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「可愛くなりたいの」
かおむも
もとえが狙っていた美少女に出会ったとき、
もとえの思惑に気づいた。
しかし、かおむはわざと気づかぬふりをした。
「あの娘、可愛いわよねえ。
私もあの娘みたいに可愛くなりたーい」
「もう充分だすよ」
「ダーメ!
もっと可愛くなりたいの?」
「もう充分だすよー!」
「お願い。
キレイじゃなくて、
可愛くなりたいのよー?」
かおむともとえとの間では、
かおむたちがあの美少女を見て以来、
同じような会話が繰り返されていた。
かおむともとえの腹のさぐり合いは
長くは続かなかった。
かおむが我慢できなくなったのだ。
かおむはあの時と同じことを決心し、
もとえを騙し始めた。
しかし、
もとえの方が一枚うわてだった。
かおむに騙されたフリをうまくしていたのだ。
そして、また。