表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/62

「繰り返される、あたしキレイ」

 かおむの思惑に反し、

 自ら手で触った感じでは、

 まったく身体に異常はなかった。

 しかし、

 かおむはまだ怖れていた。

 手の感触がまやかしではないかと。

 目の前では

 見たこともない生き物が、

 相変わらず、

 「かおくーん?

 かおちゃーん。

 あたしキレイ?」と、

 おうむのようにかおむに訊いていた。

 そして、

 その生き物に渡された鏡にも、

 かおむは何か違和感のようなものを感じていた。

 が、

 かおむが鏡を見るのを待っているかのように、

 目の前の生き物は何度も同じ言葉を繰り返していた。

 かおむの目の前では

 見たこともない生き物が、

 相変わらず、

 「かおくーん?

 かおちゃーん。

 あたしキレイ?」と、

 おうむのように同じ言葉を繰り返していた。

 恐らく、

 目の前の生き物は鏡を覗くまで

ずっと同じ言葉を繰り返すだろうと、

 かおむは思っていたが、

 かおむには決心がつかなかった。

 何故なら、その生き物は目が見えないのだから、

 かおむがどうやって鏡を覗いたか

わかるはずがないと思ったからである。

 そして、

 もし、それにもかかわらず、

 目の前の生き物がかおむが鏡を覗いたことに気づくなら、

 視覚以外の方法によるしかないと、

 かおむは考えていたからだった。

 視覚以外の方法。

 鏡。

 かおむは考えた。

 味覚?

 聴覚?

 触覚?

 嗅覚?

 嗅覚!

 かおむは目の前の生き物を見て、

それに違いないと確信した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ