少し違う言葉を吐いた。
かおむは、
おそるおそる鏡を手で触った。
感触も普通の手鏡である。
しかし、
かおむは考えた。
本当に自分が持っているのは手鏡なんだろうかと。
裏返して、自分に向けたとたん、
何かに変わるのではないだろうかと。
そんなことをふとかおむが考えていると、
「かおくーん?
かおちゃーん。
あたしキレイ?
早く答えて、
はやくー」
また、
目の前の生き物は、
かおむをせかすように、
同じ言葉を吐いた。
そして、
かおむは試しに、
手鏡の表に当たる部分を
目の前の生き物に向けてみた。